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―日々余話- バレンタインだったか‥
朝からピンポンとドアホンが鳴る。
メール便はバレンタインのチョコだった。
送り主は16歳の少女ありさ―
こんな爺さんに、こんなに盛り沢山のチョコは、いくらなんでも不似合だろうに…。
でも、その一杯の気持は、やっぱり嬉しいもんだ。
―表象の森― 石岡瑛子「DESIGN-私デザイン」
'83年、ニューヨークの出版社から作品集「EIKO BY EIKO」-日本語版「石岡瑛子風姿花伝」求暮堂-が出され、その前後から彼女の活動拠点はニューヨークに移っていたわけだが、本書全12章は、以後20年間にわたって、彼女が関わったアートデザインの選りすぐりのプロジェクト、映画「MISHIMA」にはじまり、ブロードウェイ劇の「M.バタフライ」、オペラ「ニーベルングの指輪」、シルク・ド・ソレイユの「VAREKAI」etc. そして最後にソルトレイク冬期五輪におけるデサント社のデザインプロジェクト、これら12の仕事を、さまざまなビッグアーティストたちとの出会いから制作過程のエピソードなどを交えつつ総覧したものだ。
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Photo/映画「MISHIMA」
文章は平易でいたって読み易いが、自身あとがきで綴るように、「私にとって最上の、そして唯一の、表現への道案内」とする、彼女独特の迸るほどの<Emotion-感情・感動>に全編貫かれているから、読み手にとってけっして気楽な読み物ではない。
とりわけ印象深かったのは、第4章「映像の肉体と意志-レニ・リーフェンシュタール」展と、オペラ「ニーベルングの指輪」四部作の第8章だが、前者はレニという存在自体の栄光と悲惨の苛酷な人生がオーパラップされるからであろうし、後者はワーグナーの大作を野心的な新解釈で取り組むというフィールド自体に潜む困難さにあったかと思われる。
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Photo/オペラ「ニールンベルグの指輪」
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Photo/シルク・ド・ソレイユ「VAREKAI」
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Photo/「映像の肉体と意志-レニ・リーフェンシュタール」展
―山頭火の一句― 其中日記-昭和9年-264
2月14日
晴れてあたたか、曇つてあたたか、ぢつとしてゐても、出て歩いてもあたたか。
樹明君を訪問して、切手と煙草と酒代を貰つた。
倦怠、無力、不感。
夜を徹して句作推敲-この道の外に道なし、この道を精進せずにはゐられない-。
※表題句の外、5句を記す
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