勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

恋愛映画の難関

2005-11-25 | 映画のお喋り
恋愛映画の醍醐味は、多分'二人の間に横たわる障害’だと思う。
それを乗り越え、結ばれる結末をみな望んでいる。
一昔前の恋愛は、多くの障害を抱えていた。
代表的なものが身分違い&戦争だ。
映画で言うと「ローマの休日」=身分違い、「カサブランカ」=戦争。
どちらも別れを選んだ映画だが、名作として今でも支持されている。

現代の恋愛事情を考えると、身分違いと言うのは時代錯誤になってる。
確かにイギリスやアメリカは階級社会なのでそれなりのものはあるが、表立ってテーマにはしにくい。
戦争も社会的な問題点を多く含んだ状態なので、恋愛映画の障害にはなりにくい。
そこで最近障害としてクローズアップされたのが‘死’
これは私の趣味ではないので、多く語りたくない。

最近の恋愛映画で、障害として無難に選ばれているのが‘価値観の相違’だ。
恋愛映画で、二人が別れる原因を‘浮気’にしてしまうと、身も蓋もないからだろう。
この‘価値観の相違’は、便利なようでかなり難しい。
簡単な相違だと「それくらい我慢すればいいじゃん」と思われてしまうからだ。

2日間続けて恋愛映画のDVDを見たせいで、こんなことを考えたのだが。
その2作と言うのは『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』『ブラウン・シュガー』だ。
『ブリジット・・・』の方は、価値観の違う二人が主人公で、その為当然くるべき別れの問題がやってくると言う話。
逆に『ブラウン・・・』の方は、価値観がピッタリの親友同士が別の相手と恋をして、その相手との価値観の相違に悩む話。
正直、どちらも面白いとは言えなかったが、その理由を書いてみたくなった。

☆『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』
  監督:ビーバン・キドロン
  出演:レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース、ヒュー・グラント

この映画でレニー(『コールドマウンテン』のレニーは最高)演じるブリジットが、恋人マークと別れたホントの理由を、きちんと描ききれていないことにまず驚く。
マークにきれいなおねいさんが付きまとうようになったから?
弁護士会の晩餐会で大恥をかいたり、彼のエリート意識に腹が立ったから?
そうじゃない。

ブリジットはマークを愛しすぎた。
彼を完璧な男性だと思い込んだ。
自分に常に劣等感を抱き、マークに相応しくないのではと不安だった。
いつか、もしかしたら、やっぱりマークは心変わりするかもしれない。
こんな自分に呆れて、別れを告げられるかもしれない。
だからそうなる前に自分から別れてしまったのだ。
いつも怯えている自分に耐え切れなくなったから。
だけどそれでも愛してると言ってもらえることを、心の奥底で期待しながら。

それがなんだろう。
スベリまくったギャグの連発で上演時間の半分を使っている。
さすがにスベリ笑いも出てきやしない。
女が、パーティーに出る時は、仕上がりを最低3度はチェックする。
どんなに慌てていて、遅刻していても、絶対2度は鏡をチェックする。
だからあんなおてもやんメイク(コントかい!)に途中で気付かないはずないのだ。
ギャグに使った時間で、ブリジットの切ない心境を丁寧に描いてもらえたら、絶対いい映画になったのに。

☆『ブラウン・シュガー』
  監督:リック・ファミュイワ
  出演:サナ・レイサン、テイ・ディグス

hiphopを心から愛する幼馴染シドニーとドレイ。
シドニーは音楽雑誌の編集長、ドレイはレコード会社のディレクターとなった。
二人の趣味は完璧に一致していて、'ソウルメイト’を言えるほど互いを理解している。
だがある日、ドレイは別の女性と結婚することに。

わからないのはこの二人が結婚しない理由。
近過ぎて、恋愛感情がもてないから?
だけど結婚式の前夜に、ふたりは自分たちの気持ちに気付く。
それなのにドレイはそのまま別の女性と結婚。
当然のごとく、‘価値観の相違’で離婚。
ドレイが結婚した後、シドニーも別の男性と婚約。
当然のごとく、'価値観の相違’で破局。

ドレイの妻は浮気してるんだけど、映画全体からすれば、彼女とシドニーの婚約者こそが被害者に思える。
価値観の違う相手が美人だからと言う理由だけで結婚し、相談事はすべて親友のシドニーのところへ。
これじゃ、妻が浮気するのも当然だ。
お願いだからドレイがシドニーを選ばなかった理由を、もっと明確に描いて欲しい。
知りすぎてるゆえに、欠点や行動を見透かされ、それでプライドが傷ついたとか、彼女に我慢できない欠点があったとか。
欠点があっても、最後に理解者であるシドニーを選んだと言う形にして欲しい。

現代に、いい恋愛映画を作るのは、それほど至難の業なんだろうか。
Comments (4)
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