長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

芹沢光治良「坂の上の家」

2021-10-18 09:30:00 | 

再読のための覚え書き


坂の上の家

芹沢光治良(1896-1993


長年勤めた銀行を定年退職した野口勇三は、上司に勧められた山川製紙への転出を断って、昔の夢だった絵を描き始める。


家族は、勇三が一日中家にいることに息を詰まらせ、妻は家事をやめて保険外交の仕事に出てしまう。


家の中がぎくしゃくし始めたある日、息子の洋一の婚約者を名乗る女性が突然現れた。


・・・・・・・・・・・・


人生の舞台を譲る人々と、受け継ぐ人々。その間に起きた波紋によって問われる、夫婦や親子の関係。




2021.10.17読了


坂の上の家

角川文庫

昭和371230日初版発行

昭和4763013


# #読書 #文学 #文庫 #芹沢光治良 #坂の上の家






有島武郎「或る女」

2021-10-13 10:23:00 | 

再読のための覚え書き


或る女(上下)

有島武郎(1878-1923


先日読んだ円地文子「秋のめざめ」の主人公、新劇女優の藤子が、今度は有島武郎の「或る女」の映画で主人公を演じるという設定だったので、前作の余韻に浸りながら「或る女」を読むことにした。


いわゆるモデル小説で、主人公の葉子は、国木田独歩の元妻の佐々城信子。


勘が鋭く、我の強い葉子の初婚は、2ヶ月で破綻。やがて、アメリカ在住の実業家木村と結婚するためにアメリカ行きの船に乗るが、旅の途中、船の事務長で妻子持ちの倉地と関係を持ってしまう。


それから後は、ひたすら堕ちていく一方で、心も体も病んでゆく。



2021.10.12読了


或る女(上)

岩波文庫

昭和2555日初版発行

昭和4781031


或る女(下)

岩波文庫

昭和2595日初版発行

昭和4681026


# #読書 #文学 #文庫 #有島武郎 #或る女








円地文子「秋のめざめ」

2021-10-11 12:36:00 | 

再読のための覚え書き


秋のめざめ

円地文子(1905-1986


新劇の女優、印南藤子と夫との不和もあって、ひとり息子の雪朗は神経質に育ってしまった。


雪朗の治療を委ねられた若い心理学者の木原は、いつしか歳上の藤子の魅力に惹かれ、やがて二人は相思相愛の仲になってゆくが……


女の情念を妖艶に描いているものの、抑制の効いた表現に、より一層の深みを感じさせられる。



2021.10.10読了


秋のめざめ

角川文庫

昭和341210日初版発行

昭和351130日再版



# #読書 #文学 #文庫 #円地文子 #秋のめざめ






円地文子「ひもじい月日」

2021-10-08 09:47:00 | 

再読のための覚え書き


ひもじい月日

円地文子(1905-1986


人間の妄執を鋭く描く円地文子。好きな作家だが、短編集は初読み。


《ひもじい月日》

さくは、幼少の頃からずっと背中の赤痣に悩み続け、縁談も避けてきたのだが、それを厭わないと言う直吉を紹介されて結婚。


直吉は、女学校で教師をしていたが、同僚の女性教師に手を出すなどの不貞が明らかになる。


やがて、直吉は夜学の教壇で倒れて寝たきりとなった。妻のさくは、雑貨屋を営みながら、すでに愛情の通わない夫を支えて生きてゆく。


8編。



2021.10.7読了


ひもじい月日

角川文庫

昭和32830日初版発行

昭和35330日再版

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #円地文子 #ひもじい月日






オーギュスト・ストリントベルク「令嬢ユリェ」

2021-10-05 10:03:00 | 

再読のための覚え書き


令嬢ユリェ

オーギュスト・ストリントベルク(1849-1912

茅野蕭々訳


悲劇を描いた戯曲。

令嬢ユリェは酒に酔いながら、狡猾な下男を相手に、家族の隠された秘密を暴露してゆく。


「人生も、人間も、皆な水の上を動いて行く軟い塊で、沈んでしまふまで動いてゆくのよ」


著者は序文の中で、「私の悲劇が多くの者に悲しい印象を与えるというのは,その多くの者の罪である」と語る。



2021.10.4読了


令嬢ユリェ

岩波文庫

1927710日初版発行

19893179

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #ストリントベルク #ストリンドベリ #令嬢ユリェ