フライフィッシングの話

川、湖、管理釣場などの国内釣行記、海外釣行記、タックル、フライなど、フライフィッシングにまつわる話と美しい写真。

アメリカの思い出

2006-03-31 15:40:09 | 海外(アメリカ合衆国)
フリーウェイをひたすら走り、砂漠地帯の小さな街に到着。
どこまでも真っ直ぐに延びた道と、その道沿いに間隔を置いて並ぶ低い建物、その周りは植物の殆ど生えていない荒涼とした大地が果てしなく続いている。

私が不安げにしていると、同行者は「もうすぐポイントだよ。」と言った。
こんな所に川があるとは到底思えないような景色だったが、街のはずれの交差点を曲がり、暫く走っていると、だんだん緑色の帯が見え始め、間もなくポイントに到着した。

そこは完全な湧き水だけを源としたスプリングクリークで、透明で穏やかな流れの中には、20尾程のネイティブレインボーが悠然と群れていた。サイズはどれも16~20インチ(40~50センチ)の良型ばかり、かなりスポーキーな感じだ。
私は、はやる気持ちを押さえながら、注意深く観察を続けた。すると、時々ゆっくりとした動きでディンプルライズを繰り返しては、白い口をパクパクと動かしているのが見えた。私は迷わず6Xのティペットにミッジピューパを結び、デッドドリフトで鼻先へ送り込んでみる。ちょうど魚の目の前をフライが通過しようとした時、その魚は身体をひねり、やはり白い口を開けてパクパクっとフライをくわえた。
最初の獲物は18インチ(45センチ)程の赤い側線が見事な雄のレインボーだった。
その後、20インチ(50センチ)を筆頭に、5尾のレインボーをランディングして、その日の釣りは終了。夜はハンバーガーを頬張りながら、缶ビールで乾杯し、翌日に備え早々にベッドへ潜り込む。

前日の抜けるような青空から一転、今朝はどんよりとした低い雲が上空を覆っている。
ポイントに到着すると、すぐさま昨日と同じ方法を試すが、魚の活性が悪いのか、フライに全く反応が無い。良く見ると、魚達は水面からかなり深い場所に定位しているようだった。

流れのある場所から沼地の止水へとポイントを移動してみる。
ここには車椅子の人でも釣りが出来るようにと、バリアフリーのデッキが設置されていたが、この時期の浅瀬は一面藻に覆われていて、例えここで魚を掛けたとしても、ランディングは不可能に近い。唯一藻が切れているのは、流れ出しのブッシュから10メートルまでの、非常に狭いエリアに限られていた。
デッキから対岸までの距離は25~6ヤード。岸沿いはやはりびっしりと藻が生え、いかにも魚が付いてそうだが、水面は相変わらず静かなままだった。
あれこれ悩んだ末、結局ルースニングを試す事にした。
6Xのティペットはそのままで、インジケーターを付け、ティペットの先にMSCスペシャルを結ぶ。
丁度良い位置でフライが沈むよう、計算しながら流れ出しの奥へ落とし込み、そろそろフライが下に到達した頃かなと思った瞬間、インジケーターがピクピクっと反応した。ロッドを軽くあおるようにして合わせると、グングンとやけに重たい感触が伝わって来る。これはかなり大きいと思った。
すぐに余分なラインを巻き取り、リールファイトに移るが、魚は相変わらず鈍重なローリングを繰り返している。
そうこうしているうちに、黒っぽい大きな魚体が見えた。サイズは25インチ(62センチ)、いやそれ以上かも知れない。私はリールを巻きながら、もしかしたらこのままランディング出来るかも知れないと思ったが、そこは正真正銘のネイティブレインボー、そう簡単に降参する筈が無い。次の瞬間、とてつもない力で走り出したかと思うと、物凄い速さでスプールが回転した。私は必死にロッドのグリップを握りしめ、リムを押さえてスプールの回転を止めようと試みた。間もなく、魚は止まったが、スプールにはあとひと巻き程のラインしか残っていない。しかも、対岸の藻の生えている場所まであと僅かだった。
とりあえずドラグを締め直し、これ以上走らせまいとするが、さすがに相手も必死である。もはや最初のスピードは失っていたが、力強い走りは衰える事無く、少しずつラインが引き出されると、やがて魚は藻の中に到達した。

結局、魚は取れなかったが、何故かその時はさっぱりとした気持ちだった。
「あの状況では、例え4Xのティペットを使っていたとしても、ランディングは難しかったに違いない。いや、それ以前に、6Xだからフライをくわえたのだ。」帰国後、私は何度かそんな事を考えた。そして今では、悔しかった思い出に変わっている。

解禁ですが・・・。

2006-03-28 04:12:45 | その他
今年もいよいよ渓流が解禁となりました。
この日が来るのを、寒さに耐えながら、じっと我慢していた人も多いかと思います。

ところが、私はと言うと、冬の間にすっかり釣りの感覚を忘れてしまったために、全くテンションが上がりません。今週末は久し振りに時間が取れそうなので、忍野へ出掛けてみようと思っていますが、ベストの中もフライボックスの中も去年のまんまとあっては、釣場で困るのは目に見えてますね。(汗)

こういう時の対処法としては、まずイメージを膨らませる事が重要だと思います。
と言いながらも、私の場合、以前良い思いをした時の事を思い浮かべたり、釣った魚の写真を眺めたりしながら、何とかモチベーションを上げようと試みてはいるのですが、やはり最初の釣行を終え、あのワクワクドキドキ感を取り戻さない限り、実際にはなかなか難しいようです。

そう言えば、昨年の初釣行は危うくボウズを食らうところでした。何しろ、西桂地区のコンディションは例年に無く悪い状態で、辛うじて友人がヤマメを1尾取りましたが、私のフライには全く反応してくれません。もし、このままイブニングまで粘ったとしても、あまり期待出来そうになかったので、午後は忍野へ移動。結局、初の獲物は良型のブルック(写真)でした。

今年の初釣行もボウズだけは免れたいと思いますが、さてどうなる事やら・・・。