徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

澁澤龍彦-幻想美術館

2007-05-17 | 美術
澁澤龍彦-幻想美術館
2007年4月7日から5月20日
埼玉県立近代美術館

会期末も近くなり慌てて時間を見つけて訪問。澁澤龍彦については、名前は知っていたがほとんど無関心だった。でも、やはり一度はどんな世界か覗いてはみたい。

第Ⅰ室、澁澤龍彦の出発、第Ⅱ室 1960年代の活動
敗戦を17歳で迎えたというイントロで始まる。
1960年代は三島由紀夫や土方巽、唐十郎など、文学や演劇、美術の先鋭たちがジャンルを超えてサロンを形成していた。その中心に澁澤がいた。三島由紀夫との交流が、細江英公「薔薇刑 No.29」(1961)「薔薇刑 No.31」(1961)で提示される。(細江英公「由比ガ浜で矢川澄子とコイコイをする澁澤龍彦」(1961)には別の面の澁澤がみえますが。)、加納光於、瀧口修造、野中ユリの作品が示される。野中ユリの「デカルコマニー(a' Tasso S.)」(1966)の2点は、美しいのでついていけますが。。。池田満寿夫、中村宏など作品などが示される。。細江英公「鎌鼬 no.8」(1965/2000), 細江英公「鎌鼬 no.37」(1965/2000)も初見。細江英公「写真集「鎌鼬」が芸術選奨文部大臣賞を受賞したことを記念するパーティ」(1970)が花園会館の宴会場なのにはちょっと乱雑で。。。

第Ⅲ室 もうひとつの西洋美術史、第Ⅳ室 シュルレアリスム再発見
澁澤の美術史が作品として展示される。マニエリスムの時代からシュルレアリスム、そして同時代の作品。

いくつか作品として興味深い作品が展示されていた。
  • ジュゼッペ・アルチンボルド《ウェイター》 1574年;アルチンボルドの作品が日本にあること自体、それも、大阪市のとは。
  • オディロン・ルドン《ペガサスにのるミューズ》1907-10年; 群馬県立近代美術館蔵;群馬近美は、いい作品を所蔵しています。
  • ポール・デルヴォー《夜の通り(散歩する女たちと学者)》1947年;福岡市美術館
  • ポール・デルヴォー《森》1948年;埼玉近美

    あとは、版画などで、澁澤の美術史が辿られる。アルブレヒト・デューラー、パリミジャニーノ、ゴヤ、モロー、ピアズレー(サロメ)、マックス・エルンスト、サルバドール・ダリ、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、イヴ・タンギー、ルネ・マグリットなど(このあたりまではついていっているのですが)
    初めて見て楽しめたのは、マックス・ワルター・スワーンベリ

    第Ⅴ室 日本のエロスと幻想
    金子国義「花咲く乙女たち」あたりまでは、結構いけてます。

    第Ⅵ室 旅・博物誌・ノスタルジア
    伊藤若冲「付喪神図」(福岡市博物館)初見です。おどろおどろしいですね。

    第Ⅶ室 高丘親王の航海
    四谷シモン 天使-澁澤龍彦に捧ぐ 1988 青木画廊蔵
    野中ユリ「心月輪の澁澤龍彦その1(「愛する芸術家の肖像」より)1997・2002 コラージュ、リトグラフ(澁澤家蔵)には、作家の追悼の思いを感じた。

    P.S. 戦争・敗戦体験が澁澤の「生へのあくなき欲望」の源泉だったと感じたが、どうなんでしょうか?
    (17日)


  • コメント    この記事についてブログを書く
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする
    « 茶道具 ―付属品とともにたの... | トップ | 鳥居清長 江戸のヴィーナス誕生 »
    最新の画像もっと見る

    コメントを投稿

    ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

    美術」カテゴリの最新記事