『細川家の茶道具―千利休と細川三斎―』 永青文庫 ※7月17日(月・祝)まで
7月の三連休は暑かった。
2日目、3日目と外出も危ぶまれる猛暑という天気予報だったので、
平日の疲れが残る中を曇天の初日=7/15(土)=午前中にお出かけした。
細川家の茶道具ねぇ。
たぶん、観たことあるものばっかりだよねぇ。
サイトのPDF目録を閲覧しても、なんとなーく見覚えがあるんだよねぇ。
ふぅん、前後期で入れ替わったものも結構あるのかぁ。
会期開始の5/20(土)からこんな調子。
「そのうち、時間に余裕があれば(行こうかな)」と思っているうちにはや会期切れ目前。
観た事あるものばっかりでもいい。とにかく3連休、1か所ぐらいはどっか行っときたい。
そんな気持ち。
永青文庫は文京区。遠いんだよなぁ。
でも、皇居(てか旧江戸城)の西側の縁を回っていけば新橋から徒歩100分かぁ。
早起きしたらウォーキングがてら?
とは目論んだものの、週末で体力が落ちまくっていたのと蒸し暑さ半端なく無理っ。
頑張って1駅歩いて有楽町から地下鉄を利用。
有楽町-江戸川橋だと180円。初乗り料金だけど、そもそも180円の初乗り料金って。
いつの間にこんなに値上がりしたのっ!
もともとキャッシュレス利用だったから交通費って実感なかったけど、改めて確認すると驚く。
でも、江戸時代の武家屋敷の雰囲気が残る界隈はいい。
石垣を転用した江戸川公園。
ちょっと早めに到着したので肥後細川庭園を散策。
「→永青文庫」の案内板に導かれて斜面を登った。
おぉ。見える。開館前で門扉が閉まっていたのでベンチでしばし待つ。
そうやって、10時すぎに入館。
細川家の方々の肖像画って、細川幽斎の印象強い。
息子である細川三斎(細川忠興)も活躍した大名なんだけど、肖像画ってあまり印象に残っていない。
観たことはあるハズだけど、改めて観て「ほー。こんなお顔だったのかぁ」。
司馬遼太郎の『関ケ原』に出てくる神経質な忠興の印象そのもの。
その三斎が削った茶杓が2本。
「けつりそこなひ」と「くろつる写」
どっちだったかなぁ。パッと見「『ゆがみ』に似ている」と思った。腰をちょっと捻った感じが。
少し離れたところに利休茶杓『ゆがみ』も展示されていて、これは何度も拝見したものだけど、
改めて観て「やっぱり、さっきの三斎作のと似ているよねぇ」。
解説文を読んで意外に思ったこと。
三斎はこの『ゆがみ』を他の人(平野某)に贈っていた!
それを100年くらい後の時代になって平野家から細川家に返されていた。
って、そんな来歴はフツーに知られていることなのに今更ながら気がつくとは。(^^;
千利休が失脚して京都から堺に戻る時に淀川べりから見送った古田織部と細川忠興に対し、
その御礼と別れの印にと、利休は織部には茶杓「泪」、忠興には「歪み」を贈った。
と、これは茶道を習い始めた時に読んだ入門書に書いてあった。
織部は筒に入れて位牌代わりとし、肌身離さず所持していたという話も知っている。
なので、てっきり、三斎も肌身離さずとはいかぬまでも大事に持っていたものだとばっかり。
だから細川家に遺っているもんだと思い込んでいた。
師匠から贈られた遺品の茶杓をあっさり他人にプレゼントしちゃうんだぁ。
戦国大名って明日をも知れぬ命だったりするから、物に執着しないのかなぁ。
(織部は執着することが仇になって、逆に最期には切腹してお家断絶になって大事な茶杓も徳川家に没収されちゃったってこと?)
あまりにも両極端な茶杓の扱われ方(?)に唖然とした(ホントに今頃になって!)。
他は「あ、久しぶり~」みたいな。
大西浄清の四方釜「とまや」。かっこいい形~
瀬戸の「出雲肩衝」に呼継茶碗、伝・長次郎の黒楽茶碗「おとごぜ」、粉引茶碗「第高麗」。
南蛮芋頭水指(ベトナムの産だよねぇ)、利休尻ふくら、瓢花入「顔回」。
今回、注目したのは添え状。
茶杓「ゆがみ」の添え状。
まさに三斎が平野長泰に送った書状。ずいぶんと長い。なんて書いてあるかは知らん。
(やっぱり、茶道具って周辺道具までセットで鑑賞しないとちゃんと理解したことにならないねぇ)
「顔回」の添え状(利休筆)も。
あと興味深かったのは「花伝書書抜書」の文書。
古田織部が細川忠興に宛てた書状が3通。茶カブキの記録が3通。
「へぇ~。こういうのがあるんだぁ。初めて観た~」と思ったら、初公開だった。(だから当然)
意外?に感じたのは三斎とガラシャの息子・忠利が沢庵推しだったということ。
肖像画をわざわざ京都まで持参し(←持参したのは家来だと思うけど)賛を書いてもらってた。
他にも沢庵筆のものが多数。
後半は近現代の細川家当主の作品。細川護立氏、細川護貞氏、細川護熙氏。
この辺りはサラッと流して観ておしまい。
細川家の人々が住まわれていた洋館は階段を下りる時もキシキシという音がする。
気のせいか、以前よりもその音が大きくなったような、そしてより軋みを感じるようになったような。
いつまで、このお屋敷が美術館として存在できるのだろうか。
それがちょっと心配。
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