見出し画像

gooブログのテーマ探し!

前半 匂宮と中君の歌 宇治十帖 (源氏物語)

前半 匂宮と中君の歌 宇治十帖 (源氏物語)

  馬場あき子氏著作「日本の恋の歌 ~恋する黒髪~」一部引用再編集

*******

  さて、その後「源氏物語」の舞台は忙しくまわり、個性的な恋の歌が交わされる場面は「宇治十帖」をまたなければならない。都をはなれた宇治の山荘に隠棲していたのは、桐壺帝の末の皇子八宮とその姫君、大君(おおいぎみ)と中君(なかのきみ)である。源氏と女三宮の間に生まれた子として成人した柏木の遺子薫は、道心(どうしん:仏道を修行して,悟りを求めようとする志)深くかねてから宇治の八宮に私淑するところがあったが、八宮に会うために宇治に赴き、その姫君をかいまみて心を動かす。

  薫からこの姫君の噂をきいた匂宮(におうのみや:母明石中宮)もまた関心を寄せ、初瀬詣を口実に、宇治の夕霧の山荘に宿泊して八宮に消息を入れる。八宮は中君に返事を書かせた。薫は匂宮に中君との交際をすすめ、自身は深く大君に執していた。

  やがて八宮は亡くなり、匂宮と薫はこもごもに残された二人の姫君への思いが高くなっていった。翌年の春の花ざかりの頃、匂宮は中君に歌を贈った。

   つてに見しやどの桜をこの春はかすみへだてず折りてかざらむ
「椎本」 匂宮
   (去年の春、物のついでに見たお庭の桜を、今年はぜひ、霞をへだてずお伺いして、手折り挿したく思います)

  姫君たちはこれをみて「桜」が暗喩であることをすぐ読み取り、「あるまじき事かな」と用心しながらも、手跡(筆跡)も美しく、風雅を面に立て消息文の価値は見すごしがたく、表面的な意味だけを受け止めて返歌を書いた。

後半に続く

参考 馬場あき子氏著作
 「日本の恋の歌 ~恋する黒髪~」
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「源氏物語のトピック集」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事