三井記念美術館 開館記念特別展Ⅰ 「美の伝統 三井家伝世の名宝」(前期)
2005年10月8日にオープンした日本橋の三井記念美術館にいってきた。西武新宿線の新井薬師前にある三井文庫の時代にも数回訪れたことがあるが、日本橋に移転して新装オープン記念展ということで、期待にたがわず名宝のみが展示され、今も感動が続いている。
まずは、団琢磨が建設を決断し1929年に竣工したアメリカ風古典主義の三井本館のビル内部。エントランスの床、エレベータから一寸圧倒される。また、展示室内部も団琢磨が唱えたグランデュア、ディグニティ、シンプリシティという意匠そのもの。
そして今回は、茶道具、絵画、書、漆塗り、切手、能面の名宝が展示されていた。
茶道具は、仁清が、東福門院好みの意匠の「信楽写兎耳付水指」(兎の耳がかわいい)「流釉輪花建水」の2点、乾山、永楽和全「布目色絵団扇形食籠」(善五郎時代(1843~71))(かすれた感じの表面が秀逸)、
そして、国宝「志野茶碗 銘卯花墻」 (和物茶碗の国宝の2点のうちの1点、もう1点の国宝は酒井忠正氏の所蔵する楽焼白片身片変茶碗 銘不二山 光悦作 *1*2、国産のやきもので国宝もわずか5点。*1)、重文「黒楽茶碗 銘俊寛」 長次郎作 、重文「黒楽茶碗 銘雨雲」 本阿弥光悦作、「大名物 粉引茶碗 三好粉引」 (三好長慶のあと秀吉に伝来)。
重文「大名物唐物肩衝茶入北野肩衝」 (足利義政伝来。秀吉が京で開いた「北野大茶会」で千利休が秀吉に紹介した)。
大名物(おおめいぶつ、千利休以前に選定されたもの)、名物(千利休時代に選定されたもの)、中興名物(小堀遠州が選定したもの)という用語を帰って調べている茶道具にはまったく素人にも、ため息がでる美しさ。
東京・麻布今井町に移設した如庵(織田有楽斎が京都・建仁寺境内に1618年頃に建てた茶室、現在は有楽斎の故郷である尾張の犬山城下の有楽苑に)で北家十代の三井高棟が開いた昭和3年「如庵披きの茶会」で使われた茶道具の取り合わせ。利休竹茶杓、「中興名物 瀬戸二見手茶入れ 銘二見」など。
絵画は、応挙。まずは、「水仙図」。題名を見る前から、いいなあと掛け軸に目が行く。絵師応挙が三井高美の菩提を弔うために手向けた心づくしの供花。国宝「雪松図屏風」は美しいの一言。応挙写とあるが、豪華な金屏風に、繊細な雪化粧した松は、写を意匠に昇華させた国宝。状態もすばらしい。国立博物館の応挙には感動した覚えはないが、この応挙には感動。
書は、国宝「熊野御幸記」 藤原定家筆。後鳥羽上皇に随行した23日間の記録が、すべて巻物をひらき、展示されている。圧巻。重文「古筆手鑑 たかまつ」 。小野道風から展示されており頼朝、義経の書跡も。
漆塗りは、七代西村彦兵衛(象彦)作、八代象彦作やミニチュア印籠など。「四季草花蒔絵源氏物語箪笥」は、源氏物語を収める為の専用の箪笥。「きりつぼ」から巻名が引き出しの表に書かれている源氏物語を専用の雅な箪笥。
切手は、日本最初の切手の龍切手、ギリシャ・オリンピック再興記念切手、美しき国オーストリアのトピカル展示など。
最後に能面。これもまったく知識がないが、20点は圧巻。伝春日作、伝赤鶴作が多数。なぜか、唯一、重要文化財でも、重要美術品でもない「影清」の青筋たった意匠に目が行った。
*1
*2 Takさんに教えていただきました。銘不二山、現在はサンリツ服部美術館所蔵だそうです。
2005年10月8日にオープンした日本橋の三井記念美術館にいってきた。西武新宿線の新井薬師前にある三井文庫の時代にも数回訪れたことがあるが、日本橋に移転して新装オープン記念展ということで、期待にたがわず名宝のみが展示され、今も感動が続いている。
まずは、団琢磨が建設を決断し1929年に竣工したアメリカ風古典主義の三井本館のビル内部。エントランスの床、エレベータから一寸圧倒される。また、展示室内部も団琢磨が唱えたグランデュア、ディグニティ、シンプリシティという意匠そのもの。
そして今回は、茶道具、絵画、書、漆塗り、切手、能面の名宝が展示されていた。
茶道具は、仁清が、東福門院好みの意匠の「信楽写兎耳付水指」(兎の耳がかわいい)「流釉輪花建水」の2点、乾山、永楽和全「布目色絵団扇形食籠」(善五郎時代(1843~71))(かすれた感じの表面が秀逸)、
そして、国宝「志野茶碗 銘卯花墻」 (和物茶碗の国宝の2点のうちの1点、もう1点の国宝は酒井忠正氏の所蔵する楽焼白片身片変茶碗 銘不二山 光悦作 *1*2、国産のやきもので国宝もわずか5点。*1)、重文「黒楽茶碗 銘俊寛」 長次郎作 、重文「黒楽茶碗 銘雨雲」 本阿弥光悦作、「大名物 粉引茶碗 三好粉引」 (三好長慶のあと秀吉に伝来)。
重文「大名物唐物肩衝茶入北野肩衝」 (足利義政伝来。秀吉が京で開いた「北野大茶会」で千利休が秀吉に紹介した)。
大名物(おおめいぶつ、千利休以前に選定されたもの)、名物(千利休時代に選定されたもの)、中興名物(小堀遠州が選定したもの)という用語を帰って調べている茶道具にはまったく素人にも、ため息がでる美しさ。
東京・麻布今井町に移設した如庵(織田有楽斎が京都・建仁寺境内に1618年頃に建てた茶室、現在は有楽斎の故郷である尾張の犬山城下の有楽苑に)で北家十代の三井高棟が開いた昭和3年「如庵披きの茶会」で使われた茶道具の取り合わせ。利休竹茶杓、「中興名物 瀬戸二見手茶入れ 銘二見」など。
絵画は、応挙。まずは、「水仙図」。題名を見る前から、いいなあと掛け軸に目が行く。絵師応挙が三井高美の菩提を弔うために手向けた心づくしの供花。国宝「雪松図屏風」は美しいの一言。応挙写とあるが、豪華な金屏風に、繊細な雪化粧した松は、写を意匠に昇華させた国宝。状態もすばらしい。国立博物館の応挙には感動した覚えはないが、この応挙には感動。
書は、国宝「熊野御幸記」 藤原定家筆。後鳥羽上皇に随行した23日間の記録が、すべて巻物をひらき、展示されている。圧巻。重文「古筆手鑑 たかまつ」 。小野道風から展示されており頼朝、義経の書跡も。
漆塗りは、七代西村彦兵衛(象彦)作、八代象彦作やミニチュア印籠など。「四季草花蒔絵源氏物語箪笥」は、源氏物語を収める為の専用の箪笥。「きりつぼ」から巻名が引き出しの表に書かれている源氏物語を専用の雅な箪笥。
切手は、日本最初の切手の龍切手、ギリシャ・オリンピック再興記念切手、美しき国オーストリアのトピカル展示など。
最後に能面。これもまったく知識がないが、20点は圧巻。伝春日作、伝赤鶴作が多数。なぜか、唯一、重要文化財でも、重要美術品でもない「影清」の青筋たった意匠に目が行った。
*1
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*2 Takさんに教えていただきました。銘不二山、現在はサンリツ服部美術館所蔵だそうです。
TBをありがとうございました。
三井記念美術館へ早速お出向きになられましたか!
前後期で展示替えもあるようなので、
私も早いうちに行ってみようかと思います。
また出向きましたら、
TBを致しますのでよろしくおねがいします。
ね...その後に続く国宝・重文の茶碗にも圧倒されま
した...水仙図のエピソードにもほろっとしました。
拙い感想ですが、TBさせていただきます。
堪能してきました。
行きやすい場所に
こうした新しい美術館が出来てくれるのは
大変ありがたいことです。
いいですよね。
後期の終わるころになってしまいましたが、TBお許しくださいませ。