※前回の群馬の記事はこちら(25節・甲府戦、0-1)
※前回の熊本の記事はこちら(26節・大分戦、1-2)
<群馬スタメン> ※()内は前試合のスタメン
- 今節が降格リーチで、大分の勝利or群馬の敗戦で降格決定(群馬引き分けの場合は、大分が引き分け以上)というシチュエーション。そして前日大分が勝利(藤枝戦、2-0)したため、試合前にJ3降格が決定。
- 佐川が累積警告により出場停止。
- 小柳が秋田からレンタルで加入(再加入)し、28節(水戸戦、1-2)から登録されて即スタメン出場。
- 城和が山形へ完全移籍となり、27節(横浜FC戦、1-2)をもって登録抹消。
- 玉城がJ3・鳥取へレンタル移籍となり、28節をもって登録抹消。
- 高澤の負傷が発表され、7/27に発生して全治3~4ヶ月との事。
- 秋元(新潟医療福祉大)の来季加入が決定し、同時に特別指定選手となり27節から登録される。
<熊本スタメン>
- 水曜に、甲府のルヴァン杯勝ち残りの関係で順延していた30節(4-2)が挟まる。よって↓の変更点はその試合を参照。
- べジョンミンの負傷が発表され、8/28に発生して全治約6週間との事。
- 30節で負傷交代した唐山はベンチ外。
浮上の兆しは全く見えず、とうとう今節にも降格決定という崖っぷちまで追い込まれた群馬。
サッカーの内容的には、前節(長崎戦、0-2)は上位相手にフィニッシュの打ち合いという試合に持ち込む、土俵際の意地は感じるものであり。
ここからどれだけ粘れるかの戦い……を演じる事すら許されず。
前日大分が勝利して勝ち点3を積み上げたため、残り6試合に全勝しても19差を埋める事は出来ず。
よって降格確定の運びとなってしまいました。
かくして自分がサッカーを観始めてから(2017年)、2度目のJ3降格となった群馬。
tonan前橋の所為と言って片付けられるような前回と違い、シーズン前にはさらに上を目指さんとしていた矢先の事だったためそのダメージは半端無く。
その雑感は最終戦の際に書くとして、まずは残りの試合に向き合う事が大事であり。
試合開始から、持ち味のショートパス主体の攻撃を繰り広げる熊本。
対する群馬はそのパスミスから、前半2分に拾った樺山が自陣からロングシュートを狙い。(届かずにGK田代キャッチ)
立ち上がり故に熊本も繋ぎの精度が今一つで、それを突いて何度か攻撃に入ったものの、群馬の方も(樺山が)スリップなど予期せぬミスが絡んで不発に終わり。
しかし6分、ポゼッションを高める熊本は三島⇔小長谷のパス交換から、小長谷のスルーパスで一気にエリア内を急襲。
そして松岡がシュートを放ちますが、GK櫛引が足でセーブと何とか防ぎます。
それでもこぼれ球を確保した熊本、バックパスを経て再度保持に入り長らくパスを繋ぐという具合に一貫した姿勢。
群馬は前節(の前半戦)同様5-4-1でのリトリート(ミドルプレスかもしれないが、熊本のパスワークで結局自陣に引き籠る事数多)で、隙を作らせずにかつカウンターを狙うスタイル。
14分にそのカウンターチャンスが訪れ、右サイドで奪ったエドオジョンから素早く前進、仙波のスルーパスで平松が抜け出したもののGK田代が前に出てクリアと実らず。
熊本はリトリートする相手には、あくまでじっくり繋ぐ姿勢を崩さず。
2年前はひたすらアーリークロスを打ち込む姿勢から、隙あらばミドルシュートという攻めが主たるものであり。
しかし杉山(現千葉)・坂本(現山形)とカットインシュートが強力なウイングは既に居らず、喰い付かない相手にもパスワークで隙を作る事に徹しなければならないという苦しさが見て取れました。
そのため、保持率は常時7割前後という高さでも、攻撃機会の面(自分の集計、アタッキングサードである程度アクションを見せないと加算しない)ではほぼ五分といった展開に。
そんなポゼッションスタイル故の難点が付きまとう熊本。
25分辺りから、「最終ラインから右サイドで前進の姿勢→戻したのち逆の左サイドへロングパス」というパターンを何度か続け。
サイドを揺さぶる基本手で、左奥でそれを受ける松岡からの展開に活路を見出さんとします。
しかしその矢先の28分、群馬もボール保持を長らく続けて隙を伺う体勢に入ると、GKへの戻しからのロングフィード(→川本フリック)で前線に届け。
ここはフィニッシュには繋がらずも、続く29分にも最終ラインからの運びの姿勢を取ると、群馬と違い果敢にプレッシングに出る熊本の隙を綺麗に突く事に成功します。
左サイドを風間・山中の2人で崩すと、山中が切り込みと見せかけての左足アウトでのスルーパスで裏を取り、川本が奥へ進入してグラウンダーでクロス。
そしてニアに入り込んだ平松が合わせてゴールネットを揺らし。
熊本とは一味違った、前進の鋭さを見せて先制を果たしました。
これで勝利への進軍といきたかった群馬ですが、1点で安心できるはずも無く。
その後も何度か攻撃機会を作ったものの、33分の熊本の攻撃で流れをひっくり返されます。
岩下のロングパスのセカンドボールを拾った事で敵陣から始まる攻撃で、左サイド奥を突いて松岡がクロス。
クリアが小さくなった所を右ポケットで大本が拾い、そのまま跨ぎフェイントを交えた末にシュート。
これがブロックでは無く、前方に居た小長谷に当たった事で、ループの軌道になってゴール左へと吸い込まれ。
記録は小長谷のゴールとなり、あっという間に同点に追い付いた熊本。
ホーム故にあくまで対抗姿勢を崩さない群馬、直後の34分に疑似カウンター気味に、最終ラインでのパスワークから仙波が一気にロングパス。
走り込んだ平松がエリア内からシュートと、前掛かりな熊本の裏を突いたものの、江﨑のブロックに阻まれ勝ち越しならず。
ここからコーナーキック攻勢も見せるなど、決してノーチャンスでは無いといったこの試合。
しかし42分、熊本はこれまでの残像を活かす攻め。
即ちサイドからパスワークでの前進の姿勢からの戻しで、また対角線のロングパスを送ると思いきや、中央から間を縫う縦パスで切り込み。
そして石川のポストワークから右へ展開してクロス攻勢に入ると、2度目の左からのクロスをファーで小長谷が落とし、豊田のシュートに繋げ。
ブロックされて右CKを得ると、キッカー豊田はグラウンダーでエリア手前へクロスと変化を付け、さらに石川のスルーを挟んだ末に小長谷がシュート。
反応良く前に出た小柳がブロックするも、脇にこぼれた所を再度シュートに持ち込んだ小長谷。
ゴール左上へと突き刺さり、堅守の姿勢を変化で崩しきって勝ち越しに成功しました。
このリードで不穏な空気も晴れたか、前残り時間は熊本の縦パス攻勢が冴え渡り。
そして小長谷や松岡のシュートでゴールを狙うという、本来の熊本の攻撃サッカーが展開されるも、追加点は奪えずに前半が終了します。
共に交代無く、後半開始の時を迎え。
逆転された群馬は、これも前節同様後半から積極的な守備姿勢へと切り替える手法に。(前節は前半スコアレスでしたが)
しかしそれは思うツボと言わんばかりに、後半1分にスローインから最終ラインに戻したのち、江崎縦パス→石川受けてミドルシュート(枠外)とそれを突く攻撃。
続く2分も、右サイドでキープする大本に対し監獄状態に追い込む群馬ですが、脱出されて逆サイドに展開されての前進でCKを得た熊本。
前節もこの姿勢を見せた途端に後半2失点と、現状の群馬では下手に前掛かりになるのは死を招きかねないといった所でしょうか。
逆に熊本の積極性は衰えず、8分には右サイド深めで石川がプレッシャーで奪い、群馬デイフェンスに当たりラインアウトでCKに。
10分にもゲーゲンプレスでまたも右サイドで奪い、今度はショートパスを繋いで逆サイドに持っていく組み立て。
そして松岡がカットインでポケットへ切り込んでシュート(エドオジョンがブロック)と、群馬はボール保持も奪取も出来ずと苦境に追い込まれつつありました。
こうして後半は、一気に攻撃機会で大幅に上回られる事となった群馬。
4分に左スローインからポケット奥に切り込み、山中のクロスの跳ね返りを小柳がミドルシュート(ブロックを掠めCKに)、という好機を作ったものの目立ったのはそれだけであり。
そしてベンチも先に動き、15分に風間・平松→天笠・河田へと2枚替えを敢行します。
流れを変えに掛かったのは明白ですが、これまで結果が出る事があまり無かった群馬の交代策。
しかし直後の16分、瀬畠→川本へ縦パスを通して左へ展開し、またも山中が天笠とのコンビネーションで左サイドを攻略。
そして今度は山中自身がクロスを入れると、大外から入り込んでいたエドオジョンがヘディングシュート。
GK田代にセーブされるも、樺山が詰めてゴールネットを揺らします。
同点に追い付き、前節とは打って変わって撃ち合いをスコアで示す群馬。
追い付かれた熊本は、キックオフ前に松岡→竹本へと交代。
小長谷が左ウイングに回るポジションチェンジも加わると、以降熊本のパスワークは一層流動的に。
何処でもこなせる竹本や小長谷がその通りに動き回り、群馬ディフェンスを切り裂くように翻弄していきます。
そのため群馬も、再び自陣でブロックを固める姿勢に落ち着かざるを得なくなり。
20分に石川のポストプレイに対し高橋が反則を犯した事で、中央からの直接フリーキックに。
距離はややあったものの、小長谷が直接シュートを狙い、壁を掠めてエリア内にこぼれた所に竹本が撃ちにいく決定機に。
しかしジャストミートはせずGK櫛引が何とか抑え、流石に前半のような脆さは見せない群馬。
それでも熊本の猛攻の前にいつ決壊するか不透明故、勝ち点を得るにはもう1点が欲しい。
24分、小柳のミドルパスを収めた河田から保持に入り、最終ラインへの戻しを経て仙波が一気に裏へロングパス。
これを左ポケット奥で山中が受ける絶好機となり、切り返しから放たれたシュートはGK田代がセーブ。
その後のCKからの攻めも防がれると、再び守勢に回る事となる群馬。
細かいパスワークの前に、31分には竹本に反則を犯した天笠が警告を受けるなどカードトラブルの面も不安視される流れとなり。
34分に双方ベンチが動き。
熊本が大本→藤井へ交代し、群馬は樺山→北川へと交代。
これが熊本最後の交代と、中3日かつアウェイの連続(30節ののち地元に帰らず、甲府から直接群馬の地へ)という過酷な日程の中でも、スタメンを信じる姿勢を取った大木武監督。
押し込む事でセットプレーも増えて来た熊本、変化を付ける姿勢(先程の直接FKも、小長谷のシュートの前に蹴り出し)から、次第にニアにクロス→江﨑フリックというパターンに固定化されてきた風であり。
ダメージを蓄積させた末に、シンプルさで打ち破る腹積もりだったでしょうか。
39分にヘディングの応酬から、エリアからすぐ手前という位置で確保した石川に対し瀬畠が反則を犯し。
今度は近い位置での直接FK(横位置は中央~右ハーフレーンの中間ぐらい)となり、キッカー上村周は柔らかいボールでの壁越えでゴール右を狙い。
これをGK櫛引が辛うじてセーブし、さらに右CKで継続すると、ニアにクロス→江﨑フリックを経て石川がヘディングシュート(枠外)とひたすらにゴールを脅かす流れに。
何とか守勢を脱したい群馬。
44分にクリアボールを河田が落とし、仙波が収めるもののハンドを取られてしまい。
そして熊本がFK(中盤から)で放り込みと、脱出もままならなくなり。
決壊が先か、時間切れが先か……という終盤戦の風であり。
ベンチもそれを痛感したか、アディショナルタイムに突入すると、間も無く最後のカードを使った武藤覚監督。
エドオジョン→田頭へ交代し、何とか前へのエネルギーを加えに掛かりましたが、現実は非情なものでした。
直後に熊本が左スローインで再開すると、受けた岩下はそのままアーリークロスを選択。
これがターゲットを大きく超えるボールとなりましたが、直接ゴールに入ってしまい得点を叩き出すに至ります。
呆気にとられたかのように対処できなかった群馬、やはり熊本の攻撃によるダメージは相当溜まっていたでしょうか。
ともかく、劇的な時間帯で勝ち越した熊本。
急転直下なフィニッシュによるゴール。
それに伴い、群馬も小柳を前線に上げるパワープレイ体制に残り時間を掛けたものの、やはり慌てて……という感は拭えず。
最後の最後に、田頭の右からのアーリークロスを、河田がヘディングで合わせたものの枠に飛ぶ事は無く。
そして試合終了の笛が鳴り響き、群馬にとってはifの世界を考える事が出来る勝利は挙げられずに終わりました。
そんな最下層から抜け出せない群馬を尻目に、これで4連勝達成となった熊本。
この間の得点も12点と、遅まきながらその攻撃力の本領発揮といった所でしょうか。
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