「白紙」の仮面を捨ててカジノ招致を打ち出した横浜市長。各区で市民に向けた説明会を開くということだが、１２月上旬に開かれた中区・神奈川区での説明会の報道（朝日新聞2019-12-13横浜版）を見る限り、「丁寧な説明」とはほど遠いように思える。
市長の説明に続く「質疑応答」では参加者の発言は認められず、参加者が休憩時間の間に記入した質問用紙から無作為に選んで読み上げる（回答する）というものだった。読み上げられた質問用紙は中区では１７６枚中１４枚、神奈川区では２３４枚中１６枚でしかない。市はすべての質問への回答をホームページに載せるというが、やはり質問への回答を受けた上で質問者からの再質問を認めないと論点を掘り下げることはできない。
そもそも、説明会に参加したくてもできなかった人も多かった。平日開催というのは仕方ないかなという気もするが、市民の関心の高さに比べて定員が不十分だったのではないか。建設候補地の山下埠頭のある中区では９５１人が応募したものの、定員は４３７人で半分以上が落選（会場の都合で定員が仕方ないとしたら、１区１回に限るのが無理なのではないか）。最終的には６１も空席があったが、キャンセル待ちを期待して会場に行った人も入れてもらえなかったという。公平性の観点から一部の落選者を入場させることはできないというが、キャンセル待ちは先着順ということならいいのではないか。こんなことが許されるとしたら、初めから行く気のない多くの人に応募させれば、定員の大半を空席とすることさえ許されてしまう。
記事で識者が「今のままでは全区で開いたというアリバイ作りにしか見えない」と指摘するとおりだ。
林市長は１８区での説明会の後に「一問一答でやる会も順次設ける」と言っている。最低限この約束は守らせなければならない。
それにしても「丁寧な説明」という言葉が空疎に響く。安倍首相もそうなのだが、批判を受ければ「丁寧な説明」というわりに、批判にきちんと向き合って答えようとはしない。それもこれも、どんなひどいことをしても支持率が下がらず選挙で負ける心配がないからだ。選挙の緊張感がなければ為政者は国民のことなど考えない。結局は国民が悪いのか。
追記：１２月１９日にあった金沢区の説明会では、指名なしで発言を始める人が続出して市長と市民の直接の対話が生じたという（朝日新聞2019-12-21横浜版）。おかげで１時間半の予定が４５分オーバーしたというが、時間オーバーは仕方ないのではないか。先日の記事でも、識者が、回数を限ってでも時間を延ばしたほうがいいとか、自分が説明役だった時はとことん言いたいことを言わせた（言われた）といったコメントがあった。林市長が「市民の多くの方が反対だという認識はありませんでした」と述べて会場が騒然となった一幕もあったというが、ひたすらぼろを出すことを避けるために回答拒否というのでは安倍首相と同じになってしまう。少しでも市民に寄り添う気持ちがあるなら、参入希望企業の声ばかりでなく市民の声も聴くべきだ。（賛成派が動員をかけて説明会で賛成の発言をさせる懸念もある。説明会参加者は抽選のはずだが、担当者が市長に忖度して「市長枠」のカジノ賛成派を入れるおそれもあるのではないか。）
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関連リンク：
日本弁護士連合会「カジノ解禁に反対するQ&A」（pdf）
市長の説明に続く「質疑応答」では参加者の発言は認められず、参加者が休憩時間の間に記入した質問用紙から無作為に選んで読み上げる（回答する）というものだった。読み上げられた質問用紙は中区では１７６枚中１４枚、神奈川区では２３４枚中１６枚でしかない。市はすべての質問への回答をホームページに載せるというが、やはり質問への回答を受けた上で質問者からの再質問を認めないと論点を掘り下げることはできない。
そもそも、説明会に参加したくてもできなかった人も多かった。平日開催というのは仕方ないかなという気もするが、市民の関心の高さに比べて定員が不十分だったのではないか。建設候補地の山下埠頭のある中区では９５１人が応募したものの、定員は４３７人で半分以上が落選（会場の都合で定員が仕方ないとしたら、１区１回に限るのが無理なのではないか）。最終的には６１も空席があったが、キャンセル待ちを期待して会場に行った人も入れてもらえなかったという。公平性の観点から一部の落選者を入場させることはできないというが、キャンセル待ちは先着順ということならいいのではないか。こんなことが許されるとしたら、初めから行く気のない多くの人に応募させれば、定員の大半を空席とすることさえ許されてしまう。
記事で識者が「今のままでは全区で開いたというアリバイ作りにしか見えない」と指摘するとおりだ。
林市長は１８区での説明会の後に「一問一答でやる会も順次設ける」と言っている。最低限この約束は守らせなければならない。
それにしても「丁寧な説明」という言葉が空疎に響く。安倍首相もそうなのだが、批判を受ければ「丁寧な説明」というわりに、批判にきちんと向き合って答えようとはしない。それもこれも、どんなひどいことをしても支持率が下がらず選挙で負ける心配がないからだ。選挙の緊張感がなければ為政者は国民のことなど考えない。結局は国民が悪いのか。
追記：１２月１９日にあった金沢区の説明会では、指名なしで発言を始める人が続出して市長と市民の直接の対話が生じたという（朝日新聞2019-12-21横浜版）。おかげで１時間半の予定が４５分オーバーしたというが、時間オーバーは仕方ないのではないか。先日の記事でも、識者が、回数を限ってでも時間を延ばしたほうがいいとか、自分が説明役だった時はとことん言いたいことを言わせた（言われた）といったコメントがあった。林市長が「市民の多くの方が反対だという認識はありませんでした」と述べて会場が騒然となった一幕もあったというが、ひたすらぼろを出すことを避けるために回答拒否というのでは安倍首相と同じになってしまう。少しでも市民に寄り添う気持ちがあるなら、参入希望企業の声ばかりでなく市民の声も聴くべきだ。（賛成派が動員をかけて説明会で賛成の発言をさせる懸念もある。説明会参加者は抽選のはずだが、担当者が市長に忖度して「市長枠」のカジノ賛成派を入れるおそれもあるのではないか。）
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関連リンク：
日本弁護士連合会「カジノ解禁に反対するQ&A」（pdf）
