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「知らざあ言って聞かせやしょう」 1、台本もせりふもリサイクルされた その3

2017年02月26日 00時10分32秒 | 伝統芸能(歌舞伎など)
 「知らざあ言って聞かせやしょう」 心に響く歌舞伎の名せりふ 赤坂 治績 新潮新書 2003年

 1、台本もせりふもリサイクルされた その3

 けれども、似たような作品ばかりでは新鮮さに欠けます。そこで、流行なども織り込み、新鮮な工夫も加えました。これを「趣向」と言います。

 江戸時代は良いものは捨てずに再利用(リサイクル)していましたが、演劇も過去に大当たりした作品に工夫を加え、何回も利用したのです。台本だけではありません。せりふも再利用しました。以前の作品で評判の良かったせりふを新しく作った作品で再利用することは珍らしいことではありませんでした。そのため歌舞伎・人形浄瑠璃にはたくさんの類型作品・類型場面・類似のせりふが成立しました。

 要するに、古い作品を受け継ぐことと新しい作品を作ることを同時に行ったのです。型を受け継ぎつつ、型を破ってきたと言い換えることもできます。こうして、歌舞伎・人形浄瑠璃は、古い形を残すことで洗練を重ね、新しい感覚を採り込むことで幅を広げていきました。芸術性を高めながら、同時に時代に適応する力も付けてけたのです。

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