特別展 やまとうた一千年
-古今集から新古今集の名筆をたどる-
五島美術館
2005年10月29日から11月27日
先々週の出光美術館に引き続き、古筆の展覧会です。23日にNHKの日曜美術館を見て慌てて表記に行ってきました。そのためか観覧者が多く、入場制限が出て15分ほど待ってようやく入場させてもらいました。館内もかなりごった返していました。
今回の展覧会は、古今和歌集、後撰和歌集、後拾遺和歌集、金葉和歌集、詞花和歌集、千載和歌集、新古今和歌集の八大集の名筆をたどる展覧会。和歌集別に展示されています。
1.重要文化財 上畳本三十六歌仙絵 紀貫之像 五島美術館蔵
2.歌仙絵 壬生忠岑像 五島美術館蔵
まず、古今和歌集の撰者二人の像から展覧会は始まります。(古今和歌集は、延喜五年(九〇五)の醍醐天皇の命により、紀貫之(きのつらゆき)・紀友則(きのとものり)・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)・壬生忠岑(みぶのただみね)が撰者となり、成立)
12.継色紙 伝小野道風筆 重要文化財 五島美術館蔵
継色紙の伝小野道風の書は、素晴らしく優雅です。継色紙(つぎしきし)・寸松庵色紙(すんしょうあんしきし)・升色紙( ますしきし)は、三色紙と称されるそうだが、今回その美しさが理解できたのは、継色紙まで。
4.高野切 第一種 伝紀貫之筆 重要文化財 五島美術館蔵 (画像はこちら)
11.高野切 第一種 伝紀貫之筆 重要文化財 東京国立博物館(画像はこちら
高野切は、第一種から第三種までが展示されています。比較してみると、第一種は、特に墨の継ぎ方がかなり明瞭なのがよく分かります。関戸本古今集切、寸松庵色紙、本阿弥切と続きます。
31.唐紙本新古今集切 伝藤原行成筆 個人蔵
「よみびとしらず ちりねれば こふれどしるし なきもへを へふこそ桜 おらばおりてめ」
わずかにこの断簡のみが知られる。斜めに散らした書風。
32.国宝 元永本古今和歌集 下巻 藤原定実筆 東京国立博物館蔵
一葉に一和歌が書かれています。今回展示の箇所は白地に雲母刷りの唐草模様の美しい豪華な本。
34.巻子本古今集切 藤原定実筆 重要文化財 個人蔵
うすい藍地に唐草文様
43.堺色紙 伝藤原公任 五島美術館蔵
44.大色紙(唐紙)伝藤原公任 重要美術品 個人蔵
一句一句を色紙に書いている。
66.右衛門切 伝寂蓮筆(224.手鑑「露の香」個人蔵から)
「やまざとは あきこそことに わびしけれ しかなく音に 目をさましつつ 壬生忠岑」
46.下絵古今集切 伝藤原定頼 五島美術館蔵
「みちのくは いづくはなれて しほがまの 浦こぐ舟の 綱でかなしも 東歌」
とても長い「し」が印象的
77.佐竹本三十六歌仙(後撰和歌集)清原元輔像 重要文化財 五島美術館蔵
藤原定家筆が4点並ぶ。圧巻。
71.伊達家本古今和歌集 藤原定家筆 重要文化財 個人蔵
72.国宝 古今和歌集(嘉禄二年本)藤原定家筆 京都・冷泉家時雨亭文庫蔵
92.国宝 後撰和歌集(天福二年本)藤原定家筆 京都・冷泉家時雨亭文庫蔵
116.拾遺和歌集(天福元年本)藤原定家筆 個人蔵
定家の筆跡も、晩年はうまく手が動いていない様子が見て取れるという。
83.重要文化財 二荒山本後撰和歌集 藤原教長筆 栃木・二荒山神社蔵
色変わり染め紙に飛雲と金銀揉箔を散らした美しい料紙。天海が二荒山神社に寄贈したもの。
137.後拾遺和歌集 伝光厳天皇筆 個人蔵
さすが宸翰。料紙が豪華。
130.131.粽切(ちまきぎれ)伝西行筆 個人蔵
一部に柄の紙を用いた独特の美しい料紙。
155.詞花和歌集切 藤原俊成筆 東京書芸文化院蔵
163.164.日野切(千載和歌集)藤原俊成筆 個人蔵
俊成は、止めがきいた筆跡
190.重要文化財 隠岐本新古今和歌集 京都・冷泉家時雨亭文庫蔵
後鳥羽上皇が隠岐で、さらに新古今和歌集を撰りすぐっていたかと思うと感慨ひときわ。
熊野懐紙
200.熊野懐紙 後鳥羽天皇筆 国宝 京都・陽明文庫
202.熊野懐紙 藤原定家筆 重要美術品 個人蔵
203.熊野懐紙 寂蓮筆 国宝
205.熊野懐紙 藤原家隆筆 国宝 京都・陽明文庫
先般、三井記念美術館「美の伝統 三井家伝世の名宝」(前期)で国宝「熊野御幸記」藤原定家筆(を鑑賞した。そのときに直筆でしたためた署名入りの懐紙(正確には後鳥羽天皇は署名がないので、後鳥羽天皇の宸翰と判る)。伝寂蓮でなく、寂蓮筆です。感動的です。
勅撰和歌集の享受のコーナー
215.色紙帖 本阿弥光悦筆 伝 俵屋宗達下絵
豪華な金箔をベースにした色紙に本阿弥光悦の一寸太目の筆が走ります。
216.新古今集抄月詠歌巻 大東急文庫
藤、鹿、橋の文様の雲母刷りに、闊達な書風の印刷物
今後のお楽しみ
33.国宝 古今和歌集仮名序 藤原定実筆 東京・大倉集古館蔵
NHKでも放映されていた一葉ごとに違う色の料紙を用いた豪華な仮名序は、前期のため見れず残念。
このほかに国宝の古今和歌集は、
古今集伝藤原清輔筆 東京・(財)前田育徳会
古今集第十九残巻(高野切)・東京・(財)前田育徳会
古今和歌集巻第十二残巻(本阿弥切本)(京都国立博物館保管)
古今和歌集巻第五(高野切本)東京・個人
古今和歌集巻第廿(高野切本)東京・個人
古今和歌集(色紙)(曼殊院本) 京都・曼殊院
古今和歌集巻第八(高野切本) 防府毛利報公会
がある。
国宝の熊野懐紙は他に、京都・本願寺に後鳥羽天皇宸翰以下十一通がある。
藤原定家の国宝は、今回のものと、「熊野御幸記」の他に、
土佐日記藤原定家筆 文暦二年五月十三日奥書 東京・(財)前田育徳会
源氏物語奥入藤原定家筆・京都・個人
寂蓮の国宝は、この他に、一品経懐紙(西行、寂蓮等十四枚)(京都国立博物館保管)
がある。
-古今集から新古今集の名筆をたどる-
五島美術館
2005年10月29日から11月27日
本年は『古今和歌集』の成立から千百年、『新古今和歌集』の成立から八百年の節目にあたる。この記念すべき年に際し、その間の勅撰和歌集とともに、写本や古筆断簡を一堂に展示し、和歌の魅力と特色を探る(期間中一部展示替あり)。主催=財団法人五島美術館/財団法人大東急記念文庫/朝日新聞社、協力=財団法人冷泉家時雨亭文庫/和歌文学会。
先々週の出光美術館に引き続き、古筆の展覧会です。23日にNHKの日曜美術館を見て慌てて表記に行ってきました。そのためか観覧者が多く、入場制限が出て15分ほど待ってようやく入場させてもらいました。館内もかなりごった返していました。
今回の展覧会は、古今和歌集、後撰和歌集、後拾遺和歌集、金葉和歌集、詞花和歌集、千載和歌集、新古今和歌集の八大集の名筆をたどる展覧会。和歌集別に展示されています。
2.歌仙絵 壬生忠岑像 五島美術館蔵
まず、古今和歌集の撰者二人の像から展覧会は始まります。(古今和歌集は、延喜五年(九〇五)の醍醐天皇の命により、紀貫之(きのつらゆき)・紀友則(きのとものり)・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)・壬生忠岑(みぶのただみね)が撰者となり、成立)
継色紙の伝小野道風の書は、素晴らしく優雅です。継色紙(つぎしきし)・寸松庵色紙(すんしょうあんしきし)・升色紙( ますしきし)は、三色紙と称されるそうだが、今回その美しさが理解できたのは、継色紙まで。
11.高野切 第一種 伝紀貫之筆 重要文化財 東京国立博物館(画像はこちら
高野切は、第一種から第三種までが展示されています。比較してみると、第一種は、特に墨の継ぎ方がかなり明瞭なのがよく分かります。関戸本古今集切、寸松庵色紙、本阿弥切と続きます。
「よみびとしらず ちりねれば こふれどしるし なきもへを へふこそ桜 おらばおりてめ」
わずかにこの断簡のみが知られる。斜めに散らした書風。
一葉に一和歌が書かれています。今回展示の箇所は白地に雲母刷りの唐草模様の美しい豪華な本。
別のぺーじですが、写真。平安時代/12世紀 彩箋墨書、縦21.1 横15.5、2帖、三井高大氏寄贈、『古今和歌集』の仮名序と20巻を完存する最古の写本が,この元永本である。数種の染紙にさまざまな型文様を刷り出した料紙を表とし,その裏側は金銀の切箔・野毛・砂子などを撒いた豪華なものである。秀麗な書は藤原行成の曾孫・定実(?~1077~1119~?)の筆と推定されている。
うすい藍地に唐草文様
44.大色紙(唐紙)伝藤原公任 重要美術品 個人蔵
一句一句を色紙に書いている。
「やまざとは あきこそことに わびしけれ しかなく音に 目をさましつつ 壬生忠岑」
「みちのくは いづくはなれて しほがまの 浦こぐ舟の 綱でかなしも 東歌」
とても長い「し」が印象的
71.伊達家本古今和歌集 藤原定家筆 重要文化財 個人蔵
72.国宝 古今和歌集(嘉禄二年本)藤原定家筆 京都・冷泉家時雨亭文庫蔵
92.国宝 後撰和歌集(天福二年本)藤原定家筆 京都・冷泉家時雨亭文庫蔵
116.拾遺和歌集(天福元年本)藤原定家筆 個人蔵
定家の筆跡も、晩年はうまく手が動いていない様子が見て取れるという。
色変わり染め紙に飛雲と金銀揉箔を散らした美しい料紙。天海が二荒山神社に寄贈したもの。
さすが宸翰。料紙が豪華。
一部に柄の紙を用いた独特の美しい料紙。
163.164.日野切(千載和歌集)藤原俊成筆 個人蔵
俊成は、止めがきいた筆跡
後鳥羽上皇が隠岐で、さらに新古今和歌集を撰りすぐっていたかと思うと感慨ひときわ。
200.熊野懐紙 後鳥羽天皇筆 国宝 京都・陽明文庫
202.熊野懐紙 藤原定家筆 重要美術品 個人蔵
203.熊野懐紙 寂蓮筆 国宝
205.熊野懐紙 藤原家隆筆 国宝 京都・陽明文庫
先般、三井記念美術館「美の伝統 三井家伝世の名宝」(前期)で国宝「熊野御幸記」藤原定家筆(を鑑賞した。そのときに直筆でしたためた署名入りの懐紙(正確には後鳥羽天皇は署名がないので、後鳥羽天皇の宸翰と判る)。伝寂蓮でなく、寂蓮筆です。感動的です。
215.色紙帖 本阿弥光悦筆 伝 俵屋宗達下絵
豪華な金箔をベースにした色紙に本阿弥光悦の一寸太目の筆が走ります。
216.新古今集抄月詠歌巻 大東急文庫
藤、鹿、橋の文様の雲母刷りに、闊達な書風の印刷物
今後のお楽しみ
NHKでも放映されていた一葉ごとに違う色の料紙を用いた豪華な仮名序は、前期のため見れず残念。
このほかに国宝の古今和歌集は、
古今集伝藤原清輔筆 東京・(財)前田育徳会
古今集第十九残巻(高野切)・東京・(財)前田育徳会
古今和歌集巻第十二残巻(本阿弥切本)(京都国立博物館保管)
古今和歌集巻第五(高野切本)東京・個人
古今和歌集巻第廿(高野切本)東京・個人
古今和歌集(色紙)(曼殊院本) 京都・曼殊院
古今和歌集巻第八(高野切本) 防府毛利報公会
がある。
土佐日記藤原定家筆 文暦二年五月十三日奥書 東京・(財)前田育徳会
源氏物語奥入藤原定家筆・京都・個人
がある。