リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

貿易戦争と重商主義の亡霊

2018-04-10 | 一般
アメリカのトランプ大統領はいろいろな意味で資質に問題があると思うが,「アメリカファースト」については必ずしも間違っていない.どの国も自国の国益を第一に考えるのは当然だ.問題はむしろ,「アメリカファースト」を謳う政策が近視眼的で,戦略的な構想に立脚するものではないため,長期的に見ればアメリカの国益にも反し,国際社会を混乱に陥れかねないという点だ.先日も,シリアからの撤退を実施したら同盟勢力を見捨てることになり,ロシアの勢力伸長を招くといった指摘があった.
本稿では「貿易」に絞りたい.

私は「リベラル」らしくなく,昔から国内産業の保護は必要と考えており,実生活でも,選択の余地がある場合にはできるだけ日本製・日本産を買うようにしている.だからトランプ大領領がアメリカ製品を買わせようとするのも理解できる.
とはいえ,そういう重商主義的な考え方が今では通用しないことはうすうす感じている.このところ,米中間が関税をかけあって「貿易戦争」などと報じられているが,今の経済学の主流は,貿易上の保護主義は貿易量を低下させ,各国の景気低迷を招く,というもののようだ.
トランプ大統領が気にする貿易赤字についても,国内の消費が盛んな証であって決して悪いものではないとの説を最近読んだ(「経済気象台」だったか?).

上記のように私は保護主義はあまり批判したくないのだが,トランプ大統領はそれが(世界はもちろん)アメリカの利益にならないとわかってもやめない可能性があるからこわい.やはり新聞で指摘されていたが,保護主義はトランプ大統領の支持基盤である製造業の利益になる.一方,不利益はアメリカ国民全体の負担となるのでそれほど影響は大きくないというのだ.だが中国もしたたかで,報復対象として自動車や航空機のようにトランプ大統領の支持基盤を直撃する品目を発表して牽制している.

自分のことを棚に上げてなんだが,トランプ大統領には,せめて本当にアメリカの利益になることをやってほしい.


追記:経済学者のクルーグマン氏によれば,貿易黒字を問題視するのは「クズ経済学」だという.「総じて米国の貿易赤字は,外国人から呼び込む対内投資の方が,米国人が他国に行う対外投資よりも多い」というだけのことだという.貿易収支に投資も含まれるということは高校で習ったような気もするが忘れていた.だから貿易赤字を気にするのがあまり建設的でないことはわかった.(朝日新聞2018-4-13
だが「アメリカ製品を買おう」「日本製品を買おう」というのはどうだろう.これも,今のようにグローバル化が進んだ時代では,たとえば「メイドインチャイナ」と書いてあっても,基幹部品は日本製だったりすることもある.アイフォーンブームのころに似たような話を聞いた.工業製品について表面上の「××製」は昔ほど意味はないのかもしれない.

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