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「青春風土記」 (旧制高校物語) その3

2016年04月28日 00時05分13秒 | 雑学知識
 「青春風土記」 (旧制高校物語)  週刊朝日編 朝日新聞社 1978年

 名物教授 P-109

 夏目漱石やラフカディオ・ハーンらが教鞭をとったことがあるので、教授陣は多彩をきわめた。なかでも龍南健児の話に必ず登場するのが英語の山県元治教授。別名ヤマガタガンバル。のちに首相になった池田勇人(大11)などは相当いためつけられた。京大を出て大蔵省に入った池田が、熊本税務監督局(いまの国税局)直税部長として赴任したおりの話。
「池田君は大蔵省に就職したというが、身分は属官かね」
「いや本雇いです」
「ほう、大蔵省ってのはいい役所だ。君みたいな者を高等官として入れてくれるなんて」

 山県教授の授業はきびしかった。生徒がくだらない質問をすると「愚問」の一喝。あてられてつまると40点、一度でも「できません」といってことわると30点。みんな震えあがった。そのせいか大学へ進んでからの五高出身者は英語のできが抜群だった。大内兵衛(明42・東大経)の話。
「1年のときは大学を出たばかりの厨川白村に習った。東大卒業のさいにもらった恩賜(おんし)の銀時計を机の上におき、生徒に約読させる。われわれにとって銀時計は無言の脅威だった。2年になって山県先生の講義を受ける。訳をつけているとき『もう一度』といわれたら、生徒の誤訳。生徒にとっては、このほうがこわかった。だまってエンマ帳に赤マル(落第点)をつけられたからである。


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