
【2007年の記録です】
日が昇って、正面の家々が照らされてきた。
今日はこのハイデルベルグを発つ日だ。
たった、2泊の滞在なので、
しかも、娘が打撲で自由がきかず、
休養に訪れただけのような滞在だったが。
「哲学の道」からお城を眺めたり、
ネッカー川クルーズを楽しんだり、と
やり残したことは多い。
でも、縁があればまた来られる。
子連れの旅では
その町々で一番行きたいところをひとつ決めておくといい。
欲張らず優先順位を決め、ひとつずつ順に、
状況が許せば叶えられる、とゆったりした気持ちでいると、
うまくいく。
学生時代、友達とまわった時のように
「あそこも、ここも」が出来ないのであるが、
子どもがいると、豊かな出会いもその分多い。
さて、朝の光がさした向かいの家の屋根が可愛くて写真をパチリ(上)。

このホテル最後の朝食(上)。
器やテーブルセッティングのセンスが本当に私好みだった。
手前の青い壺は・・・。
恐る恐るふたを開けてみると、
ゆで卵が入っていた。
手に持つと、まだゆでた時の暖かさが残っていて。
そのセンスある配慮に感激した。
10時にはホテルをチェックアウトして、
11時05分発の列車目出して、トラムに乗り込むことにした。
切符売り場で切符を買うとき、
ドイツ語がわからなくて、もたもたしていると、
娘が横から、「英語にできるじゃん」と
なにやら画面を指で押した。
「あらま、あなたどんな魔法を使ったの」とは言わなかったが、
なるほど、まず、画面上にイギリスの国旗が付いているかどうかを
捜すべきだったのね。
娘に教えられたのであった。
さて、守備良く切符は買え(大進歩)
ホッとする間もなく、乗りたい方向のトラムがやってきた。
小さい時よく通信簿に
「おっちょこちょいです」と先生に書かれたが、
その通信簿に洗脳されてしまったのか、
うっかり、何番のトラムかを確認しないで乗ってしまった。
ホテルの前に止まるのは5番と24番なのだが、
5番しか駅には行かないと思い込んでいたので、焦った。
だって、車内にはっきりと、「24番」と書いてあった。
「おー、間違っちゃった、ママ、
待ってね、運転手さんにどこで乗り換えるか聞いてくる」
と言って席を立ち、
運転手さんに聞いた。
「中央駅に行きたいのだけれど、
どこで乗り換えたらいいの?」と。
英語が通じてよかった。
運転手さんは
「これでそのまま、駅まで行けるよ」
なーんだ、と安心して座ると、
娘に「ほら、あそこに煉瓦色のアーチが見えるでしょ、
その横にやっぱり煉瓦色の塔のある建物が見えるでしょ、
あれがね、ハイデルベルグ城なのよ」
と興奮して教える母に
娘が低い声で反応する。
「へぇー」
な、なるほど、お城を見ても「へー」なのね。
最後の観光は肩すかしに終わった。
ま、そんなもんかな、と思って
あれ、見覚えのある景色だわ、
えー、あれはまさしく駅、中央駅。
恐ろしく早く着いた気がした。
行きは25分はかかったのに、
そうか、駅から5番のトラムに
24番のこのトラムに
「あの親切なおじいちゃん、遠回りするトラムを教えてくれたんだ、
なーんだ、親切なだけに怒れないけど、いやだなあ、もう」
などと娘に言いながら、
ま、まさか、
ここはドイツ、
しかし、この偶然、
おじいちゃんに挨拶すると、