―世間虚仮― ‘08逝き去りし人々
本年の物故者たち一覧を見つつ。
今年の上半期は大規模な天災、5月、ミャンマーを襲った大型サイクロンと中国四川省の大地震、二つの自然災害報道が世界を駆けめぐった。下半期は地球規模の人災、9月のリーマン・ブラザーズ破綻に端を発した米国発の金融危機がEU・日本に波及、出口の見えない世界同時不況となって長期化必至の深刻な様相を呈している。
2月、独文学者で文芸評論の川村二郎-80歳-、哲学者渡邊二郎-76歳-、映画監督市川昆-92歳-、釜ケ崎詩人の東淵修-77歳-、フランスのヌーボーロマン作家A.ロブグリエ-85歳-、
3月、「一揆論」の詩人松永伍一-77歳-、石井獏の愛弟子で戦前・戦後の現代舞踊をリードした石井みどり-94歳-、’97当時大阪文化祭の審査員として私の「走れメロス」を強く推奨したと伝え聞く宝塚歌劇団の演出家渡辺武雄-93歳-、「2001年宇宙の旅」のA.C.クラーク-90歳-
4月、「ノンちゃん雲に乗る」の石井桃子-101歳-、「ベン・ハー」のチャールトン・ヘストン-84歳-、森進一との確執で騒がれた「おふくろさん」などの作詞家川内康範-88歳-、作家小川国夫-80歳-、随筆家の岡部伊都子-85歳-、
5月、ポップアートのR.ローシェンバーグ-82歳-、歌やバラエティ番組の元祖放送作家塚田茂-82歳-、
6月、ファッションのイブ・サンローラン-71歳-、少女小説作家の氷室冴子-51歳-、京都のAlti Buyoh Fesの仕掛人として長年貢献してきた照明家の船阪義一-64歳-
7月、日本語の起源を古代タミル語にあるとした国語学者大野晋-88歳-
8月、「天才バカボン」の赤塚不二夫-72歳-、戦前・戦後を通じクラシックの大衆化に努めた作曲家服部正-100歳-、ロシアの作家A.ソルジェニツィン-89歳-、松本サリン事件の被害で闘病14年、意識不明のまま逝った河野澄子-60歳-、夫の義行氏は被害者でありながら事件当初犯人扱いされた
9月、国文学者の西郷信綱-92歳-、映画俳優ポール・ニューマン-83歳-
10月、新国劇から巣立ちTV・映画の大俳優となった緒形拳-71歳-、ロス市警の留置場で自殺した三浦和義-61歳-、歌手フランク永井-76歳-、
11月、TBSニュースキャスターだったジャーナリスト筑紫哲也-73歳-、東大紛争時の総長だった民法学者加藤一郎-86歳-、奇書「家畜人ヤプー」の作者沼正三と目される天野哲夫-82歳-、
12月、「日本文学史序説」の著者加藤周一-89歳-、引退していたTVタレント飯島愛-36歳-の孤独死、英国の不条理劇作家ハロルド・ピンター-78歳-、「文明の衝突」のS.ハミルトン-81歳-、
<連句の世界-安東次男「風狂始末-芭蕉連句評釈」より>
「霜月の巻」-33
伏見木幡の鐘はなをうつ
いろふかき男猫ひとつを捨かねて 杜国
次男曰く、「いろふかき男猫-オネコ-」即季語というわけにはゆかぬが、例によって季の句続の約束を利用して「猫の恋」-春-と読ませた作りだ。恋猫は、江戸時代も安永頃になると初春からの季としているが、古くは仲春に扱っている。
「鐘はなをうつ」の余韻を探って思付いた趣向らしく、鐘の音色から「いろふかき」を、鐘を撞き捨てるから「捨かねて」を引出した呼吸に俳がある。
一巻も余すところ三句となって恋句を出すなど、危険なわざである。充分その辺を承知したうえで、作っているらしい。かりに初五を「恋ふかき」「妻を恋ふ」などとしても意味は変りはないが、捨不捨、恋悲恋の狭間をくぐり抜けることにした、告げているように読める。花と無常を表裏に裁った、艶なる句だろう、と。
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飯島愛さんにも関係があるかもしれません。
「人権擁護法案」(法案の内容をご存じなければぐぐってください)にも関連があります。
国民一人一人の力が必要なので支援を・・
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