遊覧日記 (ちくま文庫) 価格:¥ 546(税込) 発売日:1993-01 |
来週、父が手術・入院することになりまして。
それほど深刻ではありませんが、付き添わなければいけない母の体力の方が心配であります。
手術の前日、当日は幸いなことに偶然勤務が休みでして、その翌日も有給とりまして、母の送り迎えは(母は免許を持ってない)心配ないのですが。
“当日は私も行った方がいいんじゃないの?心細いでしょう”と言ったら、“全然。長いこと二人でボーっとしてたってしょうがない”という意地っ張りな母。
まあ、粗忽ながら家のことしたり、軽い夕飯作って待ってた方がいいのかな、とも思いますが。(雑炊とか……)
長い時間かかるから、本でも持っていったら?と言ったら、“うん、そうする”と母も言いましたが、彼女は普段は本をあまり読むヒトではない。
その上目も疲れやすいから、どんな本がいいのか、悩むところです。
私自身は、例えばこんな本がいいかな、と思います。
これは、あとがきと(^_^;)最初だけちょっと読んで放ってある積読本なのですが。
(面白い本でも、そうやってちょびっと齧ってうっちゃっとくのが私の悪い癖^_^;)
肩の力が抜けたおでかけ日記なのですが、どこか小粋で、品もあって。
こういう本を没頭して読めば、病院にいることを忘れて、物見遊山気分になれるかも……。
なんて、ちょっと現実逃避ですかね(*_*)
古畑任三郎〈1〉 (扶桑社文庫) 価格:¥ 509(税込) 発売日:1996-03 |
昨夜は、“祝イチロー新記録記念”とかで、古畑任三郎シリーズの、『フェアな殺人者』が再放送されておりました。
これ、まさに珍品ですよね。犯人はミステリードラマでは主役の次に重要な役で、とくにこの作品は出番も多い。そんな役を、現役バリバリの、しかも畑違いのスポーツ選手が演じるなんて。
アメリカの野球ファンが観たらどう思うのだろう……。
イチロー氏の演技も、下手じゃないけどちょっと微妙。ふだん、クールで何を考えているか分からないところがあるから、どこまでが地で、どこまでが演技なのか分かりにくいのも微妙感に影響しているかも。
でも、よくわからない、という点では、田村正和氏演じる古畑任三郎も、負けてない気もしますが。
倒叙式の作品形式からして『刑事コロンボ』に影響受けているのでしょうが、コロンボさん自身には似ていない。
だいたい、優しいコロンボ警部は女性の犯人が苦手でしたが、古畑警部はそんなためらいないし。“カオのいい男ってどこか冷たいわよね”と偏見による発言をしてました。(心の中で)
もっとも『ラスト・ダンス』などはちょっと仄かな恋の話っぽいし、独身でもある古畑警部は恋愛には現役、ということなのでしょうか。
あと、彼は猫を飼っていて、その名がドモンジョというのですが、往年の美人女優(仏)の名なので、“三谷幸喜はその女優さんが好きだったのだろうか”と雑誌のエッセイで書いてあったのを読んで、気になったことがあります。(ほんとになぜドモンジョ?)
事件の謎は解かれても、古畑警部の謎は残ったままでした。
新シリーズが作られることはないのでしょうか。
サイドバーのマイ・アフィリエイトに入れさせていただいている、“オーダーチーズドットコム”から先日メールが届きました。
“《VVV6》という番組に、当社で扱っているカンコワイヨットというチーズが取り上げられます”という内容でした。
どれどれ、と観てみた次第。
全く未知のチーズで、どんなものだろう、と思ったのですが、トロっとした、半液状みたいなクリーミーなタイプのチーズでした。(ディップのようにして、コーンチップスを浸して食べてた)
思い出したのは、以前も取り上げさせていただいた、『小さな食卓 おひとりさまのおいしい毎日』という本に出てきた、“モンドール”というチーズ。
料理上手、もてなし上手の友人の家に行ったら、その日に限って茹でただけの野菜とかシンプルなメニュー。不思議に思ってたら、モンドール、というチーズが出てきて、それに野菜などをつけて食べるように言われる。それが、もう、とびきり美味しかった、というエピソードです。
美味しそうなのもさることながら、私が心に残ったのは後日、そのチーズを探して、見つかったがあきらめた、というくだりですね。高価で、独り者には贅沢、というのと、やっぱり、みんなで食べる方がいい、と思うのですね。その気持ちが共感できるし、ちょっと淋しい。
カンコワイヨットはもう少し小さいサイズで、値段もすこし手が出しやすいようでしたが、やっぱり何人かで食べたほうが美味しいのかな……。
壁・旅芝居殺人事件―日本推理作家協会賞受賞作全集〈46〉 (双葉文庫) 価格:¥ 420(税込) 発売日:1998-11 |
皆川博子氏は、大好きな作家です。
大作『死の泉』もいいのですが、私が一番好きな本は、地味ですがこれ。
『薔薇忌』も、思い入れがあります。
が!この方の作品の中には、猫好きにとっては非常に痛い描写がいくつかあるのです。
私は基本的にはフィクションと現実は分けられる方で、猫が虐待されたりするシーンがあっても、もちろん気持ちはよくないですが、全く読めないということはありません。(それに、なぜかそういうシーンを書く作家って、猫好きが多いのだ^_^;)
でも、そんな私でもこの方の、ある作品の描写は、ダメでした。優れている、ということなのでしょうが、衝撃が半端じゃないのです。
例えば、『悦楽園』という短編集の冒頭の作品で、(猫好きの方でそういう描写がNGの場合は、この後2行ほど飛ばして下さい)主人公が狂ったように走る猫を見て不思議に思ってよく目を凝らすと、“耳が切られているのだ”と気づくシーン。
思わず、膝に抱いていた猫の耳を押さえたほどの迫力でした。(猫はのんきに、“何?何かな?”というようにむしろ嬉しそうに私を見上げました)
でも、私が本当にダメだと思ったのは、『愛と髑髏と』という短編集に収められた一編。
“マゾヒストの猫”という表現が出てきたら、猫好きの方は注意した方がいいです。もしかすると、“これのどこが?たいしたことないじゃない”と思う人もいるかも。描写はごくさりげなく、語り口は優しいくらい。でも、私は軽くトラウマになりました。
好きな作品集としてあげた『旅芝居殺人事件』も『薔薇忌』も、よく考えたら哀切かつ残酷な話が多いのですよね……。
でも、どうしても惹きつけられる、不思議な苦い美酒のような作家でもあります。