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「大本営発表」 その5 辻田 真佐憲

2018年01月21日 00時05分20秒 | 雑学知識
 「大本営発表」 その5 改鼠・隠蔽・捏造の太平洋戦争 辻田 真佐憲 幻冬舎新書 2016年

 「はじめに」 その4

 詳しくは本文に譲るが、その謎を解く鍵は、軍部と報道機関の一体化にある。
 先述のとおり、日本の新聞はもともと軍部に好意的ではなかった。ところが、1930年代に満州事変や日中戦争が勃発するとその流れが大きく変わった。各紙は戦争報道でスクープをあげるため、軍部に協力的になったのである。軍部はこの変化を巧みに利用し、取材の便宜を図って新聞を懐柔するとともに、「新聞用紙供給制限令」や「国民徴用令」などを用いて新聞を隷属化に置こうと目論んだ。こうして1941年12月の太平洋戦争の開戦までに、軍部とマスコミの関係は、対立から協調、そして支配・隷属へと急速に変化した。

 なるほど、デタラメな大本営発表の原因には、日本軍の組織的な欠陥(組織間の不和対立や、情報の軽視)もあった。あるいは戦局の急激な変化もあった。ただ、軍部と報道機関の一体化は、こうした問題を何倍にも膨れ上がらせた。ジャーナリズムのチェック機能が失われたからこそ、大本営は縦横無尽にデタラメな発表を繰り返すことができたのである。

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