リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

「地域ごとの学校再開」「春休みの補習」の方針は妥当だが…

2020-03-21 | 一般
安倍首相が唐突に要請した3月初頭からの一斉休校だが、政府は休校要請を延長しない方針を決めた(朝日新聞2020-3-21)。4月の新学期は地域の事情に応じて再開の判断をする方向のようだ。このこと自体は妥当な結論で、そもそも3月初頭の時点でも「地域の事情に応じて」でよかったのではと思う(過去ブログ)。
だが「一斉休校」というのはある意味、各地域の方針を決める人々にとっては便利な口実だった。とりあえず首相の言う通り休校にしておけば、たとえ「利益よりも実害のほうが大きい」(イギリス首相)としても責任は免れる。一部では休校を見送ったり若干時間的猶予を設けたりした事例はあったとはいえ、ほとんどの学校が臨時休校を行なった。それが「地域の事情に応じて」再開を決めるとなれば、決める立場にある人たちは主体的に判断することを求められる。
文科省は学校再開に向けた指針を週の前半には公表するというが、くれぐれも余計な混乱を起こさないよう、配慮してほしい。(たとえば再開・休校の判断が、学級単位なのか、学年単位なのか、学校単位なのか、市区町村(学校設立者?)ごとなのか、都道府県単位なのか、それだけで実態は全く変わってくる。)

国民も、各地で主体的に行なった決定の「結果責任」を問い過ぎないことも必要だと思う。場合によっては政府の指針に則って再開を判断したら、たまたま生徒の家族に罹患者がいて学校で新型コロナウイルスが拡散してしまったという事態もあるだろう。だがそうしたリスクをゼロにしようと思えば、社会の各方面に多大な影響を及ぼす「一斉休校」しかなくなってしまう。どのような根拠に基づいて再開・休校の決定をしたのかの「説明責任」はしっかり果たしてもらわなければならないが、リスクを完全にゼロにすることを求めてはならない。

今回の発表でもう一つ注目されるのは、文科相が、春休み中に3月の休校分の授業の補充をする学校があったとしても「尊重したい」と述べたことだ。これもそれ自身としては妥当な方向性で、そもそも安倍首相が「一斉休校」を言い出す前に文科相が「春休みの前倒し」として提言したことに近い。突然の一斉休校で、子供が心身に不調をきたしたとか、親子が煮詰まって疲弊しているとか、子供を預けられた祖父母が悲鳴を上げているといったことを聞くと、授業のことはさておいても春休みの補習はぜひやるべきだと思う。もっとも、春休みの予定をすでに入れている人もいるだろうから(生徒も教師も)、欠席扱いにしないなど何らかの配慮は必要だろう。
それにしても、こういう重要な話が春休みの直前になってようやく出てくるところに、政府の無神経さが如実に表われている。今から(指針が公表されてから?)では予定を立て、人員を手当てし、家庭に周知するには関係者の並大抵でない努力が必要となろう。

ウイルスの状況によっては突然の決定が必要な場合もある。だが、安倍首相の一斉休校要請は唐突過ぎたし、今回の方針発表や今後の指針公表は遅すぎる。政府にはもっと、現場で対応する教師や生徒のことを考えて早めに、明確な説明を行なってほしい。

追記:一斉休校は終わり、春休み後の新学期は自治体が学校ごとに休校を判断するガイドラインが発表された。「密閉状態で換気が悪い」「近距離での会話や発声がある」「手の届く距離に多くの人がいる」の3条件がそろうと集団感染のリスクが高いとして、そのような状況を避けるべきとした。これに対し「あまりにも現場を知らなさすぎる」などの声が上がっている(朝日新聞2020-3-25)。私も最初読んだときそう思った。少子化で少人数学級を実現する好機のはずなのに教員の手当てをしなかったため今でも過密な学級が多いと思う。従業員などが1メートルの間隔を空けて整列している場面が報道されるのを見るが、ほとんどの学校で「手の届く距離に多くの人がいる」は避けられない。「近距離での会話や発声がある」は一部の授業では必要だし、そもそも学校生活で子供どうし会話をするなというわけにもいかないだろう。そんなわけでガイドラインは政府が無茶な基準を設定して責任を現場に押し付けるものだと思ってしまった。だが記事をよく見ると、三つの条件が重なるのを避けるため「換気の徹底」「近距離での会話や発声の際のマスク着用」を挙げており、これなら無理ではないだろう。東京で感染者が急増しておりまた休校の可能性もなくはないが、それはまた別の話。説明のない政治判断でなく、感染者数の動向を見た上での休校要請なら納得もいくだろう。


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