民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「友達のとこのネズミ」 リメイク by akira

2012年02月07日 22時47分48秒 | 民話(リメイク by akira)
 (オレがちっちゃい頃)じいちゃんから聞いたハナシだ。
 (いつものように)ほんとかうそか わかんねぇけど、
ほんと(う)だと思って 聞くんだぞ。

 むかーし、じいちゃんが若い頃 友達んとこ、遊びに行ったんだと。
6帖一間の部屋でな、いやぁ、汚いのなんの、食ったモンはそのまんま、
(掃除なんかしたことねぇんだろうな)
足の踏み場もねぇほど、ごみだらけなんだと。
(まぁ、男の一人暮らしってのは たいがいそんなモンだけどな)

 そんで、じいちゃんが友達と話(を)してるとな、
ゴミの山のあいだっこから なんか黒いモンが動いてんのが見えんだと。
最初、「なんだんべ」と思って 見てたんだっけどな、
どうもネズミみてぇなんだと。

「なんだ、おめぇ、部屋ん中にネズミがいんぞ」
「あぁ、飼ってんだ」
「なに? 飼ってんだと?・・・ネズミをか?」
「あぁ」
こともなげに言うんだと。

「エサやってんのか? ずいぶんちっこいようなネズミだったけど・・・」
「いや、エサには不自由させてねぇ。でっけぇはずだ」
「いや、ちっこかったな」
「いや、でっけぇ」
「ちっけぇ」
「でっけぇ」
って、言い合っているとな。

 ネズミが出て来て、二人をチョロッ、チョロッと見てな。 

「チュウ」

って、鳴いたとさ。 

 おしまい