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TV観戦 天皇杯 第103回全日本サッカー選手権大会決勝戦 川崎フロンターレvs柏レイソル

2023-12-11 16:00:27 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 柏は最終節(名古屋戦、1-1)で退場になったジエゴが出場停止。
  • 柏は途中移籍の犬飼・山田雄士が規定により出場禁止。(犬飼は浦和・山田雄は栃木で出場経験ありなため)

準決勝の記事-熊本vs柏(0-4)川崎vs福岡(4-2)


今年一年を締めくくるべくの天皇杯決勝。
元旦開催だった過去も、時代の変遷ともに移り変わりこの時期に。
よってACL組の川崎は6節を残して挑む事になりましたが、例外故に気にしない。

タイトル争いで、今年を象徴するであろうテーマは「初」。
J1では、神戸が首位の座を守り通して初のリーグ制覇を成し遂げ。
ルヴァン杯では、福岡が上昇機運を見事結果に繋げて初の戴冠。
しかしこの天皇杯においては、一転して既存タイトルホルダー同士のぶつかり合いに。

そしてこの新国立競技場は、一週間前には血で血を洗うようなJ1昇格プレーオフ決勝の舞台となった場所であり。
劇的展開によりヴェルディが涙の昇格に辿り着くという、物語を締めるに相応しいダンスとなり得ました。
そんな状況故に、いかに試合前セレモニーで盛り上げようとしても、果たして今季のこの戦いの流れを上回れるかどうかという懸念を失礼ながら感じてしまい。
サッカーの神もそれを強靭に感じ取ったのか、勝ち上がった2チームに対して用意した展開は凄まじいものがありました。

最終節で残留決定という、傍らから見れば汚泥に塗れた一年という柏の戦い。
それでも途中就任した井原正巳監督の下、落とし込まれた組織的守備は健在というのはこの試合(26節・マリノス戦、2-0)でも証明済み。
並行して戦ってきた天皇杯では何と3試合連続無失点で、準決勝はJ2勢の熊本に対しほぼ何もさせずという、その象徴のような戦いで完勝。
そしてこの日も、そのストロングポイントを如何なく発揮します。

前半3分、自陣右サイドで椎橋のボール奪取からサイドを移しながらの運び、片山スルーパス→山田康スルーパスで左奥を取りにいく攻め。(その後サヴィオが反則気味のアタックでボールロスト)
超コンパクトという守備布陣で、ボールを繋ぎに掛かる川崎から自由を奪った末に、ボールを奪って素早く運ぶというスタイル。
あの時のマリノス戦然り、主体的な攻撃を貫くチーム相手には一層効果的という感じで、立ち上がりから優位に立つ事に成功します。

川崎は今季の基本である、2-3-5という攻撃時の布陣でビルドアップを図るも、アンカー橘田へ中々ボールを託せず機能不全に。
柏の2トップ(細谷・山田康)はしっかりとパスコースを切ったうえでプレッシャーを掛けられるので、それを上回る術を見出せずに押し込まれます。
12分の好機は左スローインから、受けた瀬古が素早くサイドチェンジという奇策で柏の包囲網を破ったもの。
これをエリア内右角で細かく繋ぎ、脇坂の縦パスがこぼれた所をダミアンポストプレイ→家長ダイレクトでシュート。(立田ブロック)
一つ川崎らしいアタッキングサードでの崩しを見せたものの、それ以降は音沙汰無しで試合が進んでいきます。

優勢に進める柏も、川崎がプレスを嵌められずに結果的にリトリートの意識を高めた事でその地上からの攻めは冴えず、「ボールを握らされる展開」がチラつく状況に。
サイドからのアーリークロス中心で、ディフェンスが跳ね返したボールを拾ってミドルシュートというのが主なフィニッシュに。
14分から21分まで4度もエリア手前からのシュートを放ち、時にはワイドから果敢に狙っていくもゴールを奪えません。

それ故に狙いたいのはやはりショートカウンターで、26分にその機会が訪れプレッシングを嵌めた末に椎橋が前に出て右サイドでカット。
そしてその勢いのまま奥を取り、小屋松マイナスのクロス→椎橋フリックで中央で好機となり、細谷がボールキープの末にシュート。
囲みを突破できずブロックされ、拾った高嶺のミドルシュートで追撃もこれも脇坂のブロックに阻まれ、尚も繋いでサヴィオが手前から浮き球を右ポケットへ送り。
土屋の折り返しを経て小屋松がボレーシュートと攻め立てましたが、これも登里がブロックと、防ぎきった川崎。

連撃も決められなかった柏は、その後もペースを握りますが遠目からのフィニッシュへの傾倒傾向は変わらず。
山田康が山形時代さながらに、様々な場所に降りて相手のチェックを外したうえでボールを引き出す役どころに。
これにより川崎の重心を下げる事には成功するも、アタッキングサードでの崩しで川崎ディフェンスを上回れずといった流れでしょうか。

前半の終わり際には片山のロングスローを多用する等、強引にでも先制点を狙いにいく柏。
それでもスコアを動かす事は出来ずに前半が終了。
川崎は記録上はシュート1本のみ(40分の瀬古のミドルシュート・枠外、家長のシュートは眼前でブロックされたためか記録されず)という戦いに終わり、何とか巻き直しを図りたいハーフタイムとなり。

ともに交代は無く始められた後半戦。
川崎はその最初の攻撃(柏がキックオフも、ボールを捨てるかのようなロングボールで終了)で、パスを繋いでプレッシングをいなす事に成功した末に脇坂が高嶺の反則を受けた事で直接フリーキックに。
中央やや左という位置で、脇坂が直接シュートを放ったもののゴール上へと外れてしまい。

これでペースを確保したかに見えた川崎ですが、後半4分にはラフなロングパスにダミアンが走り込むという毛色の違う攻撃。
左奥で繋いだダミアンが、宮代のエリア内への浮き球を受け直し好機到来と思われましたがオフサイドに引っ掛かり。
やはり柏のプレッシングは脅威で、ロングボールでの攻めを増やしてきたようでした。
それでも流れを変えるには有効な変化となり、8分にカウンターに持ち込むと、橘田のドリブルを反則で止めた高嶺が警告を受け。

こうした流れを経て優勢に持ち込みたかった川崎でしたが、10分には左サイドでスルーパスを受けた片山の前進を反則で止めた脇坂に警告。
元来反則も辞さずの姿勢が強い柏に対し、応戦してしまった事で乱れがちとなり。
13分には柏のクリアボールを顔面で直接受けてしまった家長が倒れ込み。
22分には立田が顔から出血しピッチ外で治療という具合に、試合が止まる事で流れが掴み辛い展開へと突入した感がありました。

前半とは違いフィニッシュも膨らまずに推移する、難しいゲームとなり。
それを変えるべく川崎ベンチが先に動き、19分に瀬古・宮代→遠野・瀬川へと2枚替え。

24分左サイドから攻める川崎、パスワークの末に登里がエリア内へ送ったボールを脇坂がフリック、変化を付けて中央へ通そうとしたものの遮断され。
するとすかさず柏のカウンターとなり、こぼれ球をサヴィオが直接前線へ送ると、クリアに入った山村が触れずに細谷に渡る絶好機に。
抜け出して大南の後ろからのアタックでも倒れず切り込んだ細谷でしたが、ドリブルタッチが大きくなった所をGKチョンソンリョンに抑えられてモノに出来ません。
冷や汗を掻いた川崎サイド、このシーンで大南が足を攣らせてしまうなど苦境に塗れる最後方。
以降柏へと針が振れ始めるも、その柏サイドも32分のサヴィオのミドルシュート(ブロック→GKチョンソンリョンキャッチ)など、再び遠目からのフィニッシュへの傾向が見られ。

再び流れを変えたい川崎、32分にダミアン→小林へと交代。
一方の柏も同時に、小屋松・山田康→戸嶋・山本へと2枚替えを敢行します。

劣勢を受け、再びロングボールの比率を高めに掛かる川崎。
33分には空中戦の末に、瀬川のラフな浮き球に走り込んだ遠野がエリア内からシュート(GK松本キャッチ)と、どんな形でも得点を狙いにいく姿勢を強め。

それでもアバウトな展開は柏も望む所という感じで、サイド奥を取っての好機を作り出し。
再び乱戦模様となって来た終盤。
42分に3度目の交代を敢行する川崎ベンチ、大南と脇坂に代えてジェジエウとジョアン・シミッチを投入。
これでシミッチが居る時の基本形である、4-2-3-1へと形を移します。(遠野が右SHに入り家長がトップ下に回る)

お互いワンミスは許されないという空気が蔓延する中、突入したアディショナルタイムは目安8分と長丁場に。
その最中に柏は土屋・高嶺→川口・仙頭へ2枚替えと、延長戦も見据えたカードを切り。

川崎は右サイドからの前進で、偽サイドバック的にワイドの遠野からのパスを受けた山根がポケットを突く攻撃。
彼のヒールパスを受けた家長、ワイドに流れてキープする所を反則を受け、FKの好機。
キッカー遠野のクロスが跳ね返され、自ら拾った遠野の再度のクロスに、瀬川が合わせヘディングシュート。
しかしGK松本にキャッチされると反転して押し込む柏、右サイドからスローインの連続で漸進。
そして奥からのスローインがクリアされてコーナーキックになると、キッカー・サヴィオのクロスがクリアされるも仙頭が繋ぎ、左ポケット奥を取った片山がシュート。
しかし角度が足りずにポストを直撃し、最後は枠に防がれたという絵図で試合終了、もとい後半終了の笛が鳴り響き。
お互い譲らずに、延長戦へと持ち込まれました。

頭での交代は無く、追加された30分間の戦いが幕を開け。
仕切り直すかのように、再びボールポゼッションの意識を高めに掛かる川崎。
シミッチが加わった事で、最終ラインにボランチが降りて3枚での繋ぎという手法もやり易くなり。

こうした姿勢で攻撃権を確保したかった川崎ですが、やはり柏の強度の高さを上回れず。
延長前半6分、今度は柏が地上でのビルドアップを展開すると、右サイドで縦パスを受けた山本がカットインから中央へ展開。
これをシミッチが山本を倒してしまい、アドバンテージで継続と立ち遅れの絵図を見せてしまう川崎ディフェンス。
エリア内への浮き球パスはクリアするも、その後の繋ぎをミスして柏の攻めが継続した結果、シミッチが今度はサヴィオを倒してしまい反則。
良い位置での直接FKを与えてしまう結果となり(横位置は中央~左ハーフレーンのちょうど中間あたり)、サヴィオの直接シュートは壁を直撃と防いだものの劣勢感は変えられず。

すると9分空中戦で、片山の跳ね返しが直接川崎最終ラインの背後を取り、受けた細谷がGKと一対一を迎えます。
今度はエリア内でシュートに持ち込んだ細谷でしたが、GKチョンソンリョンがこれも前に出てセーブすると、左奥で拾い直した細谷のクロスも身体を張ってブロックするチョンソンリョン。
緊迫の展開で延長を迎えた影響か、ハイテンションぶりを見せ付ける守護神。
最終的にはこれが勝敗を左右する事となったでしょうか。

押し込まれた川崎も、13分に自陣深めからのビルドアップ、右サイドでボールを持った家長を軸に柏のプレッシングを剥がした事で落ち着きを取り戻し。
登里がドリブルに持ち込み、戻して作り直しとなったものの、再度柏にやらせない体勢を築きます。
(柏は14分に椎橋→武藤に交代、戸嶋がボランチ・山本が右SHへとシフト)

そうして延長前半を終え、後半開始という所で川崎は最後の交代。
小林が足を痛めてしまったようでインアウトを強いられ、CFにバフェティンビ・ゴミスを投入します。

このベンチワークを経て幕を開けた延長後半、川崎はフォーメーションを戻し再び4-1-2-3の布陣に。
シミッチをアンカーとして、遠野がインサイドハーフ・家長が右ウイングと元通りの立ち位置となりました。

その延長後半3分、GKチョンソンリョンからのビルドアップで、ロングフィードをしっかりと家長に通したチョンソンリョン。
右サイドで細かく繋いだ末に山根のクロスが上がると、ファーサイドで投入されたゴミスがジャンピングボレーで合わせにいきます。
アクロバティックなプレーを見せたものの、ミート出来ずに終わり。

一方の柏は6分、川崎のクリアボールを拾った細谷がそのまま右奥を取ってからの攻撃。
戻りながらのキープからの山本のパスを右ハーフレーンで受けた戸嶋、そのままポケットへ切り込んだ所にシミッチのアタックで倒れ込み。
しかしシミッチの脚は出されておらず、戸嶋が貰いにいったような形に移った(と思われる)事で反則無しに終わりと、一週間前のPOでの清水・高橋へ見せ付けるようなディフェンスで防ぎきります。

試合も最終盤を迎える中、8分に裏へのボールに片山の反応が遅れる(これをゴミスがポストプレイして好機も、その後オフサイド)など、流石に柏サイドも疲労感が露わになり。
最後は組織力云々よりも純粋な走り合い・気力勝負という展開に。

そして12分に川崎が決定機、敵陣でのポゼッションから、シミッチが戻して作り直すという体勢からの前方へのパスで裏を掻き。
そして右から山根がクロスを上げると、中央でゴミスが完璧に合わせたヘディングシュート。
GK松本がセーブするも跳ね返りがポストに当たり、更に自身に当たってこぼれるボールに家長が詰めにいき。
しかしそのシュートも至近距離でセーブし防いだ松本。
ここに来て両守護神の働きが光る展開は、PK戦へのシフトを暗示するものだったでしょうか。

ここからのCKの連続も防ぎきった柏。
最後は片山のロングスローに持ち込むも、こちらもモノに出来ず。
そしてスコアレスのまま延長後半も終了し、とうとうPK戦へと持ち込まれます。

我慢の展開の果ての最終決着の舞台と、最後を締めくくるには十分過ぎるものとなったこの試合。
コイントスにより川崎先行・川崎サポーター側のゴールを使用と決まり。

お互い攻めの中心選手が出て来るのが定例の1番手。
川崎は家長が蹴り、左足で右へのシュートを放ち、GK松本に触れられる薄氷のゴールとなり。
柏はサヴィオが蹴り、右足で右へのシュートと、利き足方向へのシュートで無事にGKの逆を突き。

そして2本目を迎え、川崎のキッカーは瀬川。
この瀬川、FC東京のディエゴ・オリヴェイラと瓜二つのようなモノマネしたくなる独特の助走・ステップを経てのキック。
右足で左へシュートしたものの、GK松本のセーブに遭ってしまいます。
失敗かと思ったのも束の間、松本がラインを離れるのが速いとのジャッジで蹴り直しと、独特の助走でタイミングを外したのが命綱となりました。
結局2度目のキックも同じ助走から、今度は逆の右へと蹴って決めた瀬川。
柏の2人目・細谷も成功させ。

以降山村・戸嶋・橘田と成功させ、お互い利き足と逆方向へのシュートで全て成功し、迎えた柏の4人目。
キッカーは仙頭で、ここも右足で左へシュートと定例通りに蹴ってGKの逆を突き。
しかし左ポストを直撃と、ここで失敗してしまった柏。

リーチが掛かった状態で迎えた5人目、川崎はゴミス。
途中出場後は技が光ったゴミス、ここであえて流れと反する利き足方向へのシュートを選択して右へ蹴り込み。
しかしそれが拙かったか、GK松本が読んでセーブします。
一方柏は武藤が右足で左へシュートと定例通りに決め、サドンデスへ突入。

これで流れが変わったか続く6人目、川崎は登里。
左足で放った右へのシュートはGK松本がセーブし、柏がリーチで後攻を迎えます。
決めれば勝利という所で、キッカーに選ばれたのは片山。
しかしゴール上部へのキックを選択した結果、ゴールバーを叩いてしまい決められず。
延長後半は疲労度を隠せていなかっただけに、精彩を欠いてしまう結果となりました。

これで継続し、以降遠野・山本・山根・川口・シミッチ・立田が成功。
特に9人目は、お互い利き足方向のシュートを決めるという具合に、読めない流れとなって来た所で迎えた10人目。

川崎はここで、ジェジエウを残しGKチョンソンリョンがキックに向かい。
勇んで右足で蹴られたそのキックは、試合中のフィードさながらの軌道でゴール右上を見事に射抜きます。
一方の柏は、古賀が試合中に足を痛める仕草をしていた影響か、こちらもGK松本が蹴りにいき。
この止むを得ずという姿勢が運命の分かれ道となったか。(まあ川崎サイドもジェジエウが復帰して間もないという要素がありましたが)
キッカー松本は素直に利き足と逆方向(左)へのキックを選択。
しかしそれは読まれ易く、完璧にGKチョンソンリョンにセーブされてしまい。
これにより決着となり、8-7で川崎が勝利に辿り着く事となりました。

最後は延長戦から続く、両GKの争いという絵図で分かれた勝敗。
松本は防ぎ続けていただけに、その敗戦は一層くるものとなってしまい。
それでも無失点記録を保って終えたのを誇りとし、来季に臨んで貰いたいものです。

一方、苦しい展開ながらも最後の最後に上回った川崎。
これで7度目のタイトルと、辛いシーズンながらもしっかりと栄冠を手にする、タイトルホルダーの貫禄も醸し出すクラブとなってきたでしょうか。

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