徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

フィラデルフィア美術館展

2007-10-19 | 絵画
フィラデルフィア美術館展
2007年10月10日から12月24日
東京都美術館

2005年7月にフィラデルフィア美術館を訪問している。(記録はこちら。)その1階の展示室の圧巻さは、拙Blogが美術関係ばかりなってしまった契機。それくらい圧倒された。セザンヌのThe Large Bather(画像)とその手前の池を囲んだ部屋の印象派の画家の作品(画像の一覧。必見)。ピカソの初期の作品。ダリ(画像)。そんな中から、どの作品がやってくるのか。(もちろんここまでは全然やってこないのですが。)

今回、目にとまった作品は、
第1章 写実主義と近代市民生活(コロー、クールベ、ブータン、マネ)
  • ジャン・バティスト。カミーユ・コロー 泉のそばのジプシー娘;コローは人物が生前3点しか発表しなかったのに、没後アトリエから100点以上もが発見されたとは知りませんでした。
  • ギュスターヴ・クールベ スペインの女 1868;印象的なまなざしは覚えがあります。
  • エドゥアール・マネ キアサージ号とアラバマ号の海戦 1864;フランス沖での海戦を描いたものとは。日本語での解説だと頭によく入ります。

    第2章 印象派とポスト印象派(ドガ、ピサロ、モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ソローリャ、ロダン、ルソー)
  • エドガー・ドガ 室内;なにやらドラマティックな様子を暗示します。
  • クロード・モネ 睡蓮、日本の橋 1918-26;フィラデルフィア美術館では、モネは1室以上を占領しています。フィラデルフィア美術館の印象派の画家の作品が並んだ池のあるの部屋には、初期の緑濃い睡蓮、日本の橋(画像)が展示されていますが、今回の睡蓮、日本の橋は、赤い睡蓮でした。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/69328.html
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール ルグラン嬢の肖像 1875;ルグラン嬢にはいつも魅了されます。
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール アリーヌ・シャリゴの肖像(ルノワール夫人)1885;セザンヌの個展が画商Vollardにより開催された年の作品。(先月パリのオルセーを訪れたときに見たVollardの特別展で勉強したばかりなのですが。)どうみてもセザンヌの影響を受けています。セザンヌの個展が大反響を呼んだのがよくわかりました。
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール 大きな浴女 1905
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール レース編みをする少女 1906-08
  • フィンセント・ファン・ゴッホ オーギュスティーヌ・ルーラン夫人と乳児マルセルの肖像 1888または1889
  • ホアキン・ソローリャ 幼い両生類たち 1903 スペイン外光派の作品。この画家は初めて。

    第3章 キュビズムとエコール・ド・パリ(ピカソ、ブラック、レジェ、カンディンスキー、ドラン、マティス、ルオー、ドローネ、デュシャン、モディリアーニ、ユトリロ、シャガール他)
  • パブロ・ピカソ 自画像 1906;Rose eraの今回のポスターにもなった作品。今回はこの作品が選ばれて来日していますが、フィラデルフィア美術館は19世紀のピカソの作品からキュビズムにいたるまで、1室半以上がピカソの作品が展示されています。特にHead of Womanのその黄色や黒の強烈な画面の印象の方がつよかった。覚えがよみがえりました。
  • パブロ・ピカソ 三人の音楽師 1921年;日本で開催されるといいところは解説が日本語のところ。すっと頭に入ってくる。第一次大戦で負傷した亡くなったGuillaume Apollinaire(右)とPierrot(中央)とアルルカンに扮したPicassoとMax Jacobを描いているという。204.5x 183.2の画面について、
    井出教授は「同じ主題の作品は他の美術館にもあるが、迫力が違う」といっているが確かに。MOMAにも同主題の作品があるようだが。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/53963.html
  • アンドレ・ドラン アンリ・マティスの肖像 1905;コリウールに滞在するマティスを訪ねたときの作品だとのこと。いろいろな手法に傾倒したドランの作品。このときはフォビズム。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/53894.html

  • アンリ・マティス テーブルの上の静物 1925
  • アンリ・マティス 休息する二人のモデル 1928
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59852.html
  • アンリ・マティス 青いドレスの女 1937 ;マティスが3点並ぶ。1920から30年代のマティスの装飾的な画面。大好きです。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/55720.html

  • アメデオ・モディリアーニ ポーランド女の肖像 1919;Hanka Zborowskaの肖像画。今年はモディリアーニがたくさん見れて嬉しい。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59575.html

  • モーリス・ユトリロ モンマルトル、テルトル広場 1912頃;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/63337.html
  • マルク・シャガール 自画像 1914;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59619.html
  • マルク・シャガール プリム祭 1916-18;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59482.html

    第4章 シュルレアリスムと夢 キリコ、ミロ、マグリット
  • ジョアン・ミロ 馬、パイプ、赤い花 1920; キュビズム的なミロの作品。最近ミロ展が開催されないのですが、この手の作品もあるのですね。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/83114.html
  • ジョアン・ミロ 月にほえる犬 1926
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/53949.html
  • ルネ・マグリット 六大元素 1926;炎、裸婦、森、建物、雲、鉛
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51043.html

    第5章 アメリカ美術
    実はこのコーナーが楽しめました。カサット、オキーフやワイエスはともかく、アメリカ画家についてよく知らないので、解説が参考になりました。フィラデルフィア美術館では、アメリカ美術に至る前におなかいっぱいになってします。また知らない画家の絵画ばかりで逆に的が絞れないとかになってしまうのですが、このぐらいにセレクトされているのがちょうどいいといったところでしょうか。
  • ウィンズロー・ホーマ 狩人と犬 1891;http://www.philamuseum.org/collections/permanent/102943.html

  • メアリー・カサット アレクサンダー・J・カサットとその息子ロバート・ケルソ・カサットの肖像 1884;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/104479.html
  • メアリー・カサット 母の抱擁 1884;http://www.philamuseum.org/collections/permanent/66441.html;フランスで印象派展に参加していたんですからアメリカ美術というべきか。

  • マースデン・ハートリー ニューメキシコの風景 1919;http://www.philamuseum.org/collections/permanent/50659.html
  • マースデン・ハートリー ハリケーン島、ヴァイナルヘイヴン、メーン州;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/48466.html;アメリカの風景を描く画家

  • ダニエル・ガーバー 室内、朝の光 1923;1905年にパリから帰った画家。藤島武二の《幸ある朝》(1908)を思い出してしまいました。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/49667.html
  • ジョージア・オキーフ ピンクの地の上の2本のカラ・リリー 1928;ポスターにもなっている作品。
  • ミルトン・エイヴリー 黒のジャンパーススカート 1944;娘がモデルだとのこと。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/63772.html
  • ドロテア・タニング 誕生日 1942; エルンストと結婚した女性の作品。シュールです。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/93232.html
  • アンドリュー・ワイエス 競売 1943;

    最初にも書きましたが、フィラデルフィア美術館には来日しなかった名品がまだまだたくさんあります。この展覧会をみてやはりもう一度フィラデルフィア美術館を訪れたくなりました。
    (13日)


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    4 コメント

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    Unknown (遊行七恵)
    2007-10-19 21:45:01
    こんばんは
    ところどころ同じ気持ちで絵を眺めているのが、なんだかすごく嬉しいです。
    この美術館のサイトは所蔵品をこうして見せてくれるのでいいですね~。
    実際のフィラデルフィア美術館に行きたくなりました。

    お持ちの本はやはり英語版なんでしょうか・・・
    返信する
    モネ (あおひー)
    2007-10-19 23:37:17
    こんばんわ。
    >フィラデルフィア美術館では、モネは1室以上を占領しています。
    うわー!これは是非、一度は訪れてみたいですね~。
    また、何年かしたら別の展示内容でもう一度フィラデルフィア美術館展が見てみたいものです。
    返信する
    フィラデルフィア美術館 (とら)
    2007-10-20 20:28:34
    TBありがとうございました。
    わたしがこの美術館を訪れたのは1971年でした。
    その時の企画展はピカソの「エロチカ」で、大変驚きました。常設展の内容は記憶の彼方ですが、こうやってネットでみられるのは嬉しいことです。
    返信する
    コレクション (Tak)
    2007-10-22 20:37:31
    こんばんは。

    ここの美術館の主たる作品は
    他のアメリカの美術館同様、
    個人コレクターからの寄贈で
    成り立っているそうです。
    (美術館自身で購入したものもありますが)

    その中の「タイソン・コレクション」は
    館外貸し出しが禁じられているそうです。
    尤もそれなくしても、今回の展覧会
    十分に楽しむことできました。

    いつの日か、ak96さんのように
    現地へ赴き存分に満喫できたらなーと思います。
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