<ブラジルスタメン> 4-2-1-3
GK アリソン
RSB ミリトン CB マルキーニョス CB チアゴ・シウバ LSB ダニーロ
DH ルーカス・パケタ DH カゼミーロ
IH ネイマール
RWG ラフィーニャ CF リシャルリソン LWG ビニシウス
<韓国スタメン> 4-4-2
GK キムスンギュ
RSB キムムンファン CB キムミンジェ CB キムヨングォン LSB キムジンス
RSH イジェソン DH チョンウヨン DH ファンインボム LSH ファンヒチャン
FW チョギュソン FW ソンフンミン
参考動画 -ブラジル vs 韓国|決勝トーナメント1回戦|FIFA ワールドカップ カタール 2022 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
グループHを、3節後半アディショナルタイムでの勝ち越しという劇的な幕切れで突破を果たした韓国。
現ガンバのキムヨングォンをはじめ、GKにキムスンギュ(元神戸・柏)・左サイドバックにキムジンス(元新潟)・ボランチにチョンウヨン(元京都・神戸)と、Jリーグ在籍の経験を持つ選手もスタメンに目立つ陣容であり。
サッカー王国に対しどう挑むのか注目されましたが、やはり壁は厚かったというべきでしょうか。
ネイマールが故障から回復し、スタメン復帰したブラジル。
その影響か、システムは1節(セルビア戦・2-0)で見参となった「前後分断」の趣が強くなりました。
つまりはSBの攻撃参加が控えめとなり、前線のタレントが創造的な攻撃を見せ付けるという内容に。
しかしこの試合は、そんなシステム云々を語る前に大勢が付いてしまったという流れに。
グループリーグ突破の勢いそのままに、ブラジルのビルドアップを果敢に阻みにいった韓国でしたが、その思惑はあっさりといなされ。
前述の通りSBが上がらないブラジル、その分安定性を増したビルドアップでは、生半端なチームでは太刀打ちできないといった感じでした。
具体的にはボールサイドと逆側のSBが中央に絞り(時には両側ともボランチの位置でプレー)、ボランチのように振る舞う事で、最終ラインからのパスの出所を増やす事で容易に対処。
そしてその分カゼミーロが前に出たり、パケタは右ワイドに張る場面が増える等前線にも好影響が。
前半7分の好機、右ボランチのような位置から出されたミリトンのパスをワイドで受けたラフィーニャ、ボールキープを経てカゼミーロ・パケタとのパス交換から(韓国のパスカットもあったが拾い直し)奥に切り込み。
そしてマイナスのクロスを入れると、中央で合わせにいったネイマールはディフェンスと交錯して撃てずも、ファーサイドへ流れたボールをビニシウスが拾ってシュート。
ゴールネットを揺らし、早くも試合のイニシアティブを握る先制点を得ます。
早々の失点で焦りを露わにする韓国。
9分にも長いボールポゼッションから左サイドを脅かすブラジル、ネイマールが戻しのパスを受けた所(ソンフンミンに)反則を受け。
ここはサイドからのフリーキック止まりでフィニッシュには繋がらずも、続く11分にも左サイドを突き、ビニシウスのクロスがブロックに遭うもボールはエリア内へ。
拾ったのは韓国・チョンウヨンでしたが、背後からすかさずリシャルリソンがボール奪取すると、勢い余ってチョンウヨンの足がリシャルリソンに入ってしまい。
躊躇わずに主審の笛が吹かれ、反則ならびにブラジルのPKが告げられました。
蹴るのは当然とばかりに、キッカーの位置に立つネイマール。
GKキムスンギュとのフェイント合戦を制し、右に蹴り込んでキムスンギュを反応させずにゴール。
あっという間にリードは2点に変わる事となりました。
相手の遠い背中を追う立場となった韓国、17分にようやく初シュートに辿り着き。
左サイドで受けたファンヒチャンがマイナスのカットインからエリア内へ縦パスを送り、カットされた跳ね返りを自ら拾い直すと、果敢にミドルシュート。
GKアリソンにセーブされるも、反撃の狼煙とすべき一矢が放たれました。
しかしその後が続かず、前線のポストワークや裏抜けはブラジルディフェンスの前に機能不全という感じ。
必然的にボールポゼッションによる遅攻、つまり「ボールを持たされる展開」を強いられる時間も増えていきます。
26分にはパスミスをブラジルに繋がれ、ネイマールがドリブルでエリア内へ持ち込むという危機的状況も作られ。(フィニッシュは撃てず)
スター選手に訪れた絶好機にスタンドも盛り上がり、地域では無く雰囲気でアウェーの状態を強いられるのを実感する事となったでしょうか。
そんな雰囲気からか、ブラジルのチャージを受けて倒れ込む選手が目立っても、オーバーアクションと判断されての事か笛は鳴らず流される場面が多くなりました。
そのネイマールのプレーから、27分・28分と立て続けにコーナーキックを得たブラジル。
後者からゴールが生まれる事となり、2本のクロスこそ跳ね返した韓国でした、尚も攻撃継続するブラジル。
右サイドからカゼミーロのエリア内へのミドルパスも跳ね返されるも、リシャルリソンがヘッドからリフティングのようにボールを収めて繋ぎ。
そして前残りしていたセンターバックのマルキーニョス→シウバとパスが繋がるなか、エリア内へ送られたボールをリシャルリソンが受け直して勝負あり。
シュートがネットに突き刺さり、今大会初の3点目を奪ったブラジル。
尚もブラジルの前線の勢いが止まらないなか、韓国はその間の32分に再びファンヒチャンに好機が訪れ。
左サイド奥に切り込んでからのカットインで、GKアリソンの眼前でシュートを放ちましたが、セーブされ惜しくもゴールならず。
何処かで1点奪えれば……という流れでしたが、それが果たせぬまま迎えた36分。
カウンターを仕掛けて数的優位を作るブラジル、リシャルリソンドリブル→ネイマールエリア内左へスルーパス→ビニシウストラップから柔らかいクロスというアタッカーの流れるような攻撃を、パケタがファーサイドでのボレーシュートで締め。
前半のみで4点と、完全にお目覚めモードとなりました。
ATに突入しさらにブラジルは決定機、パケタがパス&ゴーでエリア内を突き、ラフィーニャのスルーパスを合わせるシュート。
これがワンテンポ遅らせた技ありのシュートでしたが、GKキムスンギュのセーブに阻まれゴールならず。
しかし安全圏といえる4点差を保ち、前半を終えます。
ここから勝利を狙うには厳しすぎる韓国ですが、諦める訳にはいかず。
ハーフタイムで2枚替え、キムジンス・チョンウヨン→ホンチョル・ソンジュンホに代えると共に、布陣も変更します。
<後半からの韓国> 4-1-2-3
GK キムスンギュ
RSB キムムンファン CB キムミンジェ CB キムヨングォン LSB ホンチョル
DH ソンジュンホ
IH ファンインボム IH イジェソン
RWG ファンヒチャン CF チョギュソン LWG ソンフンミン
ブラジルと同様の3トップにする事で、予想される「ボールを持たされる展開」からの打開を図らんとしたでしょうか。
ブラジルキックオフからの攻撃は切ったものの、すかさずラフィーニャにカットされて継続、そのままエリア内からシュートを放たれる(ブロック→GKキムジンヒョンキャッチ)幕開けで始まった後半。
まずは主導権を握りたい韓国、左サイドへ流れた最終ラインのキムヨングォンからのロングパスが通り、入れ替わって受ける事でDFを剥がしたソンフンミンがエリア内からシュートを放った(GKアリソンセーブ)のが後半2分。
その後はこれをヒントとしたか、サイドに人数を掛け、ブラジルディフェンスを寄せた末にサイドチェンジを通す攻撃を何度か見せます。
しかしブラジルのペースは揺るがず、その後もプレッシングは奪いきれず、アタッキングサードでは際どい場面を作られるという具合に反撃の機運は高まりません。
11分に再びネイマールが(ソンジュンホに)反則を受けた事で、今度は直接FKを狙う好機を得たブラジル。
中央やや左寄りという絶好の位置で、誰もがネイマールがシュートする事に期待を掛ける中、その裏を掻いてラフィーニャがシュートするも壁を掠めてゴール左へ外れ。
何とかポゼッションを確保したい韓国。
4-1-2-3の布陣にも拘らず、アンカーが降りて3枚の最終ラインの形とする事でそれを果たすという苦しい展開はボール保持時でも変わらず。
それでも高い位置を取り始めたSBにより、厚みを増したサイド攻撃から好機を作る流れとなります。
そんな中でブラジルは18分にミリトン→ダニエウ・アウベスへと交代。
韓国も20分にファンインボム→ペクスンホへと交代と、両者カードを切った中盤。
スタート時のボランチを双方とも交代させる事となった韓国、その心はブラジルの圧力による消耗の激しさか、ないしは攻めに変化を出したい故の苦肉の策か。
それでもサイドでの前進から、ソンジュンホやペクスンホが前線の輪に加わる事によるパスワークで好機を生み出し。
23分には右サイドでの繋ぎから中央→左へと渡り、SBのホンチョルが高い位置からクロス。
チョギュソンが合わせにいくもシウバと交錯して撃てず、ファーにこぼれたボールをファンヒチャンがシュートしましたがGKアリソンがセーブ。
尚も決定機は続き、ソンフンミンが詰めにいきましたが今度はマルキーニョスが立ちはだかり、2度のシュートはいずれもブロックされゴールを奪えません。
惜しいシーンは見られるも得点差を詰められない韓国。
それを尻目にブラジルはさらにカードを切り、27分にダニーロ・ビニシウス→ブレーメル・マルティネッリへと2枚替え。
そしてその2分後に韓国も動く(イジェソン→イガンイン)という先程と同様の流れを見せ。
意地を見せんと、センターバックもサイドに流れつつの前進を混ぜて押し込みを見せる韓国。
その姿勢が報われたか、30分にこぼれ球を拾いにいったチョギュソンが反則を受け、右サイドからのFK。
キッカー・イガンインのクロスは跳ね返されるも、絶好のミドルレンジで拾ったのはペクスンホで、その通りにミドルシュートを放ちます。
強烈なシュートに流石のブラジルも成す術無く、ゴール右へと突き刺さり。
ようやく1点を返した韓国。
尚も35分に右へと開いたキムジェンスがエリア内へミドルパスを送り、チョギュソンが走り込んでシュート、GKアリソンにセーブという際どいシーンとなりましたがオフサイドを取られ。
直後にそのチョギュソンに代え、ファンウィジョを投入してカードを使い果たした韓国。
同時にブラジルも最後の交代、その内容はGKを代えるというもの(アリソン→ウェベルトン)で、さらにネイマールも退く(ロドリゴと交代)という具合に次戦を見据えた采配。
ブラジルのGK交代という事で思い出されるのが2006年の日本との対戦(グループリーグ3節)で、奇しくもこの日と同スコア(1-4)での完敗で、余裕を見せ付けられる格好でした。
その後交代選手の奮闘でブラジルが押し返し、韓国は攻勢を続けたくてもままならない状況に。
GKウェベルトンの良いフィードから右サイドで前進し好機を作ったり(43分)、敵陣エリア内でロドリゴがパスカットしたり(41分)と、要所で見せ場を作り。
44分には左ハーフレーンでの素早い運びから、マルティネッリがエリア内左奥を突いてクロス、ファーサイドでアウベスがボレーシュートで合わせる(韓国・ホンチョルブロック)とその総決算のような決定機も生まれました。
結局そのままスコアは動かず、4-1でブラジルが貫禄の試合を演じ。
5大会ぶりの戴冠まで後3勝と、短いようで長いその道のりに足を踏み入れる勝利となったでしょうか。