コラム(403):
一旦緩急あれば――私の素朴な国防論③
(「降伏という奴隷の道を勧める人へ――私の素朴な国防論②」のつづき)
侵略されて、降伏・奴隷の道を拒否しても、日本国家が防衛に無為無策であった場合、海で四方を囲まれた日本人に国外退避することはできません。そうなると、自らの命の尊厳を保つために自決の道を歩まなければなりません。
大東亜戦争末期、日本の委任統治領だったサイパンでは多数の日本兵や民間人が海に身を投じました。唯一の地上戦となった沖縄では、沖縄本島や慶良間諸島で集団自決が行われました。最も自決した人が多かった渡嘉敷島では、村長の号令のもと329人が命を落としたと言います。
こんな悲しい歴史を繰り返してはなりません。同時に、本来ならもっと心に刻まなければならない悲劇を戦後左翼が日本批判に利用し、自決された方々の尊厳性をはなはだしく冒涜していることに対しても深い憤りを覚えます。
話し合いで解決するという幻想は捨てよ
鳩山由紀夫元首相がウクライナのゼレンスキー大統領の演説前に「なぜ外交努力をしなかったのか」と疑問を投げかけるツイートがありました。日本維新の会の鈴木宗男氏も「ウクライナ問題は、制裁より話し合いが一番だ。岸田首相自らが両者に話し合うよう働きかけてほしい」と22日の参議院予算委員会で述べています。さらに時間が遡りますが、9日の同委員会で社民党の福島みずほ氏が林外務大臣から台湾有事に対して「対話により平和的に解決されるということを期待する」という答弁を引き出しています。
対話は勿論必要なのですが、対話しても解決しないから今回のウクライナの悲劇があるわけで、なぜか国会議員にはそれが理解できないようです。話を最初から聞こうとしない相手には対話の効果はないと知るべきだと思います。たとえば、学級会で対話が成立するのは一定の秩序が保たれているから成立するのですが、学級崩壊した時点で対話がなりたたなくなるのと一緒です。
私自身、小さいころから人の意見を聞かない大人を幾人もみてきました。私の育った環境は戦後の外地からの引揚者が闇市をひらき、それらの人びとが株式会社になってマーケットにしたところでしたので、よく言えば個性豊か、悪く言えば気の荒いハチャメチャな人が多く、「何をっ!」と叫んですぐけんか腰になる、字が違う「赤嶺」さんもいました。子供心に、わからずやの大人をよく観察することができました。
子ども時分に見た物わかりの悪い大が今でも世の中に沢山います。しかも「話し合い」を強く主張する人ほど、不思議なことにもっとも物わかりの悪い人びとです。前記の登場人物など国会には多数存在します。
実際、安保法制成立のときなど、いつも対話が大事と言っていた共産党や当時の民主党議員は、多数決という民主主義の原則に抵抗して「物理的力」をもってその成立を妨げようとしました。話し合いをしても最初から話を聞く気がなく、問答無用で自分の意思を貫こうとしていたのです。そんな聞く耳を持たない人たちが、対話、対話というのは矛盾撞着以外のなにものでもありません。
結局、対話をいつも要求する人とは、自分に都合のいい話は受けるけれど、都合の悪い話、利益にならない話は絶対に受けないといっているのと同じなのです。
これを国際政治にあてはめると、ロシアや中国、南北朝鮮のような国々には対話がなりたたないということがすぐにわかります。最初から、他国の意見を受け入れるつもりはないのですから、対話というものは所詮幻想にすぎない、善良なる心情の間でしか成り立たないものだと、子供でもわかることを、政治家はしっかりと認識していただきたいと思います。
要は、話し合いで解決するということは、対話する人の心がガラス貼りになってお互いの考えていることが手に取るようにわかって初めて成り立つものです。したがって、全人類の心がガラス貼りにならなければ話し合いなどは成立しない、駆け引きだけが存在すると考えた方がいいのです。
日本人としての生きるために
これまで、長々と国防論に至る前提のお話を書いてきました。結論はすでにお分かりのように、自分で自分の身を守らなければならないのと同様、国家は自らの存続のために身を守っていかなければならないということです。他国に侵略の意思が見える以上、侵略されないようにお金はかかっても予算を組まねばならないのです。
基本的には侵略を狙う国の戦意を喪失させるのが一番ですが、それができないなら一切隙を作らない、防衛的空白地帯をつくらないことが最も肝要だと思います。それに加えて、国民一人一人が国防意識をもって祖国を守ろうという気概を見せることも侵略者の気勢をそぐと思います。その前提に立って、国防をどうするか、具体策を考えていくべきだと思います。
私は、高齢の身であっても、年寄りの冷や水と言われようが、一旦緩急あれば義勇公に奉じたいと強く念願しています。それが日本人として生きる証だからです。
(了)
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