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「知らざあ言って聞かせやしょう」 1、歌舞伎と人形浄瑠璃は兄弟の演劇 その2

2017年03月01日 00時12分33秒 | 伝統芸能(歌舞伎など)
 「知らざあ言って聞かせやしょう」 心に響く歌舞伎の名せりふ 赤坂 治績 新潮新書 2003年

 1、歌舞伎と人形浄瑠璃は兄弟の演劇 その2

 この関係は、正徳期(18世紀前半)以降、さらに親密になります。当時振るわなかった歌舞伎は、起死回生の策として、人形浄瑠璃のヒット作の歌舞伎化を始めたのです。以降、歌舞伎の中で、人形浄瑠璃を原作とする作品は大きな比率を占めるようになります。(人形浄瑠璃を歌舞伎化した作品を「義太夫狂言(物)」「丸本物」などと言う)。逆に、人形浄瑠璃も歌舞伎を採り込みました。

 しかし、二つの芸能は、形が異なるため、台本の書き方は違います。
 歌舞伎の台本(「台帳」と言う)は基本的に、人(擬人)と人(擬人)が対話する、対話形式で書かれます。ト書き(登場人物の動きの指定)と舞台書き(大道具の指定)を除き、それぞれの役のせりふで成り立ちます。