徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

敦煌経と中国仏教美術 三井記念美術館

2006-12-18 | 
特別展 今輝く、中国古典美術の遺宝
敦煌経と中国仏教美術
2006年11月18日から12月17日
三井記念美術館

最終日17日に敦煌経を眺めてきた。今年は写経を多く鑑賞しているが、是だけ並ぶとなれば、一度拝見しておかなければならない。
今回の目玉のひとつは、「長安宮廷写経」。「長安宮廷写経」とは、「唐の高宗の時代、咸亨二年(671)から儀鳳二年(677)頃にかけて官吏の監督下のもと門下省、弘文館などの書手によって書写された一群の写経。経典としては法華経と金剛経の二種が知られている。その筆致と料紙は中国・朝鮮・日本という漢字文化圏に伝わる古写経の中では最高の出来映えとされ、遺品は敦煌経のなかでは、30点余りに過ぎない。」という。

  • 敦煌経「妙法蓮華経巻第二」三井記念美術館 唐時代 上元二年(675)
  • 敦煌経「妙法蓮華経巻第七」三井記念美術館 唐時代 上元三年(676)

    の2点が並んで展示されている。長安宮廷写経では厳重な管理がされていて、何度も校閲されたとのこと。たしかに巻末に写経の年月日 書手、校閲者七人、監督の名前が記名されている。紙の継ぎ目ですこし字の大きさが変っているところもあった。校閲の結果書き直しになったのだろうか。厳重な管理に吃驚。

    実は「美の伝統 三井家の伝世の名宝」(記録はこちら)にて「妙法蓮華経巻第七」は拝見している。そのときもあまりの書体の謹厳な美しさに感動した覚えがある。だが、敦煌経とは謳っていた覚えがあまりない。図録を見返しても敦煌経とは記載されていない。偽者が多く近年学術的な検討を加えて厳選したので、はじめて敦煌経として展示したのでしょうか?

    三井記念美術館が所蔵する、世界に現存するなかでもトップクラスの「敦煌経」34点と、この敦煌経の展示に関連して、同じ敦煌の石窟から発見された東京国立博物館、白鶴美術館、久保惣記念美術館が所蔵する幡、仏画、画巻など極めて珍しい作品が出品されます。また、世界で二番目に古い中国在銘金銅仏である永青文庫蔵如来坐像など日本の美術館・博物館、大学が所蔵する中国の金銅仏、密教法具の名品14点を一堂に展示いたします。

    「敦煌経」とは、中国の敦煌の莫高窟石窟の一つから偶然に発見された多量の経典類のことで、今から1000年ほど前に何らかの理由で納められて密閉され、900年間タイムカプセルのように眠っていたものが、今から100年前に発見されて初めて明らかにされたというドラマチックな歴史をもった写経です。かって、このことを題材とした井上靖『敦煌』が、日本での敦煌ブームの火付けとなったことはよく知られているところです。そして、三井記念美術館が所蔵する「敦煌経」は、中国、朝鮮、日本など漢字文化圏に伝えられた写経の中でも最も優れた唐時代の「長安宮廷写経」や、則天武后時代の端正な字姿とされる「大般涅槃経」などを含む第一級の写経とされております。

    今回の展覧会では、もう一つの柱として中国の仏像としては最も古い4世紀、五胡十六国時代の如来像をはじめとする各時代の金銅仏や、唐時代の密教法具などを展示いたします。敦煌経、敦煌出土の幡、仏画と合わせて、中国仏教美術の質の高さと奥の深さを十分に鑑賞していただきたいと思います。

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