赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

④日本が取るべき経済安全保障政策——中国共産党の罠に落ちる親中日本

2025-01-12 00:00:00 | 政治見解
④日本が取るべき経済安全保障政策
——中国共産党の罠に落ちる親中日本



昨日からの続きです

(本ブログは著者の特別の許可を得て掲載しています。なお、収録時は対中宥和の岸田政権下です。)


中国共産党の罠に落ちる親中日本

まず最初に、中国というのは改革開放の国だと思っている人がいたら、これは大きな時代錯誤でして、今や規制と統制の国なんですね。それを裏付けるのは何かというと、中国で2010年以降、特に習近平氏が国家主席に就任して以降は、国防動員法、国家情報法とか、ここから始まって今年の反スパイ法まで、非常に強力な規制と統制の法律が成立して施行されていのです。


国防動員法

では国防動員法とはどういう法律なのというところから話をしていきますと、まず1点目は中国が有事だと認定した時に、この国防動員法というのが発動されるのです。そして人民解放軍に参加するために、日本企業の中国工場にいる従業員が中国の人民解放軍に行ったとします。そうした人に対して、すべての賃金、手当、福利厚生まで全額支給せよと。何も働いていないんですよ。だけど金を払えと。

それから、日本企業の中国にある資産が政府によって差し押さえをされたり徴用されたり凍結されたりしますよというのが、54条で書いてある。それを拒否することはできませんという法律が2点目。

それから3番目は63条です。ズラズラ書いていますが大事なことは、物流は止まる、インターネットも止まる、それから航空便も止まる、輸出入も止まると、ここにいろいろ書いてますけどね。何を言いたいかというと、中国にいる日本人は、まず日本に帰ってこれません。非常に深刻です。どうなるかも分かりません。安全に滞在できるかどうかの保証はまったくありません。


国家情報法

そして、2つ目の国家情報法。これはすべての中国の国民とか中国企業などに、中国政府の行うスパ イ活動への協力を義務づけている法律なんです。そこの規定があるのが、ここに書いてある第7条です。

日本の企業で中国の国籍を持った人を採用して、会社の重要な情報とかにコンピューターでアクセスできるようにしている会社もありますが、非常に危険だと申し上げておきます。なぜならば、中国政府がその会社のその技術を欲しいと思ったら、そこで従事している中国人の従業員に「これを盗んで 持って来い」ということを命令することができるわけです。

そして、そこの日本の会社に勤めている中国人は、それを拒否することはできないのです。なぜなら国家情報法7条による法的義務を負担しているからです。こういう法律があるんですね。

それから工ンティティリスト、これはブラックリストのことです。中国もアメリカに対抗してこういったものを作りました。




輸出管理法

そして、輸出管理法というのがあります。これはサプライチェーンの前提を崩壊させた法律です。それまでグローバルサプライチェーンのお約束事というのは、人、物、金情報は国境を超えて自由に行き来して経済を発展させると言われていたのですが、そういった前提をぶつ壊した法律です。

なぜかというと、この多くの製品とか技術、それから戦略物資などを管理品目に指定して、それを輸出するためには国務院の中央軍事委員会が管理する事前輸出許可になったからなんですね。そして中国政府が「こいつ は反中国的だ」とすると、こういった輸出を不許可にしたり、中国版のブラックリストに掲載することもできるようにした。そして、輸出とかみなし輸出という制度も入れてきた。 

では、これは何かというと、ここに出ていますが、再輸出制度ですね。日中合弁会社で作っているものは、中国国内での販売は自由にできますが、日本に輸出してそこから懸念国へ輸出する、もしくはその合弁会社から懸念国へ直接輸出する場合に、中国の事前許可が必要になる。

それからみなし輸出というのは、これは技術のことです。みなし輸出ですが、これは技術のことです。これは日中の合弁会社で製品を開発していたとします。そして、これを中 国人以外の技術者、例えば現地採用された日本人技術者なんかに話す時には、技術の移転だということで事前許可を取れと言います。

それから、この合弁会社で働いている日本人技術者が日本に帰ってきたと。そして懸念国の技術者に、例えば合弁会社でこういう技術やってるんだよね、というような話をする時は、事前許可を取れということなんですね。こういう仕組みが入ったと。


反外国制裁法

それから、反外国制裁法というのもできました。これは中国政府の判断一つで制裁を発動できる法律です。中国の内政に干渉なんていうのは、何か中国は気に入らないと「内政干渉するな」と言いますけれど、要はどんな理由でもいいから発動できると。

そして、中国が大事だという確信的利益の中には、沖縄県の尖閣諸島も入っている。そして、この反外国制裁法の報復対象は、日本企業とか国会議員とかその家族、それから日本企業とかその幹部、 親会社、子会社、そして家族にまで及ぶと。そして反外国制裁法に基づいて中国の国民とか組織は、人民法院に転送できると。こんなような法律ができています。


データ三法

そして、データ三法というものもできました。これは一言で言うと、中国で開発した技術データとか 重要なデータは、中国から実質的に持ち出しができなくなったということなんですね。持ち出しができなくするために、データ安全管理対象というものを設けて広範な技術とか研究成果をその対象にしている。

そして、その重要データの管理は非常に厳格な手続きを求めて、相対国家安全官という、一言で 言うと中国共産党の体制に脅威になるようなもの、こういったものを包括情報にして適用が不透明である。そして、輸出管理とは異なる厳しいデータ管理が求められていて、今言いましたように中国国外に 研究成果とか技術を持ち出すことが困難になっています。



反スパイ法

反スパイ法が改正されました。中国の国家安全部というのは WeChatに公式アカウントを開設して、こう言っているわけです。

「反スパイ闘争の現状は厳しく複雑であって、中国全社会の動員が必要だ。中国の政府機関や人民解放軍、企業、団体などにはスパイ行為を 防ぎ国家の安全を守るという法律上の義務がある。そしてすべての中国の国民と組織は、反スパイ活動 を支援協力し知り得た国家秘密と反スパイ活動の秘密を守る。そして中国は反スパイ活動を支援協力 する個人と組織を守る。そして、スパイ活動を通報して大きな貢献をした人は表彰しますよ」というようなことが主な内容です。

国家情報法については先ほど話しましたが、これでセットになって、要は、スパイを全中国国民はやらなきやいけないし、反中国的なスパイ活動をしている人は通報しないといけないよ、ということを義務づけたわけですね。そして、一言で言うと監視密告社会が強化された。中国のすべての組織が反スパイ安全防止活動の責任を負って、国家安全を守るための教育を行い、組織を総動員してスパイ活動を防止・制止するのだと。

先ほど言いましたように、スパイ行為を発見次第、速やかに国家安全機関に通報することを義務づけたので、日本人に対するえん罪とか恣意的拘束・立件ができるようになったわ けです。

また、外国人への質問とかスパイ行為の疑いのある者への持ち物検査ができる権限が法律に書かれたので、日本企業の事務所とか事業所を捜索とか没収ができるようになったんですね。反スパイ活動に使用した疑いのある場所、設備、あるいは財物に対して封印、留置、凍結することができるようになって、状況捜査とか証拠を収集する際にありのままに提供して、拒絶してはならないと規定したので、物流とか通信が監視されますし、中国は日本企業の企業秘密、知的財産を手に入れることができるわけです。

「これ、スパイやっただろう」という口実で入ってきて、全部ありのままに提供しろということで、欲しかった技術とか企業秘密を根こそぎ持ち去ることができる。それから、もちろん日本企業にスパイ行為を名目とした捜査などを行うことができるわけですね。 サイバースパイ活動の阻止を掲げていますから、常に通信、それからDHLとかそういった郵便とか、こういったものを物とか書類のやりとり、それからデータのやりとりは日常的に監視・傍受されていますと。

(つづく)
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