※前回の清水の記事はこちら(27節・甲府戦、3-0)
※前回の山形の記事はこちら(33節・甲府戦、2-1)
<清水スタメン>
- 前節から昇格リーチで、今節はさらに条件緩和となり勝利で無条件で確定。引き分けの場合は3位・長崎が引き分け以下、敗戦の場合は長崎も敗戦で昇格確定。
- 森重が謹慎ののち契約解除(社会規範・チーム規律に違反したとの事)となり、今節をもって登録抹消。
<山形スタメン>
- 菊地は清水からのレンタル選手なため出場不可。
- 西村の負傷が発表され、10/3に発生して全治約3ヶ月との事。
首位の座を巡って、横浜FCと激しい鍔迫り合いを繰り広げている清水。
その成果は、2チームとも同時に昇格リーチを掛けるという顛末に表れ。
残念ながら前節(水戸戦、2-2)では決められず、同時に首位を明け渡す格好となりましたが、ホームに戻り改めて悲願達成といきたい所。
相手は山形で、目下5連勝中でプレーオフ圏に向けて邁進している最中の強敵。
その相手に対し立ち上がりから地上での繋ぎを軸とした攻勢、高い位置を取る右サイドバックの原へとパスを繋げ。
そしてクロスをチラつかせながらゴールを窺う(前半2分に右ハーフレーンからクロス気味にシュート、枠外)という、ストロングポイントを押し出し。
6分に最終ラインからパスを受けた原、ポケットへのスルーパスを選択すると、裏に抜けた北川が走り込むシュートチャンスの絵図に。
しかしGK後藤雅が前に出て、シュートするというまさにジャストのタイミングでブロックを敢行、キッチリと防ぎます。
そんな清水の攻勢は10分程続き、順位・クラブ規模が示す通りの力量差を感じる事となった山形。
しかし目標達成のためには、何処が相手であろうと負けられない立場であり。
強力な布陣に対抗できる手段の組織力を発揮し、互角の展開に持ち込まんとします。
山形の布陣は常時4-2-1-3と紹介されているものの、実態は4-2-3-1と大差無いものといっても良く。
即ち清水に対しミラーゲームに持ち込むのが容易であり、守備時に4-4-2へと可変するのもお互いに同じ。
そんな状況で、両ウイングを下げ気味にして相手SBに付かせる意識を高め、跳梁を防ぎに掛かりました。
それによりマンツーマンの色が濃くなる試合展開。
それを避けようと、清水・山形とともにボランチ1人が降りて3枚での最終ラインによる繋ぎを試みる場面が増えていき。
18分の清水のボール保持、左に開いた乾がパスを受けるも、高江の執拗なプレッシャーを浴びてラインアウト。
するとスローインを素早く投げ入れる山形、裏を突く事に成功し、土居がエリア手前からカットインシュート。(GK権田セーブ)
プレス回避をさせない事で、次第に山形へと針が振れる流れ。
23分にもハイプレスでパスミスを呼び込み、中央で拾ったディサロが前進を経てエリア内からシュート。(高橋祐のブロックを掠め枠外)
一転して苦戦の色を表した清水ですが、それにより山形の保持の色が高まると、こちらも前線の守備が嵌り始め。
27分、最終ラインから左へ展開した山田に対し、内切りから寄せた乾はバックパスを防ぎに山田の後方へ回り。
それを見た山田がバックパスから横パスへ切り替えるも、この咄嗟の判断がズレを呼び、中央へ転がったボールを北川がダイレクトでシュート(GK後藤雅キャッチ)と後方を脅かしに成功します。
地上での攻防が見応えある一方で、浮き球即ちロングボールによる攻めは、風の影響(前半は山形が追い風)もあり難儀する展開に。
31分の山形、GK後藤雅はその風を利用するように高いフィードを送ると、合わせられずバウンドした所にイサカが走り込み。
クリアされるもセカンドボールの回収で保持に入り、左サイドで高い位置を取った山田に渡り。
しかしその後パスを受けた土居がカットインに入った所、北川を倒してしまい反則を取られて途切れてしまい。
このフリーキックで清水もGK権田がロングフィードを選択し、逆風を物ともせず最前線の北川の上空へ。
そしてこちらもクリアボールを拾って攻撃に入ると、カルリーニョスが中央突破から間を抜くパス、ブラガのポストプレイがディフェンスに遭うもこぼれ球がエリア内左に転がる好機に。
走り込んだ乾の柔らかいクロスを頭で合わせたのは宮本で、伏兵的なボランチのヘディングシュートが決定的なフィニッシュと化しましたが、これをGK後藤雅が片手一本でセーブ。
この完璧なフィニッシュに守護神が立ちはだかった事で、以降清水はシュートを量産しそれを崩すという流れが組み上がったでしょうか。
序盤とは逆に左から、カルリーニョスの突破力をフルに生かし攻め掛かる清水。
時には、先程の決定機のように中央から強引に突破も見せるなど、ボックス内への進入を重ねて脅かすカルリーニョス。
43分には住吉のボール奪取からのカウンターで中央突破し、右への展開ののちブラガ→乾と経由、その乾の1タッチパスをエリア内で受ける状況に。
しかしディフェンスに遭い撃てずに終わったカルリーニョス。
結局狙いとは裏腹に、チーム全体もフィニッシュを撃つ事無く前半を終える事となりました。
共にハーフタイムでの交代は行わず。
そして始まった後半、やはり展開は変わらず、清水がカルリーニョスを活かす立ち回りで流れを掴まんとします。
後半2分、右→中央→左とサイドを移すパスワークを経て、ワイドで受けたカルリーニョスがカットイン。
そして中央まで流れシュート(枠外)と、早速のフィニッシュで膠着状態を打ち破りに掛かり。
続く3分には、最後方での繋ぎも、左に開いた吉田豊を飛ばしてカルリーニョスに直接届けるセンターバック。
すると前方の乾の突破を利用し、スルーパスに走り込む役割となったカルリーニョス、送られた乾のパスに走り込んでポケット奥から低いクロス。
中央に北川が走り込むも、その手前でGK後藤雅が反応しキャッチと、やはり守護神の壁は厚く。
当然ながら、山形もそれだけで怯む様子は見せず。
しかし対抗してボール保持から前進を図る所、襲い掛かる清水のプレッシング。
特に右へと追い込まれ、城和・山田・高江の3人によるパスワークで脱出せんとするも、果たせず遮断されるシーンを膨らませてしまいます。
これで攻撃権を確保した清水は、9分に左での前進姿勢で、住吉がライナーで縦パス→乾が収めるという変節で山形のハイプレスを怯ませ。
ここからエリア内へミドルパスが送られ、走り込んだカルリーニョスが左奥で受け、切り返しからのキープを経てクロス。
この低いボールにニアで北川が跳び込むも合わず、その奥のブラガも山田に倒された(反則無し)事で撃てず。
しかしすかさず山形は清水の背後を突く攻め、高江の縦パスを受けたイサカが斜めに切り込んで右ポケットへ侵入。
そしてカットインからシュートが放たれるも、ブロックを掠めてゴール左へ外れ。
折られても対抗姿勢は崩さない山形。
11分にはGK後藤雅に対しプレッシャーを掛けた北川が、フィードののちのアフターチャージで反則・警告を受ける事態に。
しかし続く12分、再びプレッシングを機能させて苦し紛れのミドルパスを宮本がカットしてショートカウンター(右に展開ののち原がクロス)と、清水サイドも一つの失敗では怯みを見せず。
意地同士のぶつかり合いという絵図ですが、山形はプレス回避がままならない状態をどうにかしたい所。
ディサロが降りてミドルパスを受けにいくという立ち回りを見せ、それを果たさんとします。
15分にその形(小西のミドルパスを収める)で持ったディサロがディフェンスに遭うも、こぼれ球を繋いで左から前進。
土居が山田とのワンツーでポケットに進入成功しますが、宮本との競り合いで倒してしまった事で反則を取られ、その後クロス→(ディサロの)シュートでネットが揺れたもののフイとなってしまい。
ここから再度清水のターンへ。
17分に乾がカルリーニョスとのコンビネーションで左奥を取り、カットインでGKの眼前まで切り込んでクロス気味のシュート。(GK後藤雅がセーブ)
その後のCKからも高橋祐のヘディングシュートを連続で放つ(最初は安部がブロック、二次攻撃を経ての次弾はGK後藤雅がキャッチ)など、フィニッシュを膨らませて相手の守護神粉砕に努めます。
(20分に宇野→中村へと交代)
一気に劣勢となった山形、自身でのボール保持も良い所がなく、ロングボールでの打開も向かい風により冴えずに終わるという悪循環。
22分、その狭い間隙を突くように、最終ラインから右への展開ののち國分(清水のセットプレーに対する守備でサイドを移していた)のアーリークロスが低いボールで入り。
これにディサロが足から跳び込んで合わせますが、ジャストミートせず右サイドネット外に終わり。
そして再び始まる清水の攻勢に、反抗を試みるものの屈する場面(つまり自陣で前進を阻まれる)が多く。
25分にはロングパスで打開を図るも前に出た住吉がカット、そのまま斜めの縦パスを乾に送り、その乾の横パスからブラガがエリア内へ切り込み。
山形サイドが前に出たため、そこにスペースがポッカリ空いているという絶好機となりましたが、山田のスライディングでのカバーで何とか撃たせずに防ぎます。
好機を続けるも、肝心の得点は奪えない清水は直後のCKの前にブラガ→矢島へと交代。
これによりキッカーはその矢島が務める事となり、変化を付けて守備網を破らんとします。(このCKからは、クリアボールを乾が撃ちにいくもミートせず)
28分、再び劣勢のなかの一刺しという感じでディサロに好機が生まれた山形。
中央を安部ミドルパス→ディサロ→イサカと浮き球で繋ぎ突破し、そのイサカのスルーパスで左への展開ののち、土居のクロスがファーサイドへ。
これを走り込んだディサロが脚で合わせましたが、これも枠を捉えられず。
それと同時に山形ベンチが動いた事で、お役御免となるディサロ。
彼に代えて高橋潤を投入、それに併せ土居・國分→後藤優・坂本亘と、合計3枚替えを敢行する事となりました。
しかし直後の30分、ついに屈する事となり。
清水は左スローインからの繋ぎを経て、乾のサイドチェンジにより逆の右サイドで攻撃。
浅い位置でのパスワークから矢島のアーリークロスが選択されると、クリアが小さくなった所を拾ったカルリーニョスがシュート。
エリア内からのフィニッシュで、これもGK後藤雅がセーブしますが、反応良くこぼれを詰めた北川がついにゴールネットを揺らします。
念願の昇格決定を齎すべくの、先制点に辿り着いた清水。
尚も33分、左スローインからサイドを変えるという同パターンを経て、右から入った原の低いクロスをカルリーニョスが合わせシュート。(枠外)
追い掛けたい相手に攻撃させないという、理想形を描く事で昇格を現実のものにせんとする清水。
それだけに、予想外の出来事には極端に弱くなってしまったでしょうか。
35分の山形、安部が一気に裏へロングパスを送ると、逆風を突いて伸びたボールを走り込んだ坂本亘が収め左ポケットへ侵入成功。
そして溜めを作り上がってきた高橋潤に託すと、その勢いのまま切り込んで奥からシュートを放った高橋潤。
角度の小さい場所ながら、GK権田のニアサイドを破りゴールに突き刺さります。
可能性の低い所を通した、清水サイドにとってはまさかの連続といった同点弾となりました。
直後に山形ベンチは川井→岡本へと交代。
山形サイドも、得点の後は城和のロングパスで後藤優を走らせるという、それと同一パターンによる攻めを見せ。
改めてお互い勝ち越しに向けての勝負となった終盤戦。
地上でのパスワークを冴え渡らせる清水ですが、思わぬ失点で余裕が失われたか、立ち上がりのような右の原を押し出す攻撃へと傾倒。
39分にその原の奥からのクロスでCKを獲得すると、このタイミングで3枚替えを敢行します。
吉田豊・カルリーニョス・北川→高木・西澤・タンキへと交代すると、この右CKから、投入されたタンキがいきなりヘディングシュート。(枠外)
徳島戦(順延29節、2-1)で機能した、彼の長身とパワーを活かしての攻めに振りきったでしょうか。
しかしその直後、山形は速攻でイサカが右サイドを突破するところ、交代で入った高木が反則で止めてしまい警告を受け。
これにより右ワイドからのFKへ移行すると、高江・小西のボランチコンビがキッカーに立った山形、高江のフェイクを経て上げられた小西のクロスが外から巻いてファーサイドへ。
清水ディフェンス全てを越えたその奥で、合わせてヘディングシュートを放ったのは元清水の後藤優。
1点目と似たような角度から放たれたフィニッシュがまたも狭い所を破り、逆転に成功します。
奈落に突き落とされるような「恩返し弾」に、笑えない状況となってきた清水。
先程の交代により、原と高木のどちらかが最終ラインに降りる3-4-2-1への変更も脳裏を掠めたものの、結局は変更無くその後を戦い。
リードを守る立ち回りへ入る山形により、ボール保持に活路を見出すしか無く。
何度もボックス内を突かんとしますが、守備意識を高めた山形の前に、これまでの流れのようにいかずフィニッシュに繋げられません。
その過程で、山形は山田と小西が同時に足を攣らせて倒れ込む事態が発生。
山田はすかさず坂本稀に交代させたものの、これで交代枠を使いきったため小西は続行となり、ピッチ外→復帰で戦列に戻ります。
そして突入したアディショナルタイム。
押し込み続ける清水、何でも良いから同点弾が欲しい状況に。
CKから、クロスの跳ね返りを拾った乾のミドルシュートが左ハーフレーンから放たれるも、サイドネット外に終わり果たせません。
最後はやはりCKで、GK権田も上がって総動員でゴールを狙う清水。
矢島はその権田に向けてクロスを送るも、越えた奥で高橋祐が足下でのポストプレイの形でエリア外へ流し。
そしてまたも乾がミドルシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。
直後に試合終了を告げる笛が鳴り、ファイナルスコアは1-2。
勝利した山形は6連勝と、果敢な追い込みを見せるもののプレーオフ圏にはまだ届かず。
一方の清水、残り3試合あるとはいえ、引き分けに終わった前節に続き後味悪く終わり。
前年の悪夢に捕まるか、それを断ち切るかの二択という状態ですが、無事に後者で関係者を安心させる事が出来るでしょうか。
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