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江戸の卵は一個400円」 その12 丸太 勲

2015年04月02日 21時22分48秒 | 雑学知識
 「江戸の卵は一個400円」 モノの値段で知る江戸の暮らし 丸太 勲 光文社新書 2011年

 「紅一匁は金一匁」 P-76

 女性の美には金がかかる。これは古今東西みな同じだが、江戸の女性は驚くほど高価な化粧品を使っていた。それは、紅花から採取する赤い色素から作った「紅」で、紅の重さと金の重さ同等の価値があると言われたほど高価な物だった。
 紅花の色は黄色で、その中にわずか1%の紅の色素を含んでいる。この1%を取り出すために摘み採った花を水にさらし、乾燥させる工程を何度も繰り返す。この工程で水に溶けやすい黄色の色素が抜け、紅色の色素が残る。これをさらに加工して紅色の団子「紅餅」にし、これを京都の紅屋が買い取って口紅に仕上げた。
 お猪口状の陶器の内側に紅を塗り固め、水を含ませた紅筆に取り、唇に塗る。当時は紅を塗るとは言わず、紅を「点(さ)す」と言った。主に筆を使うが薬指を使うことも多く、薬指のことを「紅点し指」とも呼んだ。
 純粋な紅は塗り重ねると赤い光を吸収し、緑っぽい玉虫色に輝く。これを「笹紅」と言い、女性の間で大流行した。錦絵にも、下唇が緑色に描かれた女性が登場する。
 ただし、「紅は一点(ひとさ)し30文(600円)」と言われたほど高価な物。これを塗り重ねるのだから、笹紅化粧ができるのは商家のお嬢さんか吉原の花魁(おいらん)くらいだった。それでも「笹紅」にしたいというのが女心。やがて、美を追求する女の執念は安価な笹紅化粧法を生み出した。薄く墨を塗った上に紅を点すと、笹紅もどきに仕上がったのだ。
 紅の値段は1~2両(12万8,000円~25万6,000円)。現在も紅花から抽出して作られた紅は売られており、値段は1万2,600円で40~50回使用できる。

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