人権委員会設置法案(人権侵害救済法案)についての反対意見

2011年05月14日 23時25分36秒 | 政治に対する意見
皆さんこんばんは。
本来であれば、今日のブログでは選挙の報告や今後の議会日程の報告をしたかったのですが、
どうしても皆さんにお伝えしたい事があるので、今日は予定を変更し、ある「法案」について書きたいと思います。
(平成24年12月追記:人権委員会設置法案はこれまで何度も名を変え国会に提出されようとして来ました。民主党政権下だけでも、同じ内容で2度も名を変え閣議決定。やり方が姑息です。
 人権委員会設置法案=人権侵害救済法案=人権擁護法案、です)

先日5月12日の新聞に、下記のような記事が掲載されました。

 政府・民主党は、不当な差別や虐待で人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権侵害救済法案」を次期臨時国会に提出する方針を固めた。
 2002年に小泉内閣が提出(翌年に廃案)した人権擁護法案の対案として民主党が05年に作成した法案をベースに修正を加える方針で、擁護法案で批判が強かったメディア規制条項はなく、早期成立を図る構えだ。
 政府は党の作業を踏まえ、人権侵害の定義、国と地方機関の組織のあり方などの制度設計を法務省で行い、次期国会への提出を目指す考えだ。
 自民、公明両党の連立政権時の擁護法案では〈1〉人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省外局として設置(2)取材を拒む被害者らを継続して待ち伏せることへの停止勧告――などの内容に報道規制や救済機関の独立性への懸念が示され、自民党内でも異論があった。民主党対案は05年の衆院解散で廃案となり、同党は09年の衆院選政権公約(マニフェスト)に「人権侵害救済機関の設置」を掲げていた。


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110511-OYT1T01191.htm

要約すると、民主党が「人権侵害救済法案」という法案を次期国会に提出する、
というものです。

「人権侵害救済法案」。人権侵害を救済する法案。
一見するとなんだか良いことを言っているような気もしますが、実はこの法案、我々国民にとってかなりの悪影響を及ぼす可能性のある、悪法と言えるのです。
私は、この人権侵害救済法案の成立には反対です。もう8年以上も前から、この法案の実現に反対してきました。
小泉内閣が2002年に「人権擁護法案」という名称で同内容の法案を提出したときから、ずっと反対し続けています。
2006年2009年の私の日記の中にも、この法案について反対意見を述べたものがあります。)
この法案だけは、絶対に実現させてはならないとさえ思っています。

なぜ、「人権侵害救済法案」(人権委員会設置法案、または人権擁護法案とも)がダメなのか。
私なりに、改めて解説してみたいと思います。


まず、この法案がもし通ると、「人権委員会」という機関が作られます。
この「人権委員会」のお仕事は何かというと、
「人権侵害をしたヤツを取り締まること」です。
じゃあ人権侵害って何なの?っていうと、
「人権委員会が勝手に判断するのでよくわからない」という事になっているのです。

これが、実は大問題なのです。
例えば、AさんがBさんに向かって「バカ!このドジ野郎!」と言ったとします。
これについて、人権委員会が「これは差別だ!人権侵害だ!」と判断すれば、Aさんは人権委員会からのお叱りを受ける事になります。
場合によっては、令状無しで家宅捜索等も出来る権限が、人権委員会には与えられています(人権擁護法案の場合)。
つまり、「人権」や「差別」についての明確な規定が無いままに、「人権侵害」への対処を理由に、我々国民の自由を侵害する危険があるのです。
上記のような事例は極端だとしても、それに似た事例は起こりうるという事です。

そもそも、日本には憲法によって保障された「表現の自由」「言論の自由」がありますから、基本的に誰が何を言っても自由です。
他人に迷惑をかけない限り、捕まったり罰を受ける事はありません。
だから、政治家の批判をしたり、権力者の批判をしたって自由だし、それを取り締まる法律なんて無いのです。当たり前ですね。
(もちろん、名誉毀損などの規定はありますが、これは判断基準が明確です)
もし他者の批判・批評を言ったら罰せられるとしたら、それは言論統制、というものです。
よくわからない団体(人権委員会)に法的根拠のない捜査権が与えられて、
しかも、「人権侵害」の定義が不明確だから、自分の行動の何が人権侵害に当てはまるかすらもわからない。

これほど怖い事はありません。まさに言論統制です。

法律だったら、やって良い事、やっちゃいけない事が明確に書いてあるから、誰にでも納得出来るし、分かり易いですよね。
他人のものを盗んだら窃盗罪。実に明快です。

でも、人権侵害救済法案は違います。
一体自分の行動の何が「人権侵害」にあたるのか、誰にも解りません。
「他人の批判をしたら捕まるかもしれない」、そんなあいまいな状態の中で楽しく生きて行けるでしょうか?自由に活動が出来るでしょうか?
私にはとうてい、そうは思えません。
他にも、この法案が実現すれば、まずい事が沢山出てきます。
報道による過剰取材やプライバシー侵害への対処を口実にして、悪徳業者や政治家への疑惑追及などが出来なくなり、取材・報道の自由、国民の知る権利が奪われる可能性があります。
また、表現の自由、言論の自由が脅かされる事になれば、世界の中でも最も自由で創造力に富んだ日本の娯楽文化(漫画、アニメ等)も、一気に衰退する事になります。
だって、自分の表現が人権侵害に当たるかもしれない、という縛りの中で、より良いコンテンツが生まれるでしょうか?
現実的に、この法案が通れば、他人の目を恐れてラブシーンや流血シーンのひとつも書けない事になってしまいます。
(現状でも過剰な表現規制によって衰退しつつありますが)

自分のした事が「人権侵害」になるかどうか解らない世の中が来たら、怖くて何も表現できなくなってしまうでしょう?
私はそんな社会は絶対に嫌です。
現在の中国を見たって解る筈です。言論統制というものがいかに社会を萎縮させ文化を衰退させるか。
「思想の自由市場」という言葉があります。
思想や言葉、表現物というのは、規制なんてしなくても、悪いものからどんどん淘汰されて行く。そうした考え方です。
私はこの考え方が大好きです。
誰かが他の誰かの意見を取り締まる、なんてのはやっぱり異常だと思うのです。今どきファシズムでもあるまいし。

「人権侵害救済」なんて言うと、なんだかいかにも良い事のような気がしてしまうのが怖いところですが、
その内容はあからさまな表現規制だという事を、皆さんには少なくとも知識として知っておいて欲しいと思います。

私は地方議員として、今後も、この法案には断固反対して参ります。
日本の表現の自由、言論の自由を奪おうとするこのような法案を断じて許すわけには行きません。
自由で創造力に富む社会を実現させる事こそが、私の夢なのですから。

皆さんもこれを機会に、是非一度この問題について考えて頂けたらと思います。
もちろん、全てを知った上でこの法案に賛成、という方が居たって良いのです。
怖いのは、国民が何も知らないままこの法案が可決される事なのです。本当に。

以下に、この法案の問題点のまとめと、
関連サイトへのリンクを載せておきます。

この法案の問題点まとめ

●正当な批判さえ差別、人権侵害と取られる可能性がある
●テレビやマスコミでほとんど取り上げられてないため、国民のほとんどが知らない
●差別の基準があいまいである(人権委員会が好き勝手できてしまう)
●警察とは別の、新しい権力機関を作ることになる
●人権委員会の行動を監視、抑制する機関が存在しない
●インターネットを潰す事によるマスコミの情報操作能力の向上。よってマスコミの曲解報道に一切対抗できなくなる (マスコミの情報規制ができるので議員の汚職及び犯罪隠蔽が容易になる
●何が差別と取られるかわからない、使える表現が減る事により、アニメ、漫画、ゲーム、小説、映画、テレビ、お笑い、音楽、ドラマ等、日本の文化が衰退する(当たり障りのないものしか作れなくなる)
●特定の人権を過剰に守るという事は、それ以外の人権を踏み躙る事に繋がる。

関連サイト

「博士の独り言」
http://specialnotes.blog77.fc2.com/blog-entry-4335.html

民主党「念願の人権侵害救済法案をどさくさまぎれに提出」
http://503.livedoor.biz/archives/3739707.html

人権擁護法案ポータルwiki
http://wiki.livedoor.jp/pinhu365/

だいたい、震災の関連法案も通さず、どさくさまぎれにこんな反対の多い法案を提出しようなんて、現政権は一体何を考えているんでしょうか・・・
コメント (2)
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