再読のための覚え書き
わが母の記
井上靖(1907-1991)
井上靖の実母の老耄と死を描いた、小説風の随筆。記憶障害を深めてゆく母の心の結晶を掬い取る。
「母の頭を毀れたレコード盤が回っているだけの場所のように考えていたが、そのほかに何か小さな扇風機のようなものでも回っていて、それが母にこの人生から不必要な夾雑物を次々に払い落させているのかもしれないのである。こんな風に考えて改めて母を見ると、多少母の顔は変って見えた。」
2022.12.1読了
わが母の記
講談社文芸文庫
1997年7月10日初版発行
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