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幕末の会津藩士が、長州藩士と斬り合っている最中に雷に打たれ、タイムスリップしてしまう。
タイムスリップした先が、時代劇の撮影所だった!
この発想の面白さ。タイムスリップものは履いて捨てるほどあるけど、その中でもこの発想のユニークさと脚本の面白さは、おそらく群を抜いてレベルが高いと思う。
インディーズ映画だし、あまり有名な俳優さんもでていないし、でもそんなことは大したことではないです。
こんな面白い映画、めったにないです。
主演の山口馬木也さんがチャーミング。いかにも会津武士らしい朴訥さで、真面目に一生懸命取り組むんだけど、その必死さ、真面目さが笑いを誘う。
自分の置かれた状況に戸惑い、右往左往しながらも必死に一生懸命頑張る姿が、本当にチャーミング。あれは好感持たれます。
チャーミングって、大事だね。
撮影所で斬られ役として生きようと決めた主人公の元に、突如大作の準主役のオファーが。
その理由とは……。
この作品に関しては出来るだけネタバレしたくなので、これ以上は書きません。
オファーを出した大スターを演じるのは冨家ノリマサさん。この冨家さんの演技がまた
素晴らしい。
山口さんと冨家さんと、このお二人の名演がメチャメチャ光ってる。
このお二人が魅せるラスト30分。それが始まったとき、劇場全体が水を打ったような、異様な静けさに包まれました。
観客全員が、スクリーンで繰り広げられる展開に釘付けになってる。観客全員の想いが
「一つ」になってる。
そんな感覚に包まれて、ドキドキしてしまいましたよ。
あんな感覚、そうそう感じられるものではありません。あの時、あの劇場にいた観客は、全員が間違いなく
気持ちがひとつになっていました。
だからね、だから。
この作品は、是非とも劇場で観ていただきたいのです。
出来るだけ多くの方々に、”あの”感覚を味わっていただきたい。だから、この作品に関しては、多くを語りたくはないのです。
山口馬木也さんと冨家ノリマサさんと、このお二人がとにかく素晴らしい。ホントにたくさんの方に
観ていただきたい。
主人公が会津藩士ってのも、ストーリーの展開の中で見事に利いているんですよね。幕末の会津藩がどれほど悲惨な目に逢わされたか。歴史に詳しいかたならよくご存じのはず。その事実をね
主人公が、知ってしまうんです。
あの悲しみ、憤り、やるせなさ。そして無力感
でもそこから立ち上がるんですよ。主人公は。
もうホント、涙なくしては観れない。
日本の歴史を築き上げ、日本人の「命」を今日の我々まで繋いできた、すべての先人たちへの尊崇の念と
日本文化、なにより時代劇に対する大いなる愛情。
それらの想いに満ち満ちた。笑って泣けて、ハラハラドキドキして、そして感動する。
そうした、映画の持つ楽しさが揃った極上のエンタテインメント映画です。
ただ映画の冒頭、いきなり説明台詞から始まるのはいただけなかったし、音楽もなんだか今一つはまっていない感じだったのだけど
観ているうちにどんどん映画世界に引き込まれていって、冒頭感じた違和感はまったく気にならなくなっていく。物語が進むにつれて、どんどん引き込まれていく上手さがある。
ホント、良く出来てます。私の中では今年度ナンバー1だ!
どうかあまり情報を入れずに、真っ新な気持ちで、劇場で(←ここが大事)観ていただきたい。
絶対的おススメ。間違いなく面白いです。
その辺で売っているショートケーキのあまりの旨さに、「日本は良い国になったのだなあ」と落涙するシーンとか。あの激動の幕末を生きた武士であるが故の感慨なわけで、観ているこちらも泣けてしまう。ホント
よく出来てます。
ラストのオチもよく利いてる。素晴しいよね。おっと
これ以上はネタバレ(笑)。