フライフィッシングの話

河川、湖沼、管理釣場などの国内釣行記、海外釣行記、タックル、フライなど、フライフィッシングにまつわる話と美しい写真。

難しいから面白い

2007-05-29 09:24:16 | 桂川(忍野)

忍野が良くなると、本栖湖も良くなって来る。
いつもどっちへ行こうか迷うところだが、今回は先月のリベンジという事で、とりあえず本栖湖へ向かった。

途中、道の駅なるさわに寄ってみると、イラク派遣でも使用されていた陸上自衛隊の軽装甲機動車が駐車場に集結していた。
ちょっと車内などを覗かせてもらったが、いろいろな装備がぎっしりと詰め込まれ、そのぶん座席が窮屈に見える。
「さすがに乗用車とは全然違うなー。」
普段は滅多にお目にかかれないものなので、ちょっと得した気分だった。

午前7時、本栖湖に到着。
結構人が多い。
沖では時折ライズも見られるが、どうも釣れている気配が無く、思案の挙句、結局また忍野へ・・・。

忍野に到着してみると、思いのほか人が少なかった。
逆にハッチの量は多く、あちこちで頻繁に鱒達がライズしている。
とりあえず前回と同様に、臼久保橋の下流から始めると、一投目から出てくるが、これは首振り一発でバラシ。
次に流心部を流すと、すぐに一尾目をキャッチ出来た。
一瞬これは爆釣か?と思ったが、忍野はそんなに甘くはない。

ウェット、フローティングニンフ、ドライと、それぞれ順番に試してみるが、どれも一発目に出るだけで、どうしても後が続かない。
いつもよりハッチの量が多いだけに、魚もよりセレクティブになっているようだった。

この日の釣果、ニジマス5尾。
結局、この日は3時間程で納竿。
結果は思わしくなかったけど、釣り自体は面白かった。

写真:S字の倒木上流部。
忍野もいよいよ新緑の季節に入り、最盛期に突入するが、同時にボサやクモの巣などの障害物が増え、非常に釣りづらくなる。

初夏の風物詩

2007-05-23 12:31:09 | その他

初夏の風物詩である浅草三社祭が終わると、いよいよ関東地方も夏の到来である。
我が家では、この季節に最も夏を感じるのは、南の風が運んで来る新木場からの材木の香りだった。

そう言えば、3年前のちょうど今頃、私は車のトランクにタックルを忍ばせ、夜明けの中央道を長野へ向かって走行していた。
早朝出発したのは、仕事の前にひと振りしようという企みがあったからである。
ところがその日は、前日まで降り続いた雨の影響で、あいにく川は増水し濁りが入っていた。そこで急遽予定を変更して『槻の池』というポンドスタイルの管理釣場へ行ってみる事にした。

『槻の池』は、八ヶ岳が望める高原避暑地の一画にあり、釣場へはゴルフ場や別荘が立ち並ぶ場所を通過して行かなくてはならないのだが、普段ゴルフや別荘などというものに縁の無い私は、綺麗に整備された広大な敷地に戸惑うばかりであった。
ところが、池に着いてみると、どこかの管理釣場のように、魚が多過ぎるという事も無く、コンディションの良い魚が多かった。しかも、日中からモンカゲロウのハッチがあって、綺麗なニジマスが大きなドライフライに飛び出して来たのである。

私はその日の仕事を早々に片付け、夕方には再び『槻の池』でロッドを振っていた。
ところが、ライズは頻繁にあるものの、何故かドライフライには全く反応が無い。そこで試しにモンカゲロウのスイミングニンフを泳がせてみたところ、突然大きなニジマスが追って来て、フライをくわえ反転した。そして、向こう岸まで到達してしまいそうな勢いで走り出し、危うく50ヤードのバッキング全てを引き出されそうになった。上がって来たのは、60センチを超える素晴らしいコンディションのニジマスだった。

もう今頃は『槻の池』だけでなく、あちこちでモンカゲロウがハッチしているに違いない。
そして、そのモンカゲロウを捕らえようと、ニジマスやブラウン達が水面下で動き回り、湖面を盛り上がらせているのだろう。そう思ったら、もう居ても立ってもいられなくなって来た。

ピンクのセージ

2007-05-19 16:12:40 | タックル

セージのロッドはもう何本も持ってるけど、特にセージフリークって程ではないし、別に限定マニアってわけでもない。だけど・・・、このピンクのロッドには妙にソソラレてしまった。

乳ガン基金のピンク色のロッドやリールが、以前から限定で発売されていたのは知っていたが、先日『Casting for Recovery(CFR) Outfit』なるものが発売になったというので、早速ネットで調べてみたところ、これがなかなか興味をそそられる内容だった。

その中身はと言うと、まずロッドが、限定300本のピンクカラーSAGE 586-4 VT2 CFR。それと、リールがピンクバージョンのROSS EVOLUTION 2 CFR。さらに、Jim Teeny CFR Flyline(ピンク/パープル)という組み合わせ。昨年はリズムのピンクバージョンだったが、今回はエボリューションになっている。

その気になるアウトフィットの値段だが、ズバリ850ドル。
これが果して高いのか安いのか良く判らなかったので、それぞれの価格を調べてみたところ、まず、SAGE 586-4 VT2が415ドル、ROSS EVOLUTION 2が295ドル、そして、Teeny Flylineが45ドル、合計で755ドルだった。
という事は、通常の仕様より95ドルも割高になってしまう。
ロッド1本につき100ドルが自動的に乳ガン基金に入るという事ではあるが、特別色というアドバンテージを含めなければ、その分をただ上乗せしているだけじゃないのか?と言われても仕方無いくらいピッタリと差額が一致している。もっとも募金という性質上、高いとか安いとかいう事はあまり関係無いのだが・・・。

このロッドを全部売り切った場合、募金額は30,000ドルになる計算だが、セージ側は「例え全て売れなかったとしても、最低25,000ドルの募金は保証する。」としている。

まあ、ちょっと派手だけど、綺麗だし、自分がもし女だったら買ってたかもね。

そろそろ忍野もイイ感じ

2007-05-15 11:52:25 | 桂川(忍野)

今日は遅めの出発で、忍野に到着したのは午前10時頃。
早速、臼久保橋と鐘ヶ淵堰堤の間から始めると、すぐに型の良い放流マスが「バシャ」っと飛び出した。今日は魚の活性がとても良さそうだ。

ところが、頻繁に反応はあるものの後が続かず、そのまま下流へ移動。
堰堤上のプールでは、ゆっくりと水面下で何かを捕食しているようなライズフォームだったので、まだちょっと時間が早いかなと思いつつ、ティペットの先にミッジを結んでみるが、やはり結果は今ひとつだった。
仕方無く、上流の様子でも見に行こうと川岸を歩いていたら、最初に始めた場所でやる気のあるライズを発見、試しに流してみると、呆気無く26センチのヤマメ(写真)が釣れてしまった。

そのまま大臼荘前からテニスコート裏まで見て歩くが、どこもパッとせず、そのまま一気に漁協駐車場前の堰堤まで来てしまう。
そう言えば、前回の記事で書き忘れていたが、5月10日未明に、堰堤脇の歩道の一部が陥没し、現在は大きな穴が開いたままになっている。さすがに今日はロープで囲ってあったが、陥没した箇所を覗いてみると、穴の底には壊れた土管が2本、そして地面だったところに数本の鉄筋が残っているだけである。このようなところを今まで何の気なしに歩いていたのだから、本当に恐ろしい事だと思う。とにかく今は怪我人が出なくて良かったとしか言い様が無い。

その後、江戸屋前で、例の餌付けされたヒレピンレインボーをサイトフィッシングで何尾か釣り、久し振りに膳棚橋の上流を覗いてみると、相変わらず出口池の方からの水はクリアであるが、本流の水はまるで溝川のような水だった。昔この辺りは、藻が水面近くまでビッシリと生えたとても綺麗な流れだったのに、この白濁した生活廃水は何とかならないものだろうか?

午後は金田一へ移動して、橋の近くでニジマスとヤマメをゲット。ところが、富士急では反応はあるもののフッキングには至らず、結局、夕方の鐘ヶ淵堰堤でミッジングのリベンジを行った後、あまりの寒さに撤収した。

この日の釣果。
ニジマス13尾、ヤマメ2尾。
忍野も最盛期に入ると、イメージ通りの釣りが出来るようになる。

写真上:通称『金田一』と呼ばれるポイントの全景。ここは水深がやや浅めのフラットな流れで、両岸から竿が出せるため、魚達はかなりスレている。

写真下:臼久保橋下流で出たヤマメは、まるで桂川本流育ちのようなグラマラスなプロポーション。見た目と同様にファイトの方も力強かった。

忍野の冷たい雨

2007-05-11 12:09:37 | 桂川(忍野)

前日の天気予報によると、午前中は晴れ時々曇り、昼過ぎから夕方にかけては雷雨の予報だった。まさにチャンス到来である。
と言うのも、以前から機会に恵まれず、「降り始めのライズが凄い。」とか「まさにライズの嵐だった。」などという話をこれまでずっと聞かされ続けていたからだ。

昨日の記録的な暑さから一転し、今日はぐっと気温が下がるとの予報。しかし、忍野に着いてみるとまだ結構暑くて、長袖シャツ一枚で丁度良いくらいだった。
とりあえず風もそんなに強く無かったので、まずは3番ロッドでS字の方から攻めてみる事にする。

流れの中を見ると、最近放流があったらしく、あちこちに結構魚が溜っている。
しかし、対岸のブッシュ下にロールキャストでフライを打ち込んでみるが、反応はあってもなかなか乗らない。そのうちに23センチ程のヤマメが掛かると、足下でバレてしまった。
そのままテニスコート裏から漁協前の堰堤まで釣り上がり、その間サイトフィッシングでイワナとヤマメをキャッチ。堰堤の下は粘っている人が居たのでやらなかったが、覗いた限りでは相当数の魚が溜っているように見えた。

暫くして風が強くなって来たので、4番ロッドに交換する。
鐘ヶ淵堰堤でやっていたら、いきなり突風が吹き、危うく帽子を飛ばされそうになったので、強風を避けて今度は金田一へ移動。ここでも最近放流があったのか、なかなか反応が良く、ようやく放流マスをキャッチ。続いて下流の瀬で良型がヒットした。始めは下流へグングン走って行くので、ニジマスかと思ったが、黄金色の魚体を見てすぐにブラウン(写真)と判る。さすがに流れの速い瀬育ちの魚体はとても美しかった。

昼食後、車の中で昼寝をしていたら、突然屋根を打ち付ける雨の音で目を覚ました。
空はいつの間にか真っ黒い雲に覆われていて、時折雷光も見える。天気予報はズバリ的中したが、暫く様子を見ていたら、雨がさらに強くなり、レインウェアに着替えるタイミングを失ってしまった。そのまま富士急へ様子を見に行くと、ライズはまだのようで、ひと安心しながら雨が落ち着くのを待つ。
雨がひと段落したところで急いで着替え、富士急へ向かうと、この辺り特有の黒っぽい魚体のマスが盛んにライズを繰り返している。ところがフライの方には全く反応が無く、全く成す術が無い。仕方無く、金田一へ移動してみると、ライズは散発ではあったが、フライへの反応はまあまま良くて、綺麗なニジマスをキャッチ。ところが、冷たい雨に打たれているうちに、すっかり身体が冷えてしまい、ここでひとまず退散する事にした。

夕方、臼久保橋の辺りは土砂が流れ込んで、とうとう濁りが入ってしまった。これではイブニングは期待出来そうに無い。
こうなると、温泉裏より下流か、新名庄川出合いより上流へ行くしかないだろう。一瞬あまりの寒さに、このまま帰ろうとも思ったが、考え直して夕方は漁協駐車場へ移動。江戸屋前でお決まりのヒゲナガパターンとなった。相変わらずフッキング率は低かったけど、派手な出方にきっちりと合った2尾のレインボーはどちらもヒレピンだった。

この日の釣果。
ニジマス6尾、ヤマメ2尾、イワナ1尾、ブラウン1尾
今日はバラシも多く、結果はいまひとつ・・・。

写真上:忍野温泉裏は典型的なチョークストリームが続いているが、左岸は崖で足場が悪く、右岸は私有地のため、竿を出せる場所は非常に少ない。

写真下:こんな美しい魚に出会った時は、リリースネットを持っていて本当に良かったと心から思う。バーブレスはもちろんの事、リリースする際も細心の注意を払いたい。

南アルプスの天然ヤマメ?

2007-05-07 23:18:19 | 南アルプス

山梨県には、大きく分けて3つの水系がある。
ひとつ目は、お馴染みの桂川水系、そして二つ目は多摩川の源流で、奥多摩湖の上流部に位置する丹波水系、そして三つ目が富士川水系である。
このうち、最も規模の大きいのが富士川水系で、源流は南アルプスの鋸岳を源とする釜無川、そこに奥秩父から流れる笛吹川や、南アルプスの名峰北岳を源とする早川などが合流している。

東京を朝早くに出発し、甲府市から国道52号を南下して早川町方面へ右折。町役場を過ぎた辺りから、だんだんと渓相が良くなり、そろそろ入漁証を買おうと思ったが、なかなか販売所が見当たらず、結局早川大橋まで来てしまった。少し走って小学校前の雑貨屋でようやくのぼりを見つけ、とりあえず店のおじいさんにポイントを尋ねてみる。すると、この辺りなら支流の黒柱河内川が良いとの事。また本流なら青崖トンネルを越えた辺りから西山発電所の堰堤までがお勧めだと言う。何でも堰堤の下には超大物が潜んでいるらしい。

早速ウェーダーに着替えると、『南アルプス邑・野鳥公園』のヤマセミ橋を渡って、対岸から入渓。
確かに黒柱河内川の渓相は素晴らしかったが、本流もなかなか捨て難く、とりあえず出合いのところから釣り上がってみる事にした。ところが、小さなポイントから大場所まで丹念に攻めてみるも、魚影はおろか、フライの方にも全く反応が無い。仕方なく一度上がって上流へ移動。途中、西山温泉の手前に多摩ナンバーのランクルが駐車してあったので、先行者が居るのを承知しながらも、素晴らしい渓相に思わず入渓してしまった。しかし、ここでも敢え無く撃沈。というか時間切れとなってしまった。

『そば処アルプス』で遅い昼食を取り、本日の宿となる奈良田温泉の『白根館』へ向かう。
チェックインの後、宿の人に勧められたので、疲れを癒すつもりで、とりあえず湯に浸かってみたら、ビックリするくらいの素晴らしい泉質だった。
ところが、風呂から上がり部屋で休んでいても何となく落ち着かない。しかも夕食は18時だから、まだたっぷり1時間以上もある。目の前を流れる早川本流は浅くフラットな流れで、およそ魚の居る雰囲気ではなかったが、その先の奈良田湖にはニジマスを放流していると漁協の地図に書いてあったのを思い出し、散歩がてら出掛けてみる事にした。
早速、湖に立ち込んでみると、水は想像以上に冷たかった。恐らく雪代が入っているのだろう。何となく釣れそうな雰囲気はあるものの、結局ここでもダメだった。

翌日、上流の川をチェックしてから奈良田湖を覗いてみると、何人か投げ竿で釣りをしている人達が居た。近付いてみると、まるでカツオの一本釣りの如く、目の前でニジマスを釣り上げていた。
それは、前日釣れなかった者にとってかなりショッキングな光景だったが、実はこれだけでは終わらなかった。

そのまま早川沿いを下ると、途中の公民館で『山菜祭り』というのが盛大に行われていて、会場はかなりの人が集まっていたが、赤沢宿の方には殆ど観光客は居なかった。赤沢宿というのは身延山と七面山の中継地にある宿場で、現在も旅篭と呼ばれる昔ながらの宿が残る、とてもノスタルジックな場所だった。
その後、饅頭を買いに身延山へ向かう。身延山には久遠寺という日蓮宗の総本山があり、さすがにゴールデンウィークとあって、多くの参拝客で賑わっていた。私も折角だからとお参りする事にしたのだが、本堂までの287段の石段は実際に登ってみると、一段が普通の階段の1.5倍程あり、しかも45度はあろうかという傾斜で、登っている途中から後悔してしまう程きつかった。
無事久遠寺参りを終え、随分と汗をかいたので、近くの立ち寄り湯で温泉に浸かってから帰ろうと、何となく目に入った旅館のようなところに入ってみた。ところが、案内されたのは古めかしい銭湯のような風呂場で、お湯も循環式で加熱を施した普通の温泉だった。まあ、特に汚いという訳でも無かったのだが、新築らしい正面玄関とはかなりのギャップを感じた事は確かだった。それでもとりあえず湯舟に浸かりながら、余計な事は考えまいと、暫くはジッとしていたが、どうも正面の大きなガラス窓のすぐ下には川が流れているらしく、流れのあるところには、きっと魚が居るだろうとつい想像してしまい、気になって仕方無かった。
結局、窓ガラスの水滴を手で拭い、いつの間にか流れの中を凝視していた。すると鮮やかな緑色の水草の脇に沢山の小さな魚が元気良く泳ぎ回っているのが見えた。環境からして最初はアブラハヤだろうと思っていたが、良く見るとパーマークのようなものがついているではないか。しかも、その小さな魚を追い払うように、今度は別の大きな魚が現れると、ついにはライズを始めた。それは尺近い立派な自生ヤマメ(*注1)だった。

写真上:南アルプス登山の起点となる広河内橋より、土石流止めの堰堤と雪を冠った南アルプス広河内岳を望む。
写真下:広河内橋から見る発電所下のクリアーな流れは、まさに南アルプスの天然水そのものだ。

(*注1)富士川水系は本来はアマゴの川だが、漁協がヤマメを放流しているため、現在はアマゴとヤマメが混棲している。