難しいなあ…。
村瀬継蔵監督の伝えたかったであろうことは、私には痛いほど伝わってきました。
要するに、「忘れないでくれ」ってことなのだろうと思う。
俺たちが夢と情熱を注ぎこんで作り上げてきた、アナログ特撮というものを
忘れないでくれ。後世に伝えてくれ。
そういうこと、なのだろう。
私にはね、監督の気持ちが痛いほどにわかる。だから
私にとってはこの映画は
とても泣ける映画でした。
でも、いわゆる”一般の人たち”に伝わるのは
難しいだろうなあ…。
単的に映画として観た場合。正直
あまり面白くはない。
ドラマは平板だし、テンポは遅いし、役者陣も申し訳ないけど、あまり上手いとは言えない人たちが大半だし
脚本があまり良くないのかなという感じだし、演出が全体的になんというか、
素人っぽいというか。
主演の鈴木梨央ちゃん。大河ドラマ『八重の桜』で、主人公山本八重の少女時代を演じた子ね。演技はもっと上手い印象があったのだけれど、今作に関してはあまり上手く見えない。これは彼女自身というより、やはり演出のせい
なのだろうか。
ごめんなさいね、ネガティブなことばかり書いて、でも、そう感じてしまったのだから仕方がない。
でもね、それでも
監督が伝えたかったことだけは、ビシバシ伝わってきて、映画としては面白くないのに、エンディング・タイトルを見ながら涙が出てきて仕様がなかった。
こんな経験は初めて、かも知れない。
技術は伝承していかなければ、あっという間に廃れてしまう。
かつて世界に誇った日本のアナログ特撮技術が忘れ去られてしまうのは、あまりに悲しい。勿体ない。
だからどんな形であれ、作り続けることが大事なんだろね。なんとかして伝えて行かなきゃ。
ミニチュアによる都市破壊シーンの特撮は、さすがの迫力でしたね。このシーンに製作費の大半をつぎ込んだ感じで、ミニチュアのディテールの、細部までのこだわり。これだよ、これ
これがミニチュア特撮の
面白さなんだよ。
CGを否定はしません。私自身、近年のCGで作られた映像にすっかり慣れてしまっているところもあって、今作のアナログ特撮でも、正直「辛いなあ」と思えてしまうシーンもありました。いつのまにかすっかり、CG脳(?)になっちゃってるんだね。
でもやっぱり、ミニチュアを使ったアナログ特撮には、まだまだ惹かれる部分があるように思える。
映像表現というのは、本物っぽく見えればいいと言うものではない、と思う。アナログでなければ出せない”味わい”というものを
出来れば知っていただきたい。
敢えておススメは致しません。致しませんが、なにか少しでも興味が湧いたなら、観ていただけると
ありがたい。
あっ、そうそう。役者さんたちが下手だ、みたいなことを書きましたけど、斎藤工さんと佐野史郎さんは、さすがの上手さでしたね。
このお二人は、特撮映画によくハマる。
良い役者さんたちです。