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DAZN観戦 2022年J2リーグ第38節 大分トリニータvsヴァンフォーレ甲府

2022-09-28 16:04:23 | サッカー視聴記(2022年J2)

※前回の大分の記事はこちら(35節・仙台戦、1-0)
※前回の甲府の記事はこちら(33節・金沢戦、2-2)

<前節からの変更>

大分=6人変更と過半数を占める。ボランチを2人にする事で3-3-2-2から3-4-2-1へとマイナーチェンジし、そのボランチは羽田→下田・弓場で、FW金崎が外れて1トップに。その他は右センターバックが伊東→小出・左ウイングバックが増山→高畑、シャドーがエドゥアルド・ネットと野村の2人とも代え、町田梅崎が入る。目立つ点としては、この勝負所で5節以来のスタメンとなった小出か。

甲府=前々節から使用している4バック(4-1-4-1)のシステムを継続。3人を変更し、サイドバックは右が関口(野澤英之と入れ替え)・左が須貝。(前節は右)前節左SBの荒木は左インサイドハーフに。サイドハーフは右が長谷川(宮崎と入れ替え)・左が鳥海。(前節は右)そして1トップが三平→ウィリアン・リラ。3トップとも思われる布陣だが、SBが最初から高目の位置を取るのは3バック時と変わらず。

スタメン

天皇杯では勝ち残っているものの、反比例の法則はハッキリとリーグ戦に表れてしまっている甲府。
最後の勝利が30節(琉球戦・5-2)という事で、そこから4連引き分けの後に4連敗と、泥沼にハマり込んでいる成績面。
それでも内容的には、新潟・横浜FC相手に決して見劣りしない試合を演じている直近でありますが、またも上位の大分が相手と厳しい一日となりそうです。

前節からボランチを弄ってきた大分。
弓場がスタメンという事で、彼を一列上げて3-1-5-1のような布陣を採る攻撃時。
後ろ4人+GKでの組み立てが基本というのは、前回観た時とほぼ同様であり。

相手の出方を伺い、甲府ディフェンスの隙を探し出すという立ち上がり。
甲府は4バックへとシフトして日が浅いうえ、前節からサイドを入れ替えた選手(長谷川・須貝)が数多と、守備面で綻びが生まれそうな布陣。
1トップのリラに機動力が足りないので、プレッシングの際は長谷川・鳥海のサイドハーフが前に出てカバーするのが特徴。
しかしそうなると大分のWBに対してSBが前に出る事となり、巧くプレスを嵌めなければ簡単に裏を取られそうな隙が垣間見えていました。
特に井上に対して食いつく左SBの須貝が顕著であり、果たしてその弱点は突けるか否か。

一方甲府のビルドアップに対する大分のプレッシングは、1トップのサムエルは常時アンカーの山田をチェック。
その分シャドー2人が前に出るというやや変則的な形となりましたが、(甲府同様に)助っ人FWにありがちな機動力の不足をカバーするべき布陣だったでしょうか。

立ち上がりはその大分のプレスを、甲府は巧みに可変する事で無効化していき。
石川が右サイドに張り出して関口を前方に上がらせるという、3バック時と同様の基本形が取れており。
逆の左サイドも須貝が積極的に上がり、その分サイドハーフが中央に絞るという具合に、攻撃に関しては以前と変わらない流動性だったでしょうか。

やや押され気味といった大分でしたが、21分に甲府の弱点を突く攻撃。
左→右へのサイドチェンジのパスを、甲府・須貝の裏のスペースへ落とし、そこに井上が走り込むという流れを作り。
そして井上がエドゥアルド・マンシャに反則を受けた事でフリーキックを得た事で、セットプレー攻勢に入ります。
このFKの、キッカー下田のクロスはクリアされるも、続く右CKもキッカー下田からクロス。
ニアサイドでストーン役(長谷川)がクリア出来ず、ナチュラルなフリックになった所へペレイラが跳び込んでヘディングシュート。
泥臭い形のシュートがゴールネットを揺らし、先制点を奪った大分。

リードした後も大分は右サイドから執拗に攻撃を仕掛け、井上からクロスが上がる事数多。
たまらず甲府は以降須貝の上がりは抑え気味となる、言わばピン止めされたような格好となります。
そのうえで反撃体制を取らんとしますが、相手に長所を抑えられているような感覚を抱えていては中々持ち味を発揮できず。
何とかセットプレーを得て、大分同様に(CBの)エドゥアルド・マンシャのヘッドでモノにするという姿勢が窺えました。
しかし35分のFKからのマンシャのヘディング、37分のCKからのマンシャの脚でのシュートはいずれも枠を捉えられず実りません。

それでも攻撃権を握っていく甲府、その内容はこれまでと同様、下位に甘んじているクラブのそれでは無く。
それを受けてか大分も、時間が進むにつれて弓場の上がりは影を潜めるようになり、オーソドックスなドイスボランチの姿勢で構える事となりました。

好機は作っていくも、流れの中からはフィニッシュに結び付けられない甲府。
アディショナルタイムにようやく(といってもスローインから)、左サイドから繋がり長谷川がカットインを経てエリア手前からシュート。
巻く軌道でゴールを狙ったものの、惜しくもゴール上へと外れてしまい。
終了間際でモノに出来れば大きかったものの、結局1-0のまま前半を終えました。

共に交代は無く迎えた後半。
追い付きたい甲府ですが、抑えられている感じの左サイドは変わらず、よって必然的に右からの攻撃が増え。
前半同様に最前線まで上がる関口を軸に攻めていき、後半5分にCKを得たもののそこから大分のカウンターが始まり。
逆に大分にCK攻勢に持ち込まれる事となり、2本目の右CKで再び、今度はサムエルのヘディングシュートが放たれ。(枠外)
前掛かりのリスクとも戦わなければならない甲府。

しかし8分、右サイドでボール奪取した関口が、拾った長谷川のスルーパスに走り込んでクロスまで繋げ。
そしてリラのヘディングシュートが放たれますが、GK吉田が右手一本でセーブし同点ならず。
恐怖を跳ね除けるかの如く、逆にヘディングでゴールを脅かします。

大分の方が先にベンチが動き、14分にサムエル・梅崎→長沢・金崎へと2枚替え。
これで2トップとなったうえで、弓場が一列上がる3-3-2-2へとシフトしたでしょうか。
この時間帯の大分は前掛かりになる甲府に対し、ゲーゲンプレスをかわしたり、反則ののちFKを素早くリスタートするなどで好機を作っていき。
流石に昇格を狙わんとするクラブらしい、巧さとしたたかさを発揮して主導権を握ります。

流れを変えたい状況に陥った甲府は、18分に鳥海→三平へと交代。
前述のリラのヘディングが惜しかった事で、ツインタワーに活路を見出す方向へ舵を切った(と思われる)吉田達磨監督。
布陣も、荒木が左SHに入って山田・石川がドイスボランチ気味となる4-4-2となったでしょうか。

その効果は早速表れ、ゴールキックから右サイドでの攻め、長谷川・石川の繋ぎで関口がフリーとなってクロス。
これをファーサイドでリラがヘディングシュート、今度は対角線の軌道でゴール右へと突き刺し。
目論見通りのヘディング弾で、同点に追いついた甲府。

その後は甲府がオーソドックスな布陣となった事で、プレスを嵌めてボールを奪うシーンを頻発させます。
対する大分は、長沢を活かしたロングボール攻勢で打開を図るという流れへと傾倒していき。
互いに譲らないという展開の中、27分に大分はプレッシングを受けながらのビルドアップで、GKまで戻したのち吉田が右サイドへロングフィード。
ターゲットとなったのは前に出ていた井上で、ポストプレイで町田に託したのち彼のスルーパスに走り込んでクロス、低いボールに長沢が足で合わせにいくもシュートは撃てず。
故障から復帰して初出場となった長沢が控える事で、他選手を使った攻撃も容易になったという感じで好機を作り。
勢い付けようと、直後の28分に再度2枚替え(高畑・町田→増山・野村)した大分。

増山の投入でどうなるのかというと、彼のロングスローが一手に加わり。
31分にはニアサイドの長沢目掛けて投げ込まれ、クリアされたボールをダイレクトで下田がミドルシュート。
エリア内でブロックされるも、跳ね返りをさらに野村がダイレクトでシュート(枠外)と、十分脅威となり得た増山のスローインからの攻撃。

その後増山がエリア内へボールを投げ込む事3度と、押し込まれた甲府。
流れを変えるプレーは36分で、敵陣左サイドで荒木がボール奪取したのちそのままドリブル、対峙した大分・小出を股抜きでかわして一気にエリア内へ。
そしてシュートまで辿り着く(ブロック)という個人技を見せ付けます。
続く37分には中央から山田がエリア内へロビングを上げ、走り込んだ荒木が左から折り返し、長谷川が合わせシュートしたもののGK吉田のセーブに阻まれ。
一気呵成と言わんばかりに、ベンチも39分に動きリラ・荒木→飯島・宮崎へと2枚替え。
そして三平が1トップとなる4-2-3-1へとシフトしたでしょうか。(2列目は長谷川が左に回り、トップ下が飯島・右が宮崎)

同時に大分も弓場→ネットに交代して最終局面に突入。
最初に好機が訪れたのは甲府の方で、プレッシングを受けつつのGK河田のロングフィードが一気に最終ライン裏を取り、エリア内に宮崎が走り込むという決定機となります。
これをダイレクトでループシュートした宮崎、GK吉田の上を抜いたものの、激走した大分・小出がゴール寸前で掻き出して防ぎ。
勢い余ってゴールポストに激突する程の小出のカバーリングで、窮地が防がれます。

大分も44分GK吉田のロングフィード一本で好機を作り、左サイドで長沢の頭上を越えたボールを増山が拾い、ドリブルでエリア内へ切り込み。
そしてカットインと見せかけてヒールでスルーパスを送り、長沢が走り込む絶好機となりましたが、間一髪でクリアされ撃てず。
アバウトな攻撃が有効になるという、終盤故のオープンな展開へとシフトした感じとなりました。

好機の応酬で白熱の様相となったまま、ATに突入。
その過熱ぶりは、大分・ネットに反則を受けた甲府・三平がヒートアップして詰め寄ってしまうというシーンが生まれる程であり。
昇格に向けて勝ち点3が必須なのは大分の方ですが、甲府も9試合ぶりの勝利が掛かっているとあり、勝ちに拘る姿勢はどちらも変わりません。

しかし甲府のパスワークが雑になるのを余所に、攻撃権を支配したのは大分。
そして4分が目安のATも最終盤、ペレイラが自陣でボール奪取してから縦パス→長沢ポストプレイ→野村右へ展開という流れで、信頼性ある井上からのクロス。
クリアされるも下田から受け直した井上が再度クロスと、あくまで貫いたその姿勢が報われます。
ファーサイドに上がったボールを増山が胸トラップすると、その前に居た長沢がダイレクトでボレーシュート。
シュートと呼ぶには鈍いミートながら、執念で甲府のブロックを掻い潜ったボールがゴールネットを揺らし。
最後の最後に勝ち越し点を挙げ、ピッチ脇で歓喜の輪を作る大分。
その後甲府のキックオフ直後に試合終了の笛が鳴り、大分の劇的勝利で幕は閉じられました。

逆に、結局この日も上位相手に善戦するも敗戦となってしまった甲府。
「どんな強敵でも良い試合をする」という姿勢は、きっと今後の天皇杯に繋がると前向きに考えるべきでしょうか。

コメント
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