
【ほとんど顔がわからないが、マリ=アニエス・ジロとカール・パケット】
バレエに興味を持ったのは37歳のとき。
とっても遅かった。
パリに旅行に来ていたとき、娘を預けたベビーシッターさんから
オペラ座のエトワールの踊りは素晴らしいので
観る価値がありますよ、と言われたのがきっかけだ。
さて、2007年のオペラ座ガルニエ最後を飾る演目が
「パキータ」だ。
年末になるとどこのバレエ団も「くるみ割り人形」をやるのに、
パリ・オペラ座パレエ団は「パキータ」というのが個性的で面白い。
ただ、もう一つのオペラ座、バスティーユの方では
「くるみ割り人形」が上演される。
パリ・オペラ座バレエ団のエトワールも出演するが、
パリ・オペラ座バレエ団としての公演はこちら
ガルニエの方なのである。
さて、エトワールというのはフランス語で「星」の意味。
他のバレエ団でいうプリンシパルと同じ意味である。
私にバレエ観賞を勧めて下さった、ベビーシッターさんによれば
エトワールになるには3代にさかのぼって2等親にデブがいないこと、
が条件だという。本当?(疑うようで失礼だが!)
さて、いずれにしてもこのエトワールがパリ・オペラ座バレエ団の
最高位のスターダンサーに与えられる称号だ。
まさしく、スターのごとく輝いているバレリーナのことをさす。
今回劇場で購入した「パキータ」のプログラムには、
男性は1人、女性は4人のエトワールが紹介されている。
金字塔のようにたった1人輝く男性エトワールは
★Manuel Legris(マニュエル・ルグリ)
今回の私たちは目にすることができなかった。
さて、12月24日に登場したエトワールが
★Agnes Letesutu(アグネス・ルテスチュ)
1983年にエトワールになった、とある。すごい24年間もトップだ。
彼女はどうやらエトワールの空きがなく、エトワールに昇進するまで
入団してから10年も待ったらしい。下積みも長かったのね。
私は彼女の「椿姫」が忘れられない。
さて、12月25日クリスマスの日のエトワールが
娘が大好きな
★Marie-Agnes Gillot(マリ=アニエス・ジロ)だ

娘の説明をそのまま書こう。
11歳の子供のいうことなので鋭くもいい加減でもあるが・・・。
「あのね、ジロはスタイルがそんなによくないのに、
技術がすごいんだよ。フェッテ(連続して回ること)
なんて昨日のルテスなんとかよりうまかったよ。
だってね全部、シングルで回っていったでしょ。
ルテスなんとかは時々ダブルを入れたけど、
ダブルを入れた方がバランスとりやすいから連続でやるときは簡単
なんだよね!」
ということだ。なるほど、同じ演目を同じ劇場で
同じ演出で観た場合、違いは踊り手、つまりエトワールの個性だけだ。
ジロはバレリーナにしては体がたくましい。
それも個性として認めるオペラ座バレエ団もすごい、ということか。
さて、プログラムによればエトワールになったのは
1985年である。エトワール歴はルテスチュより2年少なくて、
年は4歳くらい若いようだ。
日本の誇る吉田都が40歳なので、彼女たちは吉田さんより
随分若い。最年長のルテスチュで推定36歳だ。
さて、娘いわく、
「吉田都もすごいんだよ、技術はきっと
ジロより上だよ」なんて言っている。
実は秋にkバレエカンパニーで踊る吉田都をみにいったが、
確かにうまかった。ピンとした筋肉の作る美しさがあった。
そういう意味でジロもピンとした躍動的な踊りのように伺えた。
(シロウトですからね、いい加減なことをいうけど)
私の好きなレテスチュはそれとはちょっと違う。
とにかく優雅で優しくて・・・・・、
かといってその長い手足を最大限に生かした
ダイナミックさも兼ね備えている。だからはかなく死ぬ「椿姫」は
彼女の個性にあっていたのかもしれない。
正直にしろうとしての印象をひとつ。
確かに「パキータ」を観る限り、ルテスチュよりジロの方が
上手な踊り手のように感じられた。
でも、やはりアニエス・ルテスチュのが私は好きである。