標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

「無秩序からの秩序」が豊洲市場で確立するのだろうか?

2018-10-12 19:51:33 | 日記
昨日は豊洲市場が動き出した。都知事や市場関係者の一部は、ほぼ想定通り順調に開場できたと早々というが、ターレの火災とその人身事故が起きた。また、時間が経つにつれ周辺や場内で渋滞が生じ、さらに温度管理などの問題点が出てきた。果たして問題ないと言えるのだろうか?

「さしたる問題がない」というのは、これも日本人の特性なのだろうか、はたまた、人間の心理傾向なのか? 「問題なく事が進んで欲しい」と願うあまり「(多少のことは無視し)問題なし」となってしまう。「無事」であることには越したことはないが、少しでも不備などが生じた場合は、謙虚に事態を捉え対応することが必要と思う。

報道によると、豊洲市場に進入する道路の整備が十分でないことや市場内の通行等のルールがないため混乱している。また、荷下ろしのための構造は、トラック荷台の後方からの積み下ろしのために作られている。車体の横からの荷物積み下ろしに備えた構造になっていない。しかし、横の扉を開け通路等の床に荷物を降ろすなどしたため、降ろした荷物を他の車両に積む作業ができないなど、渋滞等の問題が起きた。

また、温度管理も想定より高くなったようだと反省点もあり、計画通りに行かなかったようだ。

さらに、市場内の運搬に使われるターレという乗り物は、前輪が360度回転でき、小回りが効く。電動で最高時速も15キロぐらい。私も、かつてターレに載って作業したことがある。車体と地面との間も狭い。通常の車より馬力はなさそう。長時間運転には向かない。短い距離の作業には、とても便利だが、平らなところでの移動用だ。

しかし、豊洲市場は外からの荷物の入荷は上層階に設けられている。各市場がある1階への荷物運搬は、ターレで行い、しかもスロープを昇り降り通行しなければならない。昇りには電気を通常より消費する。また、階を移るときはU字にターンしなければならない。都などは開業に先立ち、ターレでの通行試験を行い、下り坂では荷崩れ、カーブでも荷崩れと壁への接触などを経験している。しかし、対策は十分講じられていないようだ。

仲買業や卸業の関係者も、渋滞や多少の混乱は「初日だから仕方ない」という人もいるようだ。報道番組のコメントでも、築地も始めは、秩序がなかったが、やがて築地なりの秩序(ルール)ができた。それが豊洲では通用しない。今は豊洲でも無秩序の状態だが、豊洲なりの秩序ができるのではないか? できて欲しいと語っていた。

しかし、有害物質が出るなどして開場が延期され、対策を施したとはいえ、補修後、地盤沈下なども生じている。震度5以上の地震が発生すると、液状化現象も予想されている。

豊洲市場の広さは、築地の1.7倍だという。しかし、上述した問題点の他、1店舗の間口が狭い、水産卸売場棟と青果棟とが離れているなど様々な課題がありそうだ。
果たして「無秩序から豊洲なりの秩序」が順調にできるのだろうか。

一方では鮮度を保つために温度管理には工夫している。今まで輸出できなかった国が豊洲の管理だと輸出が可能になる事例もあるという。
期待と不安が同居する状態だと思われる。

今後も、謙虚に丁寧に、さまざまな課題に対応し、都や市場関係者、そして市民で安全で安心できる豊洲市場を作っていくしかないと思われる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする