アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

旅立つ前の長いお話。

2008-03-13 | このブログについて
突如、世界一周の旅に出かけたのは2008年3月。

それまで地元のテレビ局で報道記者を務め、天職だと思ったその職の延長線上にドキュメンタリー番組のディレクターを夢見、だったら世界規模でやっていけるようにとアメリカでドキュメンタリー制作のインターン(実地研修)をすることを決意。
しかし受け入れ先も決まっていざ出発!という矢先に、その映画監督さんががんで倒れ入院することに・・・。

監督さんのお身体を心配する反面、自分の行き先はどうしようもなく、その後半年間ほかの受け入れ先を探したけれど見つからず、困り果てていた頃にたまたま見つけたのが「インドでのインターン」でした。
Video Volunteer というその団体は、アメリカ人の若い女性がCNNを辞めて立ち上げたNGOで、決して裕福ではない現地の人達にビデオカメラを渡し、自分たちで自分たちの状況をリポートさせ、それを英語に訳してインターネットで配信するという活動をしています。
「これだ~!」と思って早速コンタクトをとり、何度かメールをやり取りして、インターン(もしくはボランティア)としての受け入れを許可してくれそうな手応えを得ることができました。

そこでせっかちな私は「最終の返答を待つだけなら日本にいなくても大丈夫!」と、早速インドに向かう準備を始めます。
「とりあえず行っちゃえ!」というわけです。
と、そこで思いついたのが「世界一周」でした。
「インドまで行くなら、せっかくだしいろいろ寄り道しようかな。」


「アジア」に特別興味があったわけではありません。逆に「アジアって戦後の日本みたいな感じなんでしょ。」くらいにしか思っていませんでした。
開発途上な街の喧噪、貧しさ、裸の子どもたち、段々畑、温かい笑顔、のどかな風景・・・。昔のありがちなモノクロ写真を思い起こさせます。

一方で “放浪系” の旅の代表格として、インドへの憧れはありました。一度ハマるとやめられなくなるらしい・・・。藤原新也さんの幻想的な写真などから、生と死が混在するインドのカオス的なイメージがありました。

「だけど本当のところはよく分からないから、この際気になる場所を見て回ろう。」

そんなこんなで、世界一周の準備が始まりました。


||||||||||||||||||||||||||||||||||||


最初に考えたのが、ルートです。
いろいろ行ってみたい場所があるはずなのに、いざ旅のルートを決めようとするとどこに行けばいいのか分からない。
地図を眺めれば眺めるほど、ピンポイントで選ぶことができないのです。

「そうか、全体的なテーマがないからだ。」

ということで、旅のテーマを決めることにしました。
「私は何を見たいのか?」「それを見ることで私はその後何をしたいのか?」、自問自答が続きました。

結果出た答え。
「ずーっと考え続けている環境問題に今後本腰を入れて取り組みたい。だから、その現状を今のうちに自分の目で見てみたい。」
パソコンを開き、インターネットで情報を集め始めました。

例えばこんな情報です。
『丸太の輸入量=日本:世界第3位。』
『インドネシアの合板を日本が大量輸入。その8~9割は違法伐採と推測される。』
『パプアニューギニアでかつて王子製紙が熱帯雨林を皆伐。森林の60%はすでに消失し、その90%は違法伐採だったと推定。』
『バーチャルウォーターと呼ばれる間接水(家畜を育てるため等に使用)の大量輸出入により、水が枯渇する地域が生まれる。日本の輸入先=1位:アメリカ、2位:オーストラリア』
『水産物の輸入量=日本:世界第1位。太平洋/大西洋のマグロ、タラ、ヒラメがこの50年間で90%減少。日本の輸入先=中国、アメリカ、チリ、タイ・・・』

それらはただの「情報」もしくは「データ」でしかないつまらない文字の羅列ですが、まさにこれからその現場に行くかもしれない!と思うと見事に立体的に浮かんで私に迫って来るかのようでした。

「この中から、実際に飛行機のチケットを買う場所を選ぶんだ・・・。」


|||||||||||||||||||||||||||||||||


1年間で行ける場所なんて限られています。
ましてや「環境問題」なんて幅広いテーマなら尚更。大きな問題が勃発している場所だけでもアチコチ切りがありません。

なので、後は独断と偏見で。

以下、私が作ったルートです。

《日本→マレーシア→ボルネオ島→フィリピン→タイ→スリランカ→インド→ケニア→ドバイ→アメリカ→メキシコ→日本》

「世界一周航空券」というものを使えば、これだけ回って52万円。お得でしょう?
ちなみにこれ以外の国や地域に行く場合には自費になります。

そうして、「インドに半年」を第一目的にした欲張りな旅が始まったのです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿