遊びをせんとや

人生総決算!のつもりで過去・現在のことなどを書きます
といっても肩肘はらずに 楽しく面白く書きたいと思います

前田家の人々その後~那美(前田卓:ツナ)と妹(前田槌:ツチ)その後

2024年04月25日 | 人物
「草枕」の旅を終え 那美さんを中心とする前田家の人々を追う旅に出る
まずは「志保田のご隠居」こと前田案山子の家系を一覧にした



今日は「草枕」登場しない那美(卓)の4歳年下の妹(槌=つち)からスタート
この情報では 卓は妹から頼まれて上京へ来たようだが・・・
ただしこれも内容が? "案山子が死んで上京 民報社に住み込みで働く" 

というわけで もっと信憑性のある情報をただいま探索中
それに家系図を久しぶりで作って遊び疲れ?・・・今日はこれだけで終わり
それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]

作品モデルと舞台を訪ねる~夏目漱石「草枕」#6

2024年04月24日 | 人物
 峠の茶屋

峠の茶店のお婆さん 観海寺の大徹和尚
この二人の人物のモデルを追いかけてみたい と昨日の終わりに書いた

観海寺の大徹和尚は分からず仕舞いだった
お婆さんは 実名は分からないが 志保田家の元女中さんだった人
これは4章で 那美さんが画工に話している記述がある

「草枕」のモデル・シリーズはこれで終わりにする
ただ 「草枕」の作品自体の漱石の意図は何だったのか
これはグールド以来 ずっと謎のまま
「情に棹させば・・・」「非人情の世界」「不人情と非人情」「憐れ」等々

この先 「草枕」の世界に留まるか 那美さんを追いかけて東京に出るか
そして妹の槌子の世界へも行くか・・・これから考えて明日までに決めたい


左から宮崎震作(次男)、槌子(母:宮崎滔天の妻)、龍介(長男:柳原白蓮(伊藤燁子) の夫)

それでは明日またお会いしましょう
[Rosey] 

作品モデルと舞台を訪ねる~夏目漱石「草枕」#5

2024年04月23日 | 人物
「峠の茶屋」からの眺望

10章まで話が進んだ 残りは11章~13章 以下に超々々要約記述引用する

 ・・・画工が観海寺(禅寺)へ行く 和尚の大徹と会話する
 「那美さんも家に戻って以来 ここへ法を問いに来た それで近頃はわけの
わかった女になった」「ただの女じゃないと思いました」・・・

・・・庭に松の影が落ち 遠く海の漁火が明滅する
「あの松の影を御覧」「奇麗ですな」「ただ奇麗かな」「ええ」
「奇麗な上に風が吹いても苦にしない」・・・ 

 ・・・海が見える場所へ散歩 寝転んで漢詩を作る
那美が 野武士のような風体の男に 金を渡すところを目撃する
男が去った後 那美から話をする 「別れた元亭主」だという
そこまで曝け出すとは 画工は不意打ちを喰らって驚く・・・

・・・その後 那美は白壁の家(兄さんの家)に用事があると言い 画工も行く
那美は従兄弟の久一を呼び 「御伯父さんの餞別だよ」と短刀を渡す・・・ 

・・・戦地に向かう久一を見送る 川船に乗って停車場へ
顔ぶれは久一・隠居・那美・那美の兄・源兵衛+相伴の画工・・・

・・・舟で那美が「絵を描いて」と画工に言う
"春風にそら解け繻子の銘は何" 画帳に書きつけて見せる
「もっと私の気性が出ている絵を」
「あなたの顔はそれだけじゃ画にならない」 
「それじゃ どうすれば画になるんです」
「少し足りないところがある それが出ないと惜しい」・・・

・・・停車場での見送り 発車のベルが鳴り列車が動き始める
久一の顔が小さくなり 最後尾の車両が眼前を通過する
その時 窓の中から髯だらけな野武士が 名残り惜気に首を出した 
茫然とする那美の顔
画工は そこに今まで見た事がない「憐れ」が一面に浮いているのを見た
「それだ! それだ! それが出れば絵になりますよ」
と画家は那美の肩を叩きながら小声に云った 
画工の胸中の画面は この咄嗟の際に成就した

「草枕」はここで終る
この「憐れ」に拘ったのが1年前 英訳本でもその訳は?と探した
今回は 2章の伏線を発見?したこともあって それほど拘ることはない

本来のテーマ モデル探しに戻ると 次の二人をもう少し追いかけたい
峠の茶店のお婆さん 観海寺の大徹和尚


それでは今日はここまで 明日またお会いしましょう
[Rosey]

作品モデルと舞台を訪ねる~夏目漱石「草枕」#4

2024年04月22日 | 人物

 鏡が池

昨日と同様 地名・人名と欠かせないモチーフに絞って10章以後を進める

10章
・・・観海寺の裏道の杉の間から谷へ降りて鏡が池へ行く 
池の淵は熊笹が多く 不規則な形をしている・・・

観海寺の名は漱石の創作 モデルは昭天寺か?(特定は出来ていない模様)

「昭天寺のおよその場所」

「昭天寺」

・・・画家は 絵の道具を置き 池の淵へと降りてゆく
池の端の椿が血を塗った人魂のように ぽたりぽたりと際限なく落ちる
こんな所へ美しい女が浮いているところを描いたらどうだろう・・・

・・・那美さんの顔を借りるとしてもあの表情では駄目だ 苦痛が勝ちすぎる
といって気楽では困る ほかの顔ではどうか・・・

 「那美」~前田卓(ツナ)


・・・やはり那美さんの顔が一番似合う しかし何処か物足らない
嫉妬を加えたら? 憎悪では? 怒り? 恨み?
色々考えた末に 数ある情緒のうちで 憐れと云う字を忘れていた   
憐れは神の知らぬ情で しかも神にもっとも近い人間の情である

・・・那美さんの表情にはこの憐れの念が少しもあらわれていない
そこが物足らないのである・・・

・・・馬子の源さんが現れたので 池がいつ頃からあったのか訊く
何代も昔 志保田の嬢様が禅寺の僧を恋し 願いかなわず池に身を投げた
その時 鏡を持って死んだので 鏡が池と呼ぶようになった
以来 志保田の家には代々気違いが出るという
今の嬢様も少し変だという噂 去年亡くなったお袋様も変だった・・・

ミレー「オフィーリア」


・・・源さんが去り 今日は下絵くらい描こうと 画家は腰を据える
水面から視線を上げてゆき 眼前の風景を視野に収めようとする
その刹那 晩春の彩りの中 夕日を背に岩の上に立つ女の顔を見た
何度か驚かされた顔 と思う間もなく 女は岩の向こうに身を翻した
夕日は樹梢を掠めて幽かに松の幹を染める 熊笹はいよいよ青い
 また驚かされた・・・

要約しているつもりが ついつい引用が長くなってしまう
というのは最終13章で 那美さんの絵が(画家の頭の中で)突如完成する
そのキーワードが"憐れ"・・・その伏線がこの10章に仕込まれていた
今ようやく私はそのことに気がついた

というわけで今日は10章だけで終ってしまった
それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]  

作品モデルと舞台を訪ねる~夏目漱石「草枕」#3

2024年04月21日 | 人物


昨日で「草枕」のモデルや舞台の特定も8割方済んだのでペースを速める
ストーリーが目的ではないので 3章以降は地名・人名に絞って行こう

長良の乙女 渕川に投身自殺(2章既出) オフィーリアの絵
前2か所は不明 オフィーリアはシェークスピア「ハムレット」の恋人の名前

なお 地名・人名ではないものの この3章には忘れられない文章がある
・・・して見ると四角な世界から常識と名のつく、一角を磨滅まめつして、
三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう・・・
この部分が草枕の英訳本「The Three-Cornred World 」の題名になった

4章
那美を初めて見かける 女中から奈美の事を訊く 那美と会話も交わす

5章
床屋との会話 那美が亭主と別れたこと キ印だという噂などを聞く
砂川という地名→市内の白川の事? 湯の浦谷川(隠居所の傍の川)?

6章
詩論・画論記述 振り袖姿で廊下を往き来する那美に惑う画家・・・

7章
風呂場で那美と鉢合わせするシーン 発掘された当時の風呂場
~風呂場には友人・山川も入っていた・・・夏目鏡子「漱石の想い出」より~

8章
隠居(前田案山子)の部屋で茶を飲む 観海寺大徹も一緒 久一が出て来る

9章
那美が部屋に来る
身投げして楽に往生して浮いてる私の絵を描いてくれという 

「長良の乙女」「オフィーリア」は「草枕」の重要なモチーフのようだ
しかも ここにもう一つのエピソードが重なる

~漱石夫人鏡子は熊本在住3年目 不慣れな環境と初子の流産のため
ヒステリー症が激しくなり 白川井川淵に投身自殺を図ったが漁師に
助けられた(警察や新聞には伏せた)~ Wikipedia夏目鏡子より要旨引用
(これとは別に 大雨による白川の氾濫で溺れそうになって助けられた
という説もあるようなので 真偽のほどは不明)

ともかく私にとってはこれまで気づかなかったところである
今日はこれで終わって 残りの13章までは明日に回す
それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]