topics(656):米中首脳会談④
――にらみを利かす財務長官ジャネット・イエレン
(『米中首脳会談③――米国が繰り出した7つのパンチ』のつづき)
午前に引き続き、米中首脳会談の情報をお伝えします。
④TAIWAN DOCTRINE(台湾主義)という固有名詞の誕生
四番目はですね、11月9日にバイデン大統領がこの言葉を使ったんです。“TAIWAN DOCTRINE”です。
彼がなんと言ったかと言うと、「Taiwan Doctrine has not changed at all」 台湾ドクトリンは全く変わっていないと。
特に大統領の使う言葉というのは非常に重大な意味があるんです。特にこの固有名詞、TAIWAN DOCTRINEというのはかつて使われたことがありません。
今までは台湾政策とか、台湾問題に関する時に決まって使われた言葉はどういう言葉かと言うと、Taiwan issueです。Taiwan issueというのは台湾問題ということです。
しかし、DOCTRINEというのはPolicyよりも高い次元のものなんです。
アメリカで有名なのはMonroe Doctrineで、モンロー主義というものです。モンロー主義というのは非常に重要なアメリカの国家政策なんです。
たとえ政権が変わっても変わらないようなもので、長期的には、教義的にあまり変化しないものを指します。「台湾は常に重要ということ」。それでTAIWAN DOCTRINEという言葉を使ったわけです。
⑤ASEAN・米国包括的戦略パートナーシップの立ち上げを発表(11月12日)
五番目としては、バイデン大統領が会談に行く前に、まずカンボジアのプノンペンでASEANとの首脳会談を行なったんです。
この首脳会談でASEANとの戦略的パートナーシップという関係をさらに一段格上げして、包括的戦略パートナーシップの関係になりました。
「包括的」という言葉がつくだけで、どう変わるか?というと、実は包括的戦略パートナーシップという関係は気候変動とか公共衛生の項目も一緒に協力するということです。
明確に言っていませんが、これからアメリカの資金も技術も、どんどんASEAN諸国に導入するということなんです。ある意味でASEAN諸国に対する買収作戦です。
ASEAN諸国はいつも態度が曖昧なんです。アメリカにつくか、中国につくか、揺れているわけですけれども、今回アメリカがはっきりと、これから包括的戦略パートナーシップという関係にするということであれば、アジア諸国を一層重要視するというメッセージになります。
⑥日米韓共同声明で台湾海峡の平和と安定について明記
六番目は、日中首脳会談の直前に、日米韓3カ国の首脳会談を行なったんですね。この首脳会談の中では共同声明を出していて「台湾海峡の平和と安定は極めて重要」と言いました。
この6点によって、中国に対する包囲網を作ったわけですね。
⑦外国の高官を制裁する権限を持つイエレン財務長官の米中首脳会談への出席
七番目、これも非常に興味深いんですが、実は今回の米中首脳会談にはお互いに9人が参加しているわけです。
バイデン大統領のすぐ隣に座っているのは誰かというと、実はアメリカの財務長官であるジャネット・イエレンですね。
イエレンは財務長官で、外交とはあまり関係ないんじゃないかと思われるかもしれません。別に世界の為替問題を討論するわけでもないし、イエレンが参加するのにはどういう意味があるかと言うと、実はものすごく、中国に対する威嚇なんです。
真っ白な髪の毛の可愛らしいおばあちゃんが、どう威嚇しているのかといえば、実はすごい権限を持っているのです。
中国の関係者、特に高官を制裁する権限を持っています。中国人は、特に中国の高官、習近平の家族も含めて、ほとんどはドル資産を持っているわけです。そしてその資産をアメリカやヨーロッパに隠し持っていたりするわけです。
その制裁の権限を持つ人間は誰かと言うと、このジャネット・イエレンなんですね。
(つづきは明日)
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