民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「間と呼吸」 鴨下 信一

2016年09月23日 00時26分09秒 | 朗読・発声
 「日本語の学校」 声に出して読む<言葉の豊かさ> 鴨下 信一 平凡社新書 2009年

 「間と呼吸」 P-21

 次は呼吸のことです。
 間(ま)は呼吸だ――こう教えられてきたし、人にもそう教えてきましたが、経験を積むうちに、これはどうも誤解を招く、もっと微妙な言い方をしたほうがいい、思うようになりました(このことはマイクなどの音声機器が発達、普及して、むやみと大きな声を出さずに朗読ができるようになったことと関係があります)。
 たしかに肺の中の空気を使い切ってしまうと、もう読めません(ここから後は実際にやってみてください)。ところが、肺いっぱいに息を吸っても同様に読めないのです。吸った息をちょっと吐き出すと、読める。
<肺の中にいつも適当な(必要な)量の空気が入っていればいい>のです。
 そのためにはどうすればいいか。
 長い間(ま)をとってもいい時に、ゆっくり、たっぷり息を吸うことは誰にだってできます。問題は、短い間(ま)のあいだに、すばやく、必要な量を吸えるかどうか。

 A③日本語は、a 世界一、b 美しい言葉です。

 この例文を、aは長く、bは短い型(パターン)で練習しましょう。「日本語は」の後のa「、」でゆっくりと息を吸っておきましょう。「世界一」の後のb「、」はサッと速く吸ってみましょう。意外と朗読のベテランの人でも、こうした基礎的(ベーシック)なことがうまくできない。
 コツがあります。それは「世界一」の語尾を「ちゃんと止める」ことです。語尾の音(つまり息)をちゃんと止めると、反射的にスッと空気が入ってくる。
 昔の人はうまいことをいいました。これを「息を継ぐ」というのです。


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