Akatsuki庵

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伝世の茶道具 ―珠玉の住友コレクション―

2021年11月28日 10時07分59秒 | 美術館・博物館etc.

☆泉屋博古館 サイト
『伝世の茶道具 ―珠玉の住友コレクション―』 ※12月12日(日)まで

ちょいちょい前は通りががかるので自覚はなかったが、訪問は5年半ぶり。
今回も予定にはなく、事前に訪れた京博にてポスターを見かけて。
「あ、茶道具、やってるんだ」と。
(それで、時間も押していたので遠出はやめて茶道具展めぐりにシフトチェンジ)

泉屋さんへはっ茶道具展めぐりに熱心だった頃にじっくりゆっくり鑑賞したから大体は覚えている。

だから、その記憶がどれくらい残っているかなぁと思いながら足を踏み入れた。

意識はなかったけれど、今回はこのコレクションを収集してきた歴代の当主たちに思いが傾いたかなぁ。

展示室の入り口ですれ違った和服姿のご婦人方の「お裏せんのお道具ばっかりで。。。」と不満顔でもらしていた。
(表千家の方々かぁ。なんかね、表さんの方って、なんか裏千家に対して上から目線的な感じなんだよなぁ。いやだなぁ、、、と思いつつ展示室に入る)

これまで何度か足を運んできて、裏千家の好みに系統したコレクションだという印象はなかったけれど。

確かに、一角に裏千家歴代好みの道具を集めた展示があった。
「あ、これかぁ。さっきの和服の方々が不満をもらしていたのは」。
これは、五代当主友昌(1705-1758)が八代又玄斎一燈好みの道具を集めたに理由があるようで。
たぶん、この時は裏千家が直系を失って表千家から一燈が養子に出て、如心斎と力を合わせて、盛り上げてに頑張っていた時代。
その一燈に茶道を習いつつ、経済的にも援助したんだろうなぁと想像できる。
ちなみに、一燈好みならず、四代仙叟や五代常叟、十二代直叟、十三代、十四代があったから、住友家は代々パトロンになっていると思われる。

泉屋博古館のコレクションといえば遠州遺愛の小井戸茶碗「六地蔵」が思い浮かぶが、こちら十二代友親(1843-1890)が収集したものだと今回知った。

ま、私は「泉屋博古館イコール住友春翠」という印象が強い。(十五代友純1864-1926)

なんといっても、佐竹本三十六歌仙絵切「源信明」。
2年前に京博で拝見して以来。
籤引きで落札された37枚(表紙の住之江のも含めて)の歌切は激動の時代に翻弄されて持ち主を転々を変えられたものが多い。
その中で信明さんは住友家でずっと大切に所蔵されてきた数少ない平和に過ごした一人。

だけど、これを入手した春翠さんは茶席に掛けることなく世を去ってしまった。(涙)

他の面々と並べられた京博での展示も圧巻だけど、やはりそれぞれの所蔵場所に戻って、そこで展示されている姿も、やっぱりいい。
(ほかの三十六歌仙絵にもそれぞれの場所で再会してきたけど、その度に変遷や経緯に思いを馳せる)

他で印象に残ったのは、やはり雅さ、かな。

春翠が京都の公家、徳大寺家から養子に入ったという先入観もあるから、一層そう感じるのかもしれない。

仁清の色絵龍田川水指や白鶴香合(←大きい)
古銅象耳花入「キネナリ」(昭和3年の春翠の三回忌追善茶会に使用)

小井戸茶碗「筑波山」(大正8年、12代住友家追善茶会に使用)

青磁福寿文香炉に瀬戸肩衝茶入「真如堂」に大講堂釜。

青貝芦葉達磨香合 と添状(宗旦が有楽斎に書いたもの)

熊野懐紙(1201年 後鳥羽上皇の熊野詣の際、近露王子でしたためもの。熊野へ旅行してから、熊野懐紙に注目するようになった)

赤楽四方茶碗(伝一入作。長次郎の黒楽四方茶碗「ムキ栗」に形が似ているので、見る度に「おっ」と思っちゃう)

伯庵茶碗「宗節」。伯庵茶碗といっても、その分類づけってビミョーだなと思う。

古天明姥口釜。口径が小さすぎないか? 柄杓が入りにくそう~

筋兜切合釜と唐金平丸風炉(大西五郎左衛門、浄清の子で江戸大西家初代の大西定林)
宗旦筆の「日日是好日」

押絵「楊貴妃」。なんと伝東福門院。(宗旦が拝領したものと聞くとなるほど!と思う)

長谷川等伯の息子、長谷川久蔵が描いたと伝わる「祇園祭礼図」。
伝とはいえ、久蔵の作品が拝見できたウレシイ。

砂張舟形釣花入「松本船」。
午前中、京博の畠山展で針屋舟を拝見したので、「これで次に行く野村美術館に淡路屋舟が展示されていたら、1日に天下三舟を一挙に鑑賞したことになるなぁ」と思ったけれど、それはならなかった。
(野村美術館に淡路屋舟は展示されていなかった)

仁清の唐物写十九種茶入も久しぶりに拝見。
一つ一つの形が優美で素敵。

絵高麗梅鉢茶碗が2つ。
白地黒花文平茶碗(絵高麗梅鉢文茶碗)と鼠地白花文平茶碗(絵高麗梅鉢文茶碗)
同じ名称ながら、その2つの違いが興味深い。
別々に入手されたものという。

紅葉呉器茶碗。浪花三名物の一つというけれど、前も思ったけど立派だなぁ。

裏千家八代又玄斎一燈好みの老松唐犬釜と老松真鍮切合風炉(四代中川浄土益)。
唐犬釜は大西家七代浄玄の作。二代浄清に次ぐ名手で大西家中興の祖。さすが。

というところ。
たしか、泉屋博古館の図録は持っていたから、時間のある時に復習しよう。

※泉屋博古館のバックナンバーリストはこちら


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