徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

福やござれ-寿ぎの美・新春に集う(前期)

2007-01-14 | 美術
福やござれ-寿(ことほ)ぎの美・新春に集う(前期)
2006年1月6日から2月4日(前期)
2006年2月10日から3月11日(後期)
三の丸尚蔵館

「唐子遊図屏風」 狩野探幽が出展(前期)。



明治期以降の皇室の御慶事に際して献上された寿ぎの美が表された作品のうち、新春にちなみ,正月を飾る品々を中心に,松竹梅に鶴亀,七福神や宝船などが展示されている。

1 めでた尽くしの取り合わせ-旭日と鶴亀、そして松竹梅
2 跳ねよ寿ぎ、曲がれば長寿-海老
3 集まれ! 唐子たち 
4 百に集まれば
5 福の神-七福神
6 宝船と宝物
とチラシ上は分類されているが、分類とは関係なく、お目出度い雰囲気で展示されている。

絵画では、
「唐子遊図屏風」狩野探幽 6曲1双 紙本金地着色
この狩野探幽の描いた唐子。人物を大きく描いていますが、表情や動作が生き生きと描かれています。
「寿老人鶴亀図 橋本雅邦 3幅対 絹本着色
「旭松岩上鶴図 川端玉章 対幅 絹本着色
「松鶴延齢図」 今尾景年 1924 絹本着色
変ったところでは、
「海老蒔絵印籠」 小原春翠 漆塗、蒔絵;紙の上に漆で描いて、海老のつやを描いています。

「百布袋之図」 河鍋暁雲 1幅 絹本着色
「百福之図」 絹本着色
百集まれば目出度いという画題のようだが、「百布袋之図」 はたしかに布袋様が百人いそうだが、百福之図はおかめのような女性が結局何人いるのか。1つの福を描くのに数人の女性で表しているのか、どうやって福が百なのか、よくわからない。楽しくお正月に数えて遊ぶのでしょうか?

工芸品は、
「七福神」1点 1919頃 牙彫 10センチほどの可愛らしい象牙の七福神です。
「鶴亀」高村光雲・竹内久一 一対 1907;鶴と亀の能面(?)をかぶったお人形です。鶴亀という能があるので、それが題材と思われます。鶴は紫の衣装に朱の袴、亀はPale Green地に青の亀甲紋様の衣装に白の袴と色鮮やかです。

「双鶴」 江崎栄造・江崎栄一 1点 1961 玳瑁(たいまい)、木
「岩上鶴亀」 加藤龍雄か 1924頃 銀製
「宝船 長崎丸」 江崎栄造 1点 1916 玳瑁、木
作者の技術は凄いのですが、個人的にはちょっと好きにはなれない作品たち。玳瑁というのはtortoise shellとあるのですが、所謂鼈甲(べっこう)のことだそうです。それがテカテカ光る素材が、人工的な感じがするのがいけないのでしょうか?リアルすぎるのがいけないのでしょうか?標準的な現代の感性とずれていないと思うのですが。
http://www.n-brand.net/Top/ezakibekko/yurai.htm こちらは、江崎べっ甲店のHP。それによれば、鼈甲自体が亀のため、お目出度いそうで。

「七福神」1点 1919頃 牙彫 10センチほどの可愛らしい象牙の七福神です。
「ボンボニエール」も7点ほど展示されている。



次回展覧会予告
「香淳皇后の御絵と画伯たち」(仮称)
2006年3月27日から6月17日(予定)
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皇居 東御苑の梅

2007-01-14 | 日記
14日、三の丸尚蔵館から東京国立近代美術館にぬけるのに、東御苑の梅林坂をとおりががかると、写真の三脚を立てている人が。梅がもうすでに開花していました。二株に一輪、二輪と、ほんの咲き初めです。

ホームページhttp://www.kunaicho.go.jp/hanadayori/itiran.htmlによれば、ウメ(冬至梅・八重冬至)で、1月12日から咲きはじめたそうです。

例年と比べて早いのか遅いのか、そのへんは不明。
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生誕120年 富本憲吉展 +富本憲吉の世田谷時代

2007-01-13 | 陶磁器
生誕120年 富本憲吉展
+ 特別展示 富本憲吉の世田谷時代
2007年1月4日から3月11日
世田谷美術館

昨年2006年に生誕120年を迎えた富本憲吉の大回顧展、2006年8月の京都近代美術館を皮切りに巡回してきたが、茨城県陶芸美術館を経て、ようやく東京にやってきた。昨年の8月27日に放映されたNHKの新日曜美術館を今頃になって予習してでかける。

ほぼ年代順に展示されてている。

まずは、東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科の卒業制作≪音楽家住宅設計図案≫(1908)。洒落た感じの設計です。そして、ロンドンに私費留学。留学中は、卒業制作にもありましたから興味があったのでしょう、ステンドグラス制作を学ぶ傍ら、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館に通ったときの所蔵品のスケッチを行なっている。またウイリアム・モリスの作品にも接しったという。海路で旅した当時の写真があり、ピラミッドなどもスケッチしています。戦前の欧州行きは必ず船ですから、我々は一足飛びにヨーロッパに旅行してしまいますが、インドやエジプトなどを見て欧州をみると世界観も変りそうです

帰国後、バーナード・リーチと出会い、作陶の道に入っていったという。楽焼をはじめ、白磁や染付を制作している。そして、世田谷に居を構える。そして飛躍となるのが、1936(昭和11)年の5月から10月までは、九谷(石川)の北出塔次郎の陶房に留まり、古九谷磁器の色絵技法を集中して研究した。秘伝の配合を教わり自由に色絵が可能になる。古伊万里風の作品も手がけているが、独自の図案を創造する。「模様から模様を造る可からず」という信念のもと、1941(昭和16)年は、定家葛の花(五弁)の写生から創案した四弁花連続模様が完成。色絵赤更紗模様飾壺などの作品となる。

日本の伝統的な古伊万里、赤絵などの色絵磁器の技術と、(ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館でスケッチした)西洋やオリエントのデザインの上に、独自な日本的なモダンなデザインを創造したものが完成したということになります。

このあたりから、この展覧会は豪華絢爛な作品が並び、それほど混んでいない展覧会場も、みなさんが引き込まれてゆっくりと鑑賞しているので、先に隣の作品を鑑賞したり作品の前にいったり来たり。

さらに金銀彩の同時焼成を完成させた色絵金銀彩の技法を確立。銀にプラチナを使うことで煌びやかな色絵磁器を実現しているとのこと。さらに「羊歯模様」を考案。色絵金銀彩四弁花模様飾壺、色絵金彩羊歯模様大飾壺などの豪華絢爛でモダンな素晴らしい作品となる。

作品のほかに、画巻、書、装丁、染織などが展示されている。作品のデザインをしたためた掛け軸、陶磁器論などもの書、日用使いの煎茶器なども洒落ている。自宅に作品が並べられている写真もあり、生活そのものが美であったようだ。裕福な家庭に生まれ、美を創造し、美に囲まれるハイソな生活。うらやましいような一生だ。

1959年5月15日のNHKの映像が映されていたが、これはこれで、戦後の京都の様子や、教授となった時の模様などが見れて面白かった。たばこをふかしながら制作をしているようすがダンディ。肺がんで1963年に亡くなった。

本展はさらに
岐阜県現代陶芸美術館 4月7日から5月27日
山口県立萩美術館・浦上記念館 6月30日から8月19日
に巡回。



昨年八月に本展覧会を知った時には、なぜ世田谷美術館と思っていましたが、1926年から終戦まで、富本憲吉は千歳村(現・世田谷区上祖師谷)に住んでいたというゆかりの地であったからということのようです。それもあるのか、常設展のほうに世田谷美術館の企画として「特別展示 富本憲吉の世田谷時代」が展示されていた。これが、また色絵磁器のような立派な作品でなく、日用の陶磁器が多数展示されていていい。上祖師谷の当時のようすの写真はもちろん、一枝夫人の卓球をする写真に加えて、夫人や子供の名前入りの湯飲み茶碗など、家族愛に溢れる制作が伝わってくる。



田園交響楽
平成18年度第3期収蔵品展
2007年1月4日~4月8日

熊谷守一のデッサン、師岡宏次の戦前戦後期の写真、当時の人々の活き活きとした表情、田畑のようすなど風景が懐かしい。
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これを見ずして江戸は語れない 特別展 江戸城

2007-01-08 | 歴史
これを見ずして江戸は語れない
特別展 江戸城
2006年1月2日から3月4日
江戸東京博物館

江戸城が太田道灌により築城されたのは長禄元年(1457年)。築城550年を記念して、江戸城の全貌を明らかにする、初の「江戸城展」が江戸東京博物館で開催されている。

歴史を展示する特別展で、人出は少ないだろうとタカをくくって出かけたのですが、予想外の混雑ぶりで吃驚。2時間も見るのにかかってしまいました。一つは会場が狭いこと。意外にも人出が多いこと。展示物の殆どが古文書の類で、見るのに時間がかかる割りに250点もの展示があることです。屏風類は複製展示が多々あり、美術品を見に行こうとすると裏切られます。

展覧会の構成は、以下の通りです。
プロローグ
1 江戸城のなりたち
2 天下人と城
3 徳川将軍の城
4 登城
5 儀礼-政治の舞台-
6 大奥と将軍の暮らし
7 バーチャルリアリティ「よみがえる江戸城」
エピローグ

いろいろトリビアの宝庫です。
  • 江戸って江戸氏が住んでいた。阿佐ヶ谷と中野とかは、その阿佐ヶ谷氏と中野氏が住んでいた場所。(名前と地名とどちらが先かはよくわかりませんが、他にも下町にも同様な地名が沢山ありました)
  • 東京駅八重洲北口には、墓地があって、キリシタン墓副葬品が発見されている。
  • 太閤分銅金が地図の銀行のマークの元になった。
  • 江戸城の天守閣は、高さ60メートルもあって、松本城の倍の高さ、大阪城より一回り大きい。でも、振袖火事で燃え落ちた後には再建されなかった。皇居前の東京海上ビルが100メートルと記憶しているので、異様に大きかったでしょう。大阪夏の陣で大阪城がなきあとは、もう権威を示す必要がなく再建されなかったのでしょうか?
  • 江戸城の本丸は、平屋のため、二条城と同じ雰囲気で、ひたすら部屋が並ぶ。松の廊下には、浜松図が描かれていた。何回か火事が起きているので、狩野派御用絵師も襖を描くとなるとPAINTERに徹しないと、凄い面積です。
  • 江戸城に一斉登城となると御付のもので門外の広場がごった返すとを描いたのが、江戸城年始登城風景図屏風(部分) 明治31年(1898) 佐竹永湖画。現在も官庁の前に黒塗りのタクシーが並んでいるのと同じですが。
  • バーチャルリアリティ「よみがえる江戸城」は、よくできたビデオで江戸城本丸の内部の絢爛さがよく判りますが、重文旧江戸城写真ガラス原板<パネル展示>明治4年(1871) (29枚)をみるとやはり貧相な建物でガッカリしました。

    確かに「これを見ずして江戸は語れない」という展覧会。



    常設展示室で「徳川家茂とその時代」展が展示されていた。
    以前どこかで見たような気がする資料も多かったが、「徳川家茂」の責任感というものを感じた。

    激動の幕末を生きた 14 代将軍家茂 【いえもち】 (1846 ~ 1866) の生涯を、徳川家伝来のゆかりの品々を中心に紹介します。13才という若さで将軍に就任した家茂は、皇女和宮との婚姻・桜田門外の変・西洋諸国との外交・上洛・文久の政変・禁門【 きんもん 】の変・長州戦争とつづく激動の時代を、江戸幕府最高責任者として誠実に職務を全うし、 21才の若さでこの世を去ります。本展では、将軍が直に発したことばを書き付けた「御意之振 【ぎょいのふり】」という史料を初公開し、 新たな視点で 将軍の姿にせまります。また、久能山東照宮に奉納された家茂所用の武具類や、家茂の正室皇女和宮 (1846 ~ 1877) の調度類など、彦根城博物館所蔵の井伊家伝来資料、福井市立郷土歴史博物館の越前松平家伝来資料など、家茂を支えた幕閣の資料もあわせて展示し、幕末期の将軍の姿を多角的に検証してゆきます。

    御意之振という資料は、台本のような資料でそのまま読み上げたのかと思われたが、真相は?
    家茂の漫画チックな肖像画や天障院と和宮の写真(肖像画?記憶が定かではありませんが)が展示されていますが、人物像を表しており面白い。
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    館蔵 花鳥画展 大倉集古館(前期)

    2007-01-07 | 絵画
    館蔵 花鳥画展
    2007年1月2日から3月18日
    前期 1/2-2/4, 後期 2/6-3/18, 「夜桜」横山大観は3/13-18に展示。
    大倉集古館

    目に付いた作品を。
    中国絵画
  • 牡丹図 愛新覚羅溥儀(1906-1967) 民国・1922年;絵はともかく、16歳にして書は堂々たるもの。
  • 墨梅図 伝王元冕筆 中国・明時代・15世紀;一枝に多くの花をつけて富貴華麗な千花万蕊様式は元時代の墨梅画家 元冕により創始された。花が樹木満開に咲き誇る様子を丹念に描く意匠は現代まで続いているが、その創始者となるのか。

  • 群禽図 伝李巖筆 朝鮮・李朝時代・16〜17世紀
  • 重要美術品 鶉図 殷元良筆 琉球・乾隆13年(1748);琉球王朝の美術品として興味深い。とはいえ、院体画であるが。

    日本絵画
  • 蘭図 王畹梵芳(1348-1427頃);王畹梵芳は建仁寺、南禅寺の住持をつとめた名僧、蘭の絵を得意とした。地から伸びた手前の葉が静謐な空間を引き締めている。とのこと。(前期のみ)
  • 重要美術品 鶏頭小禽図 前嶋宗祐筆 室町時代・16世紀;前嶋宗祐は狩野元信の弟子と目され北条氏の御用絵師となり小田原で活躍、残された作例は少ないとのこと。逆さになった小禽が可愛い。(前期のみ)
  • 蓮に燕・枯れ木に翡翠図 狩野安信(1613-1685)二幅;翡翠の頭部を一気に細線で描く、いい味の線です。
  • 観梅図 海北友雪(1598-1677)(前期のみ);友雪は友松の嫡子。

  • 梅図 狩野常信(1636-1713)二幅;古木と伸びゆく枝を対に描く。
  • 梅に鶯図 狩野常信筆 三幅; 三幅にわけて枝が点在するように描かれる。斬新な意匠というが、ピンとこなかった。
  • 詩書巻 本阿弥光悦(1558-1637);淡色のピンクの木蓮を下絵に漢詩。
  • 風景人物花鳥図鑑 狩野安信;安信は画論「画道要訣」を伝えた。これは絵手本として作成されたとの説明。山、水、人物(松)、人物(寓居)、小禽(桃、桜、牡丹)、牛の群れ、馬の群れが描かれる。なかなか牛の群れとか馬の群れを描く日本絵画は見ないのですが、中国絵画の画題としてはありますね。
  • 重要美術品 探幽縮図 狩野探幽(1602-1674);大倉集古館所蔵は3巻(最近の修理により4巻)4帖よりなるとのこと。

  • 籬に葡萄図 江戸時代17世紀 六曲一双
  • 桜図 江戸時代18-19世紀 六曲一双 (前期のみ)
    前者は、金と緑、後者は金と群青と緑で描かれる。草花は形押しされて浮き上がる。特に後者の桜は金色。派手です。

  • さつき 菱田春草筆 明治39年; 朦朧体の前景の樹木に彼方にほととぎす。
  • 鯉魚 速水御舟(1894-1935)昭和四年(1929)ローマ美術展出品(前期のみ)
  • 文鳥 横山大観 (聴松詩宗清鑑の落款)
  • 茶花 横山大観 (聴松詩宗清鑑の落款)
  • 寒牡丹 横山大観 (聴松詩宗清鑑の落款)
  • 羅漢松 横山大観 (聴松詩宗清鑑の落款)
  • 野菊 横山大観 (聴松詩宗清鑑の落款)
    聴松は喜七郎の雅号。喜七郎のところに求められて描いた作品とのこと。(3/11までの展示。)

    展示替えはすくないが、後期には、
    「花籠に牡丹図」狩野探幽筆 江戸時代・17世紀
    「梅に尾長鳥・柳に黄鳥図」狩野常信
    「四季草花図」松村景文筆 江戸時代・19世紀
    「蹴合」竹内栖鳳筆 昭和4年
    「木菟図」小林古径筆 昭和4年
    などが出展される。
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    ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展(1/3-14)

    2007-01-06 | 絵画
    ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展(1/3-14)
    L'EXPOSITION DES CHEFS-D'OEUVRE DU MUSE'E GUIMET
    2007年1月3日から2月25日
    前期 1月3日から14日、1月16日から26日
    後期 2月1日から12日、2月14日から25日
    太田記念美術館

    割引券 http://www.nhk-p.co.jp/tenran/ukiyoe/service200612.html

    いづつやさんのBLOGで混雑が予想され、さらに190点全てを拝見するには4回も足を運ばないと東京展は見切れないと判り、あわてて5日に出かけた。午後3時過ぎだったが、なんとスリッパが出払っている。こんなことははじめてだけに吃驚。土足でいれていただいた。もう1年以上前から、NHKで今回のギメ美術館展は報道されていたが(記事はこちら)漸くの開催の運びというところで、前宣伝が効きすぎというところだろうか?とはいえ、館内はそれほど混雑でもなくゆっくりと鑑賞できた。

    まず、その新発見の
  • 葛飾北斎 肉筆絹本双幅「龍図」と「虎図」(1849、後者が太田記念美術館蔵)
    が並んで掛けられている。地下放映されていたビデオを先に見ればよかったのだが、それによれば、同じ九十老人卍筆、表装が同一というのが一つのポイント、もうひとつは阿吽で虎と龍が向かい合っていることなど。表装は中回し(紺地雲龍文金襴)、上下(緞子牡丹唐草文)、一文字、風帯までが同じ裂。

    さらに、
  • 葛飾北斎 猿回し図 
  • 葛飾北斎 海老図扇面
  • 歌川広重 隅田川月景
  • 河鍋暁斎 釈迦如来図(2階展示室)
    が肉筆画。河鍋暁斎の作品は、ギメが暁斎からプレゼントされたものとのこと。

    さて、版画の展示は、ほぼ時代順に多くの絵師をカバーするように構成されている。絵師ごとの説明も丁寧なので楽しめた。

  • 無款(杉村治兵衛)(和田酒盛)
  • 無款(鳥居清倍)(宇治川先陣 佐々木高綱)
  • 奥村利信 稲荷祭礼衣笠道中 細版漆絵;赤の色が見事に残っている。
  • 二代鳥居清倍 二世市川海老蔵のういろう売り;外郎とは、建長寺開山の大覚禅師に従って唐からきた外郎というひとが小田原で作った家伝の妙薬「透頂香(とうちんこう)」のことだそうです。「初花隅田川」の粟津六郎の外郎売の場面。周囲は長台詞だそうです。外郎は薬だったのですね。
  • 鳥居清満 初世中村富十郎の比丘尼;
  • 鈴木春信 風俗四季哥仙 竹間鶯; 現在16図確認されている揃い者。パリの宝石商Henri Vever寄贈。Henri Vever氏は、東博のコレクションを作った人物(記事はこちら)。優品の春信をたくさん有していたようで。
  • 鈴木春信 (蒸籠の傍らを歩く遊女)
  • 無款(鈴木春信)(花魁道中)
  • 磯田湖龍斎 近江国萩玉川;源俊頼「あすもこん 野路の玉川 はきこゑて 色なる浪に 月やとりけり」(千載和歌集)、衝立は白居易の漢詩。だそうで。教養が必要です。
  • 磯田湖龍斎 雛形若菜の初模様 竹屋内小式部
  • 磯田湖龍斎 雛形若菜の初模様 四つ目屋内歌川
    雛形若菜の初模様は、ファッション見本というのが良くわかります。後者の見栄をきったような所作がいいですね。
  • 北尾重政 浮世六玉川第六 紀伊空海
  • 北尾重政 遊女と禿
  • 北尾重政 (野葡萄を食べる兎)
    北尾重政は、最近の東博ではあまり状態のいまひとつの作品の展示が、多くぴんと来ていなかったが、今回のは優品。(野葡萄を食べる兎)はモダンで可愛らしい。
  • 歌川豊国 浮画雪見酒宴之図
  • 歌川豊国 浮絵駿河町呉服屋図
    遠近法の豊国。

  • 一筆斎文調 新かなや内 なゝまち
  • 一筆斎文調 二世市川八百蔵の奴軍助;黒を背景にした引き締まった画面。所作がいい。

    役者絵と相撲絵が並ぶ
  • 勝川春章 二世市川八百蔵の半七と二世瀬川菊之丞の三勝
  • 勝川春章 西方 真鶴咲右衛門 武蔵野幸内
  • 勝川春章 東方 小野川喜三郎;谷風とともに史上初の横綱免許というわりにはあまり強そうな気がしない。
  • 勝川春英 常山五郎吉 熊山庄太夫
  • 勝川春英 和田ヶ原甚四郎 鳴瀧文太夫
  • 勝川春英 陣幕嶋之助
  • 勝川春英 鹿間津滝右衛門 糸ヶ濱長治郎

  • 勝川春潮 (影向松)
  • 鳥居清長 武蔵棒弁慶 土佐房正順
  • 鳥居清長 美南見十二候 六月
  • 鳥居清長 当世遊里美人合 叉江凉
  • 鳥居清長 当世遊里美人合 (橘妓と若衆)
    清長の健康的な美人像というのが良くわかりました。

  • 喜多川歌麿 青楼尓和嘉鹿嶋踊 続 京町二丁目角かなや内 きよみ せきや たこと
  • 喜多川歌麿 (美保松原道中) 2枚続き
  • 喜多川歌麿 ひら野屋;おせよ17歳、少女らしさも漂っています。
  • 喜多川歌麿 娘日時計 午ノ刻;無線空摺の顔の輪郭が良くわかる。状態良。
  • 喜多川歌麿 娘日時計 申ノ刻
  • 喜多川歌麿 美人気量競 兵庫楼 雛琴;きせるを銜える姿が艶っぽい、歌麿らしい作品。
  • 喜多川歌麿 風俗浮世八景 閨中ノ夜雨

  • 鳥橋斎栄里 三ヶ津草嫁美人合 大坂道頓堀於兼
  • 鳥橋斎栄里 三ヶ之津草嫁美人合 京三条砂場於万
  • 鳥橋斎栄里 三ヶ之津草嫁美人合 江戸両国之於辰
  • 鳥橋斎栄里 江戸花京橋名取 (山東京伝);山東京伝がいい表情をしています。

  • 東洲斎写楽 二世坂東三津五郎の石井源蔵
  • 東洲斎写楽 二世瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木
  • 東洲斎写楽 嵐龍蔵の金貨石部金吉
  • 東洲斎写楽 三世坂東彦三郎の鷺坂左内
  • 東洲斎写楽 初世市川男女蔵の富田兵太郎と三世瀬川菊之丞の傾城かつらぎ;写楽の第2期の作品。役者を二人描く
  • 東洲斎写楽 二世瀬川雄次郎と松本米三郎

  • 歌川豊国 (役者舞台之姿絵 やまとや)
  • 歌川豊国 風流七小町略姿絵 雨乞こまち;足をすっと出す姿が艶っぽい。吹き墨の手法。

  • 葛飾北斎 千絵の海 総州銚子
  • 葛飾北斎 千絵の海 絹川はちふせ
  • 葛飾北斎 百人一首うはか恵と起 源宗于朝臣;「やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける 山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思えば 」
  • 葛飾北斎 百人一首宇波か縁説 藤原道信朝臣:「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな」
  • 葛飾北斎 百人一首乳母か絵とき 参議篁:「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海女の釣船」
    昨年の北斎展では疲れてしまって、ゆっくりと楽しめませんでしたが、今回は3首だけなので、歌と絵を比べて楽しみました。参議篁の海女は一寸おぼれ気味で怖いです。

  • 無款(柳々居辰斎)大橋
  • 無款(柳々居辰斎)両国
  • 岳亭五岳 (水辺に三匹の蟹)
  • 岳亭五岳 (三味線を持つ美人と猫)
    柳々居辰斎の風景画と岳亭五岳は、はじめての作家。

  • 歌川国貞 (虎)
  • 歌川貞秀 ほふじろ ざくろ

  • 歌川国芳 忠臣蔵十一段目夜討之図
  • 歌川国芳 佃島
  • 歌川国芳 大森
  • 歌川国芳 東都富士見三十六景 佃沖晴天の不二

  • 歌川広重 近江八景之内 唐崎夜雨
  • 歌川広重 京都名所之内 祇園社雪中
  • 歌川広重 (雪中椿に雀)
  • 歌川広重 (雪中芦に鴨)
  • 歌川広重 六花撰之内 きくの花

    版本
  • 古代錦絵
  • 石川豊信 絵本東の森
  • 岳亭五岳 天保山勝景一覧
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    戸方庵井上コレクション名品展

    2007-01-05 | 絵画
    嗚呼 しづかなる墨
    群馬県立近代美術館所蔵
    戸方庵井上コレクション名品展
    2006年11月25日から2007年1月14日
    板橋区立美術館

    とらさんのBLOGを読んで、初めて板橋区立美術館を訪れる。東武東上線の成増からタクシーに乗ったが、まあ歩けば迷っただろう。ともあれ、今回の展示は、群馬県高崎市出身の実業家・井上房一郎氏(1898~1993)のコレクション。1962年、群馬県立近代美術館の創立を期に、収集された200点もの古美術品を「戸方庵井上コレクション」として同館に寄贈されたうちの69点が選ばれ展示されたとのこと。

    中国絵画
  • 重文 金大受 十六羅漢図 第一尊者 南宋;東京国立博物館に10幅あり、第三尊者を鑑賞したところ。
  • 馬麟(款)祖師問答図
  • 伝 因陀羅 芦葉達磨図 雲外雲岫賛;狩野伊川院栄信による鑑定で因陀羅とされたそうですが。
  • 伝 銭永 墨梅図 明時代;中央にひょろひょろと伸びる枝振りが印象的。琳派にも引き継がれていく機知的な構図。
  • 盛茂(款) 天池石壁図 崇禎3年(1630)明時代; 盛茂の元旦試題図が「中国書画精華」が東博で展示されていたはずですが。。。
    など。

    日本絵画
  • 赤脚子 鉄拐仙人図 室町時代; 鉄拐は「列仙全伝」に伝わる仙人。自らの魂を吹き飛ばすことができる。日本では顔輝の作品を写した明兆の鉄拐図が知られ、本図の発想の源になっているとのこと。
  • 秋月等観 金山寺図 生没年不詳 室町時代;秋月等観は薩摩島津家に仕えた武士で出家して雲谷庵に行き雪舟の弟子になったという。金山寺は雪舟も在明中に訪れて描いている。とのこと。
  • 雪村周継が、三点。「葛花、竹に蟹図」、「山水図」、「栗鳥図」。雪村周継は16世紀東国で活躍した画家。院体画風の「葛花、竹に蟹図」の精緻な蟹、山水図の人物、「栗鳥図」の筆遣いなど三点とも優品。
  • 伝 狩野山楽 秋実図 桃山時代;扇に柿、栗、毬などを水墨で描く。淡々として味わい深い。
  • 石樵昌安 花鳥図;信濃の画僧。着色の院体画風の作品。
  • 海北友松(1533-1615) 瀟湘夜雨図 桃山時代;袋人物が可愛い。
  • 岩佐又兵衛勝以(1578-1650) 月見西行図 江戸時代 月見ばと契りていでしふるさとの人もやこよひ袖ぬらすらん(新古今和歌集 巻第十羇旅歌 938) 寂寥感あふれる西行図。
  • 宮本武蔵(1584-1645)達磨図;武蔵の絵画は初見。
  • 狩野探幽(1602-1674)山水図 1666年(寛文六年三月十日)紙本墨画 
  • 俵屋宗達 騎馬図 紙本墨画
  • 尾形光琳(1658-1716)が二点。萩図、藤図
  • 尾形乾山(1663-1743) 富士山図;意匠化された富士が可愛い。
  • 中村芳中(?- 1819) 梅図;たらし込みと朱が印象的。
  • 皆川淇園(1734-1807) 山水図;四角を重ねた山の描写。
  • 浦上玉堂(1745-1820) 山中訪隠図
  • 岡田米山人(1744-1820) 山水図
  • 円山応挙(1733-1795) 青鸚哥図 1770年(明和7)
  • 谷 文晁(1763-1840) 隅田川両岸図
  • 司馬江漢(1747-1818) 富士眺望図
  • 葛飾北斎(1760-1849) 鯉図
  • 白隠慧鶴(1685-1768) 達磨図
  • 白隠慧鶴 座頭渡橋図;人形影絵のような意匠が面白い。
    など。

    バスの便を調べていかないと、帰りはタクシーもいないのが一寸難。
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    常設展(池大雅と浮世絵) @東京国立博物館 本館

    2007-01-04 | 絵画
    常設展 東京国立博物館 本館

    新年あけましておめでとうございます。
    実は、暮れに拝見したのだが、お正月らしい展示だったので振り返っておきたい。




    なぜか、池大雅の作品を目にするこのごろ。
    出光美術館で重文「十二ヵ月離合山水図屏風」(池大雅筆 六曲一双 明和6年(1769)頃 )や「山居観花図・高士観泉図・南極寿星図・江上笛声図・雪天夜明図」(池大雅筆 五幅対 宝暦11年(1761))を見たばかり。

    東博では、
  • 国宝 楼閣山水図屏風 6曲1双 池大雅筆 江戸時代・18世紀 団伊能氏寄贈
  • 寿星・此君・隠逸図 3幅 池大雅筆 江戸時代・18世紀 植松嘉代子氏寄贈
    が展示されていた。前者は、金地の上に墨で描かれた屏風。派手派手しく、趣味ではない。後者は、一気に書かれた勢いのよい線で描かれた筆跡がすばらしい3幅。(冒頭写真)
    2006/12/19~ 2007/1/28

  • 画帖 上 1帖 土佐光則筆 江戸時代・17世紀 岡田信一郎氏寄贈 A-1264 2帖のうち。
    画題の説明がなかったが、美しい画帖。



    浮世絵 2006/12/19~ 2007/1/14
    お正月らしい浮世絵が並ぶ。

    春信が3点。
  • 絵を描く美人 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 A-10569-1265 中判 錦絵
  • あやとり二美人 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 A-10569-123 中判 錦絵
  • 新年ひきぞめ 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 A-10569-1236 横大判 紅摺絵

  • 雛形若菜初模様・旭丸屋のはやま 1枚 礒田湖龍斎筆 江戸時代・18世紀 A-10569-2239 大判 錦絵;礒田湖龍斎の代表的なシリーズで100枚以上が知られている。吉原の高名な花魁を描いたもので流行の着物や髪形などを描いたファッションブックの役割ももっていた。とのこと。

    http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/e5/ef95da8036e60ac928415c3b7b6cc567.jpg


  • 風流五節句・元旦 1枚 鳥文斎栄之筆 A-10569-2628;海老を正月飾りに供えている。


    肉筆画として

  • 乗鶴美人之図 1幅 宮川長春筆 江戸時代・18世紀 A-461;仙人五子喬が白鶴にのって雲中を逍遥したという故事にちなむ
  • 万歳図 1幅 宮川長春筆 江戸時代・18世紀 A-478
    など。

    24日はたまたまボランティアによる浮世絵版画展示ガイドがあり、話を一部だけ伺ったが、浮世絵は軽くてお土産に最適だった。北斎の「生け花」(A-10569-5901)「女の年礼」(A-10569-5902)という2点の摺物が展示されていたが、摺物は、パトロンがいて配布するものなので絵師も気合がはいっている。宮川長春の一派は、弟子がある事件で人をあやめてしまい断絶した。とかとか、色々興味深そうでしたが、時間がなく通り過ぎただけなのが残念。

    年末、大掃除をしていたら、昔の東博の図録「浮世絵」(1984)がでてきた。カラー図版がまだ一部で殆どが白黒という年代物。698点が収録されている。当時購入してから全く読んだことがなかったが、そのなかに東博の浮世絵コレクション形成の経緯が書かれている。明治22年に旧博物館より、引き継いだ時にあったのは、菱川師宣「見返り美人」など。購入や寄贈により点数が増えていった。それが、1944年に「松方コレクション浮世絵版画」7996点(実数8204点)を加えて急増したという。これは、1919年に松方幸次郎氏がパリの宝石商アンリ・ベベール氏のコレクション売却の噂をきき、即時に一括購入したコレクション。第十五銀行から帝室に献上され、東博に移管されたという。コレクションには初期浮世絵版画が豊富にあり、春信だけで292点もあるという。「所蔵者・寄贈者・列品番号A-10569」というのは、旧松方コレクションの番号と思われる。
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