Akatsuki庵

日々と向き合って

懐石の器

2022年08月03日 20時22分21秒 | 美術館・博物館etc.

『懐石の器』 8月14日(日)まで MIHO MUSEUM

MIHO MUSEUMは遠い。てか、とても不便な立地にあるので訪れるのに苦労する。
だけど、バズレがない。

だから、「行きたいっ!」と思った時はその気持ちに素直に従った方がいい。
そして、「行きたいっ!」と思うキッカケはポスターなのだ。
初めて「行きたい」と思ったのも湯木美術館で見かけたポスターだったし、
今回も野村美術館か北村美術館で見かけたポスターだった。

テーマは懐石の器。
根来塗の折敷の上に蓋をされた飯椀と汁椀、鼠志野?の向付。
懐石の一番初めに出されるセット。それがとってもいい感じの写真。

展覧会そのものは3月19日から始まっていて前期は6月5日まで。
この期間は炉の時期に出される趣向。
そして、7月9日から始まる後期は風炉の趣向。

今から思うと前期のその時期は3回も関西へ行ったのだから調整すれば行けなくもなかったんだけど、
展覧会の情報を知ったのがGWだったからね。やっぱ、無理だったかも。

そういうわけで、後期は無理をしてでも行きたかった。
貴重な機会なので、事前に展示リストを印刷し向かう電車内で目を通した。

まずは導入部。
一通りの懐石の器が進行に合わせて並んでいた。
桃山時代の織部向付。室町時代の根来丸盆。
へぎ目の溜塗角丸折敷が優美だなぁと思ったら渡辺喜三郎の作だった。

八寸は現代のもの。高取焼桃形鉢は江戸時代。
と、昔のものと近代のものが取り合わされているのが絶妙でいい。

絵唐津桃型向付もよかったなぁ。
黒掻合塗飯汁椀に挽目溜塗煮物椀、へぎ目溜塗通い盆に飯器と杓子は喜三郎。

型吹き葡萄文蓋物。江戸時代のものだけど、とてもモダンな茶碗。
織部渦巻文小鉢なんて、まるで現代の感覚。

そして、やっぱり喜三郎の挽目溜塗むぐら椀。

丸盆に四つ椀(飯椀、汁椀、坪椀、平椀)の展示もあった。

第二章は「席入り」。
宗峰妙超の墨蹟に芦屋霰巴地紋真形釜と唐銅朝鮮風炉、寸松庵敷瓦。

ほーと思いつつ、第三章「向付の器」。いよいよ展覧会の神髄。
高取焼の桔梗形向付、よかった。
萩の割山椒向付、脚のカーブがゆるいところがよかった。
絵唐津の矢文向付。矢の文様が一つ一つ違うのはお約束。

展示物のケースの上には実際の料理を盛りつけた写真パネルも紹介されていて、それもよかった。
乾山の色絵雪杉図向付には鮒鮨が、銹絵染付藤図向付にはさよりのお刺身、銹絵百合形向付には鱧(←益田鈍脳旧蔵)。
同じ乾山でも色絵竜田川図向付は井上馨旧蔵。こちらは鯛のお刺身。

まだ乾山は続く。銹絵絵替向付(丸くて平たい器)にはヒラメ。

狩野探幽下絵による鉄燗鍋もあった。
根来の角切折敷も素敵。
古染付の寄向付は余所でも見たことあるけど、ほんとバラエティに富んでいて楽しい。

別々の窯元による寄向付は渋くてかっこいい。

第四章は「煮物椀」。
室町時代の桃漆三つ椀「秀衡椀」、巾着漆絵三つ椀(秀衡椀)は「身」が浅い。

植物文漆絵三つ椀(大椀・小椀)は「身」と「蓋」の大きさの比率にビックリ。
蓋が大きい。身に対してズボッと入ってくる感じ?
蓬莱漆絵椀 椿漆絵三つ椀(秀衡椀の中椀・小椀)も同じく。蓋が身に深く入る。
「昔は汁の量も少なったのかな?」とも思う。

青漆絵替蒔絵螺鈿椀。蓋裏に螺鈿。
朱漆松蒔絵菓子椀は原羊遊斎の作(個人蔵)

秋野漆絵椀は佐野長寛作。蓋に特徴。小ぶりでちょっと変わっててよかった。写真パネルには胡麻豆腐が盛りつけてあった。

第五章は「焼き物の器」
高取に織部に信楽。一通りの有名どころの窯によるお皿や鉢が並んでいた。

第六章は「強肴(預け鉢・酒盗)と漬物鉢」
仁清の白釉円孔透鉢。畠山?所蔵のもいいけど、こちらもすてき。
後はみたけど、省略。

そして、第七章「近衛予楽院の茶会記から」
近衛家熈さんのことですねぇ。肖像画も拝見できた。
白磁無地金彩馬上盃は薩摩から近衛家に献上されたもの。
島津家とは関係性が強いからねぇ。

茶会記から再現された懐石の盛付?料理がユニークだなぁと思った。○とか△とか□。

第八章は「菓子器」
黒漆菊花形盆に根来菓子盆、砂張菓子盆。
黒塗の縁高は渋かった。
切子丸形ガラス三段重に龍安寺蒔絵縁高と菓子を圧倒する器が多くて、ちょっと食傷気味。

第九章は「ガラスの懐石」
ここも凄かったなぁ。
ぎやまん!という感じのもあれば、繊細な切子から彫絵が描かれたものまで多彩。
江戸時代のガラス技術、すごい!

中でも薩摩切子銅紅被せ十字文碗。紅色の鮮やかさがすてき。
ミュージアムショップにクリアファイルがあったので、購入。

ここまで来てかなり疲れた。

第十章は「後座」
懐石は終わり、中入りを経て、茶事ではメインなんだけど、懐石の器をメインに鑑賞してきたので、「もういい」状態。
さらっと流す。
信楽の一重口水指、唐物の丸壺茶入、大井戸茶碗「小一文字」、茶杓「無事ゝゝ」(沢庵作)など。
仁清の流釉輪花水指も出ていたのだけど、ちょっと記憶にない。
一閑張茶器はかろうじて覚えてる。初代一閑かぁ。

最後にMIHO MUSEUMが建設されるビデオを少し見た。
1995年秋かぁ。
そういえば、東京に来てから「ん? 滋賀のそんなところに美術館あったっけ?」と思ったなぁ。

というわけで、滞在時間は2時間。
今回も堪能した展覧会だった。

MIHO MUSEUMのバックナンバーリストはこちら


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« MIHO MUSEUMのバックナンバ... | トップ | ちはやふる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

美術館・博物館etc.」カテゴリの最新記事