東京の桜は、都会の空気を深呼吸する低温の桜だ。花が白く乾燥している(暑かったせいだろうか)
こちらは日本橋の背高のっぽのビル群に守られた桜。
私の目がなんとか桜の中に、江戸風情をみようとしている。
皇居の西側、千鳥が淵。
菜の花と壕と、水辺。そこに桜が花弁をひろげて悠々と幸せそうにたくさん、並んで植わっていた。
手こぎボート場の反対側を歩いた後で、芝生の堤防をかけあがって、今度は松並木をてくてくと歩き、東京近代美術館や日本武道館の方向へ。
夕暮れ時が近づいていた。
千鳥が淵の遊歩道を45度ほど歩く。
初夏の雲間を歩くように、ふわっふわっと江戸のサクラは咲いていた。
「今度は手こぎボード絶対に乗ろっと」
「誰と、、、、?」
「来年の春、一緒にいる彼氏だね」
ふーんと鼻で笑ったが、ちょっと嫌な予感。Nの横顔は不確かで何かをはぐらかしたようないやな笑い方だった。
(ここで純粋なはにかんだ可憐な花のような笑顔がみたい)
東横線「中目黒」。
そこから桜をみながら、約1時間ほど歩く。
雑踏は容赦がない。京都の混雑はひと味違う、若者ばかり目立つ。
夕方からの日差しが桜に乱反射して、ノスタルジーな空気感。
みる角度によっては、夙川や芦屋界隈にもみえなくはなく、おそらくそれは目黒川の川幅が狭く、(桜の大木が両端から手を広げてつないだように)小世界的な美しさがこう見せるのだろう。
緑の季節も気持ちいいだろうな。
それにしても、両側には屋台やカフェ、ブティックが立ち並び、人、人、人。東京の桜はにぎやかだ。
少しいくと、「COWS BOOKS(カウズ・ブックス)」をみつけて小躍りする。
あれもこれもほしくて悩んだあげく、幸田文さんの著書「季節のかたみ」を購入。
今度は反対側のファッションブティックで
アースカラー調の天然素材で仕立てたイタリア製のワンピースとスカートを買ってしまった。
夕ご飯は、恵比寿。「アンティーカ・ピッツエリア ダ・ミ・ケーレ恵比寿」へ。
本場さながらの陽気な雰囲気。本場ナポリで150年続く老舗だ。
定番のマルゲリーターもこの大きさ。薄皮のピザはトマト&チーズ、バジルの風味がいきたジューシー満点!
最後まで食べ飽きず、2枚くらいペロッといけどうなほど軽いピザ。
ビールをグイーと飲み、このチーズたっぷりのピザをほうばる、タコのカルパッチョも、新鮮なタコが噛むほどにコリッ。
1日弾丸東京も、これにて本日はエンド。