民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「プロポーズ」 リメイク 2 by akira (ライブバージョン)

2012年02月04日 23時15分27秒 | 民話(リメイク by akira)
 みんな そろそろ眠くなってきたみたいだな。ーーー子供たち、顔を上げる
ちょっと 語るか。(ワーイ)ーーー子供たちの声
「プロポーズ」でいいか。(パチパチ)
じゃ、「プロポーズ」やっかんな。

あいづちは?・・・(フントコショ)


 オレがじいちゃんから聞いたハナシだ。(フント)
どうも ウソくせーんだけど、まぁ、ほんとのハナシだと思って 聞いてくれや。(フントコショ)

 むかし、じいちゃんが 結婚式に呼ばれたと。(フント)
今じゃ、結婚式っていうと、たいがい 結婚式場ってとこで やっけどな、(フント)
むかしは そんな気の利いたモンねぇ、たいがい、婿さん家(ち)でやったモンだ。(フントコショ)

(おめーらは行ったことねーから わかんねえーだろうけど、
あっ、アイコは行ったことあったな、ちっちゃい頃、・・・覚えてっか?)


 結婚式ってのは、最初は 新郎側、新婦側って 二つに分かれてるんだ。(フント)
なんせ その日 初めて 顔を合わせるって人が ほとんどだかんな。(フント)
それが、乾杯の音頭で、みんな 酒を飲みだすと、
いつのまにか そんな壁も なくなってな。(フント)
歌ったり 踊ったり にぎやかな宴会に なっていくんだ。(フントコショ)

 今じゃ、車がどうのこうのって、飲むヤツ 少なくなったけど、(フント)
むかしは みんな よく 飲んだモンだ。(フントコショ)

 結婚式ってのは めでたい席だ、どんなに 酒 飲んだって 誰も文句言わねぇ。(フント)
じいちゃん、すすめられるままに 飲んでるうち、いい気持ちになって 寝ちまった。(フントコショ)

 どれくらい たったか、なんか声がするんで 目が覚めたんだと。(フント)

ツル「今日のお嫁さん、きれいだったわね。」(女声)
カメ「うん。」〔男声)

 あれっ、誰がしゃべってんだべ って、まわり 見ても 誰もいねぇ。(フント)
おかしいな、って、耳を凝らすと どうも 床の間の方から 聞こえてくる。(フント)
床の間には 縁起モンの 鶴と亀の絵が描いてある 掛け軸がかかってる。(フントコショ)

ツル「結婚って いいもんね。」
カメ「うん。」

 掛け軸ん中のツルとカメの口が動いたように見えた。(フント)
あれっ、変だな、飲みすぎたかな。(フント)
目をパチパチさせていると、またツルとカメの声が聞こえてきた。(フントコショ)

ツル「ねぇ、カメさん、わたしたち もう そろそろ 結婚してもいいんじゃない?」

 カメさん、それを聞いて、一瞬 嬉しそうな顔をしたけど、すぐに下を向いちまった。(フント)
その様子を見て、ツルさん、不安そうに カメさんに言った。(フントコショ)

ツル「わたしのどこが気に入らないの?・・・首の長いとこ?」
カメ「ううん。」 
ツル「足の長いとこ?」
カメ「ううん。」
ツル「口がとんがってるとこ?」
カメ「ううん。」

ツル「じゃ、わたしの どこが気に入らないの?」

 カメさん、下を向いたきり、口を開かない。(フント)

ツル「ねぇ、教えて、わたしの どこが気に入らないの?」

 ・・・・・かめさん、やっと 重い口を開いて、(フント)

カメ「オレもツルさんのこと 好きだよ・・・・・だけど・・・おいら 結婚したって、
ツルさんは 千年しか 生きらんねぇだろ。オレは 万年も 生きられるんだよ。
男やもめに ウジがわくって 言うだろ。
オレ 九千年も 男やもめで過ごすのは イヤだよぉー!」

 って、言ったと。(フントコショ)

 おしまい(これで いちがさきは おえもうした、しゃみしゃっきり、ねこすけぽっきり)