-四方のたより- そろそろ御輿を
左の肩鎖関節脱臼で、肩口から鎖骨へと差し込まれていたピンを、医者はあと1週間は置いておこうと言うのを、無理強いするように抜いて貰ったのが先週の金曜日(9日)のことで、その前からそろりそろりとリハビリをしていたから、今ではかなり動かせるようになっている。
とはいうものの、まだ頭上に挙げることも、横へと伸ばしきることもできないでいるのだが、体内の異物が取り除かれたからだろう、日に日に快方に向かい、腕の可動範囲の増すのがはっきりと自覚できる。
あとは自身のからだの潜在能力、自然治癒のリズムにあわせながら動かしていくのがよいのだろう。
今年の上半期には、ふたつの公演機会をもてそうだ。
一つには、5月の連休のすぐあと、フェスティバルゲートにあるDance-Boxで、
Shihohkan Improvisation Stageを。
二部構成を想定しているのだが、それぞれを
「KASANE - 襲 -」
「NOIR, NOIR, NOIR」 と仮題する。
もう一つは、とうとう三年ぶりとなってしまったが、
「うしろすがたの‥ 山頭火」
これはありがたいことに、神戸学院大学の伊藤君(文芸学部の教授)が招聘してくれるものだが、
学生相手の学内上演だから、学外の人たちに御目文字は叶わないこととなる。
せっかく仕込むのだから、外向けに、谷町劇場あたりで演るのもわるくないのだが、
そうするとカネの負担も重くなりそうだから、どっこいまだ決めかねているって訳だ。
の道楽も、所詮カネが仇のこの世では、そうそうは思うに任せぬて、いかさま厄介なことではある。
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<春-63>
さかづきに梅の花浮け思ふどち飲みての後は散りぬともよし 大伴坂上郎女
万葉集、巻八、冬の相聞。
邦雄曰く、いざ酌まむ、いざ干さむ梅花杯、春は来たれりと、老若相集い、飲み明かす趣き、一首に漲り渡って、爽快かつ雄大、坂上郎女の個性が横溢している。作者は旅人の異母妹であり、また旅人の死後は大伴一族を束ねる女傑的存在。大胆かつ奔放な恋歌にも特色はあるが、「思ふどち」と呼びかける趣き、「散りぬともよし」の潔さ、まさしく朗々誦すべき作品、と。
さ夜深き月は霞に沈みつつそこはかとなき世のあはれかな 伏見院
伏見院御集、春月。
邦雄曰く、春夜の眺めが。結句で一転してこの世に、ひいては人生への深い感懐となるところ、玉葉集を選進させた京極派の帝王歌人ならではの見事な技法。第92代天皇で父帝は後深草。53才の崩御だが、玉葉・風雅を初め勅撰集には295首入選、歴代天皇中首位、次位の後鳥羽院を遙かに越え、閑雅秀麗な歌風は永福門院とともに絶後である、と。
⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。