標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

「事故としては過去のものだが被爆は現在進行中だ」:特集「被爆の森」より

2018-06-19 19:45:51 | 日記
先日、今年の3月7日の再放送だが、NHKBS1で「被爆の森2018 見えてきた“汚染循環”」という番組での科学者の言葉だ。



2016年3月には「被曝の森~原発事故5年目の記録~」の続編だ。除染作業が進み、帰宅可能な地域が出てくるなか、山間部を中心に「帰還困難区域」として取り残される地域での、7年たっても汚染が循環する実態を報告している。

「帰還困難区域」で、放射性物質はどのような影響をもたらしているのか? 科学者による研究は、より深く、より多角化しているという。これまで調査されてこなかった高線量の森に踏み込み、生態系の中で放射性物質がどのように移動・残留しているのか、解明が進んでいる。番組では科学者たちの挑戦や住民の思いを追っていた。

放射性粒子の中で最も、重要なのはセシウム137である。半減期は30年で長い。まだ、7年過ぎたところだ。セシウムは水に溶けやすい。そこで、森から湧き出た川の水を調べたところ、国で定める基準値を下回っている。飲料に使うことも許されるレベルとのこと。しかし、森の落ち葉、土壌、植物、動物は汚染されている。水が汚染されていないのは、森にしみ込んだセシウムは粘土鉱物に蓄えられていて、地下水まで届かないためだろうという。

セシウムは樹木の皮に蓄えられる。スズメバチの巣はこれら樹皮を材料に作られるので、セシウムを含んでいる。また、植物の柔らかい部分(葉や新芽)に蓄えられる傾向があり、それを鳥や野生動物が食べる。科学者は語る。「こうして野生動物の体内には多くの放射性セシウムが残留している」と。そして「そいう意味で事故としては過去のものだが被爆は現在進行中だ」という言葉へと続く。そして、「森は綺麗なんだけれども、見えないものを見なくてはいけない」と研究者は語っていた。
目に見えぬ汚染が循環している。

番組では、住民の活動についても触れていた。「帰宅困難区域」の家々を一軒一軒巡り、放射線量をチェックしたり、環境整備に務めている。住民は語る。「少しでも元に近づけたい」、「かえって来いよ。かえって来いよと言わんばかりに、自然は美しさを・・・」、「おれらの時代は過ぎちゃったよ」、「帰れる人だけ帰れるように。子供たちはあとでもよいから」、「ふつうは(例えばテーブルが)汚れたら、汚れたところから拭くでしょ。そして、乾いた布巾で周囲を拭く。でも、汚れた部分はそのままにしておいて、まわりからやっている・・・?}。

「帰宅困難区域」に住んでいて、今は避難地に暮らす住民の思いは様々だった。しかし、「愛着心と」「帰りたい」という気持ちは共通しているようだった。
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