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「大放言」 その27 百田尚樹

2017年11月15日 00時18分40秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「大放言」 その27 百田尚樹  新潮新書 2015年

 囚人さえも壊れる仕事 P-56

 今にして思えば。、父は決して仕事が嫌いではなかったと思う。仕事や職場の愚痴をこぼすのは聞いたことがないし、毎朝、機嫌よく家を出ていった。母も父が転職したいと言ったのを聞いたことがないと言っていた。

 父はおそらく仕事をする喜びを感じていたと思う。壊れた水道管を直すことにより、その地域に住む人々の役に立つという喜びがきっとあったと思う。労働の喜びとはそういうものであるはずだ。

 これは有名な話だが、囚人に与える最もきつい仕事は、穴を掘らして埋め戻させる仕事だという。この作業を延々と続けさせると、どんなに精神的に強い囚人も心が折れ、やがて肉体的にも崩壊する。逆にどれほど過酷な労働をさせても、それが何かしら役に立つ、あるいは何らかの達成感があるという仕事なら、囚人は耐えられるという。

 私はこの話には、「労働」の深い意味が読み取れると思う。世の中に役に立たない仕事はない。どんな仕事であろうとも、それは社会や人のためになる。労働の本当の喜びはそこにあるのではないか。 

 

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