<両軍スタメン>
- 前半は↓とは逆のコートでキックオフ。
J1でスターダムにのし上がる=息つく間も無く海外移籍という構図は避けては通れない近年。
札幌もそれは例外では無く、夏のマーケットでは金子が移籍と相成りました。
単なる主力の一選手どころか、近年はその突破力にかなり依存する攻撃スタイルに傾倒しつつあった札幌。
それだけに、彼が抜けた際にどういったサッカーを模索するのか非常に興味がありました。
穴の右ウイングバックにはルーカスが入り、その他のポジションも、クソンユンの移籍(京都へレンタル)・菅野の故障が発生したGK以外は実績あるメンバーが並び。
一見しただけでは他クラブと渡り合えるような感じでしたが、現実は予想以上に悲惨なものとなりました。
完全アウェイに近い環境である、鹿島のホーム(県立カシマサッカースタジアム)に乗り込んでの一戦。
その雰囲気に呑まれたわけではないでしょうが、鹿島のキックオフで試合が始まると、グラウンダーで繋ぐ鹿島の攻撃によりいきなり到来する危機。
左サイドへの展開から、溝口の縦パスからダイレクトで繋がるパスワークを寸断出来ずにエリア内に運ばれると、左へ開いた2トップを余所に樋口がフリーで走り込み。
そして放たれたシュートがゴールネットを揺らし、その間実に僅か12秒。
あっという間に先制点を挙げた鹿島に対し、その対応力という点での組織力の欠如が晒される格好となりました。
それに従うように、その後もビルドアップを次々と遮断されてしまう札幌。
そしてショートカウンターを頻発させる鹿島、前半4分には佐野のカットから右サイドを運んでいき、奥でスルーパスを受けた垣田がカットインでエリア内へ。
これを後追いで馬場が倒してしまうも、反則の笛は鳴らずとヒヤリ。
しかしそれも束の間、直後(同じく4分)にも佐野のボール奪取から、左ポケットでパスを受けた樋口。
そして戻しを経て鈴木のミドルシュートが放たれゴール右へ外れと、命が幾つあっても足りないというような立ち上がりを強いられ。
気を取り直したい札幌、7分にようやく攻撃ターンが回り、長いサイドチェンジを繰り返しての前進。
しかしこれもルーカス→菅へのパスを遮断され、ロングカウンターに持ち込んでエリア内まで進入した鹿島。(垣田のスルーパスが仲間に繋がらず)
それでも11分に再び後方から対角線のロングパスを受けたルーカス、そのままクロスを上げると、ファーサイドで小柏がヘディングシュート。
しかしGK早川にセーブされ、早期に追い付く事は出来ず。
ともかくこれらの攻めにより、金子の役目がルーカスに代わったのみで、ロングボールを良い形で彼に預けるというイメージが傍らから見て伝わって来たでしょうか。
その効果が生まれる前に、軽いプレーで台無しにしたくない所でしたがそれは叶わず。
14分に鹿島の攻撃を防ぐも、クリアボールをダイレクトで繋がんとした荒野のパス(かどうかも疑問)が眼前で樋口に遮断されて再び鹿島の攻め。
右サイド奥を突いた須貝のクロスで(クリアにより)右コーナーキックを得た鹿島、ターゲット豊富な面子のなかキッカー樋口は中央へクロス。
これを植田がパワーで岡村を剥がした末に、強烈なヘディングシュートをネットに突き刺します。
ペースを握りっぱなしに映る展開の通りに、点差を広げる鹿島。
その後も札幌の攻めのパターンはサイドを変えるロングボール中心で、これをルーカスがどう仕上げるかが生命線といった感じ。
他の選択を採ろうとしても、敵陣で展開されるパスワークは、荒野がダイレクトで繋がんとするパスがズレたり(29分)と今一つ機能せず。
それでもポケットを突く能力は金子に大きく劣るルーカス、どうしてもクロス中心になるのが辛い所でしょうか。
それをカバーせんと、田中のスルーパスを受けた小柏が右ポケットからシュートしたのが28分でしたが、植田に内を切られて放たれたそのシュートは枠を捉えられず。
33分にはゴールキックから短く繋ぐ姿勢を見せたのち、GK大谷のフィードが通って左から前進、左ポケットを突いた小柏。
しかし中央への横パスが駒井の手前でカットされ、この好機もモノに出来ず。
次第に攻めが通り始めるも、そうなると前掛かりになり逆に窮地に陥りがちなのが札幌。
点を奪えないまま突入したアディショナルタイム、鹿島は後方での繋ぎを経てGK早川が右サイド裏へロングパス。
そこにサイドバックの須貝が走り込み、何とかクリアした札幌でしたが、ロングボール一本で裏を取られる危惧は相変わらずのようで。
その後も右に開いた植田のロングパスが一気に右ポケットを突き、垣田が受けた所GK大谷が前に出て防ぐなど、脆さが常に隣合わせという状況を強いられます。
結局2-0で前半を折り返し。
巻き返しを図りたい札幌ですが、ハーフタイムでは動かずと、ここでも金子を失った事(と、夏の補強選手の皆無)による手駒不足の影響が見られ。
その結果、後半1分に佐野のパスカットからショートカウンターというシーンを2連発で作る鹿島と、前半の立ち上がりとさして変わらぬ展開が描かれ。
そこで得た右CKから、クロスの跳ね返りを拾ったピトゥカが右ハーフレーンからミドルシュート。
これを中で仲間がヘッドでコースを変えたものの、ゴール左へと外れ。
しかしその後押し返す札幌。
4分敵陣での展開でルーカスが中央へ縦パスを打ち込み、ズレてカットされるも関川から小柏が反則気味に奪って継続。
荒野のエリア内へのパスを浅野がダイレクトでシュート(ゴール上へ外れる)と、多少強引ながら鹿島ゴールに迫ります。
その後も反則に見えるディフェンスでボールを奪うシーンを連発し、その結果判定に異議を唱えた関川が警告を受ける鹿島サイド。
2点差故に攻めなければ後が無い、所謂背水の陣の姿勢がペースを生み出したでしょうか。
以降も右サイドでの攻めの中心を担うルーカス。
ボールを持てばクロスあり、サイドチェンジあり、手前からエリア内を突くミドルパスありと多種多様な展開を見せ。
しかし自ら決定的な仕事は出来ずと、どうしても金子との違いを感じさせてしまうのが厳しい所でもあり。
潮目が変わった影響か、鹿島ベンチの方が先に動く展開に。
9分に仲間→藤井、18分に垣田→松村と、早くも2度の交代を敢行するに至った岩政大樹監督。
先程の警告然り悩まされる判定面でも、13分にGK大谷に詰めにいった鈴木が勢い余ってチャージしてしまい、反則を取られると思わずヒートアップする場面もあり(正直この鈴木の態度には疑問、故意では無いにせよ)相変わらず。
流れ的にこのまま行けば……という札幌。
しかし19分、馬場のパスカットから荒野縦パス→小柏ポストプレイを経て駒井が中央突破を図りましたが、これをピトゥカに倒されて止められるも反則の笛は鳴らず。
これを境に鹿島のターンになるという、審判の判定により得たペースは、審判の判定によって失う因果応報のような展開を強いられます。
20分に低いクロスに合わせた松村のシュート(枠外)、21分にピトゥカの右ポケットへのパスから鈴木がダイレクトシュート(右サイドネット外)と、再びフィニッシュ地獄を浴びせにいく鹿島。
そして続く22分、藤井が左サイドからドリブルで突き進みカットインからクロス、これをGK大谷がセーブするも左CKに。
するとキッカー樋口のクロスを鈴木が合わせヘディングシュートと、再度CKから仕留めます。
強烈なシュートにGK大谷も止めきれず、ダメ押しに成功した鹿島。
直後に飲水タイムが挟まれても、中々交代カードの使用に踏みきれない札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督。
ようやく動いたのが29分で3枚替えを敢行、浅野・荒野・菅に代えてスパチョーク・小林・青木を投入(駒井がボランチに回る)しましたが、正直2点差のうちに刷新を図りたかった所でしょう。
代わった人員は左サイドからの攻めに使われ、細かなパスワークで前進を図る姿勢へと傾倒する札幌。
33分その細かい繋ぎを経て、スパチョークのラストパスが左ポケットの小柏へ。
しかし須貝に腕固めのような形でチャージされると、倒れて肩を痛め続行不能に陥ってしまいます。(反則無し)
古傷へのチャージとはいかにも鹿島っぽい陰湿な……(ただし移籍したての須貝は知らなかった可能性あり)という事を考えさせながら、ピッチを後にする事となった小柏。(キムゴンヒと交代)
これと同じタイミングで、鹿島も最後の交代を敢行し一挙3枚替え。(関川・溝口・鈴木→昌子・舩橋・荒木、佐野が左SBに回る)
それでも泣き言は言っていられない札幌、直後の36分に決定機。
再び左サイドを細かなパスで繋いだ末に、またもスパチョークが左ポケットへ送ると、受けた青木はさらに奥を突くスルーパス。
走り込んだ中村からマイナスのクロスが入れられ、ディフェンスを掠めた所に後方から小林がシュートを放ち。
しかしこのシュートも昌子が頭部でブロックと、身体を張って止められます。
防いだ昌子は倒れ込み脳震盪も疑われましたが、直ぐに起き上がりプレー続行と、気合を見せ。
その後も攻め続ける札幌、小柏に代わって入ったキムゴンヒをフィニッシャーとしつつ、押し込み続け。
39分小林の縦パスを(駒井のスルーを挟み)受けたキムゴンヒ、そのままエリア内に進入してシュート。
しかしこれも須貝がブロックと、昌子の気迫に乗せられたかのように良く防ぐ鹿島ディフェンス。
どうしても1点が奪えない札幌、44分に最後の交代を敢行し駒井→福森。
しかし既に状況は何とか一矢報いたいというものでしか無く、その後鹿島の逆襲を受ける等気合負けは否めません。
45分にCK、ATに右からのフリーキックとセットプレーを獲得するも、既に3点差だったためか通称「鹿島る」絵図は見せない鹿島。
これらの好機も、ターゲットとなるセンターバックを前に送ってクロス攻勢に。
何とか打開しようとしたのが小林で、その後パスワークからエリア内を突いてフィニッシュを放つ事2度。
それでもゴールは割る事が出来ず、結局3-0のまま試合終了の笛を聴く事となりました。
選手交代以降は、特定の選手に頼らず全員で崩すという姿勢が見えた札幌。
ルーカス一辺倒の攻めではマークされたら厳しいという印象で、その方が組織的にも健全といった所。(問題はビハインドになる前にその姿勢に入れるかどうか)
ただしそれは前半の荒野のような、何処か気の抜けたプレーをしてしまう選手が居れば成り立たなくなるものでもあり。
個人の力頼みになるにしても、何処に力点を置いてそしてそれを貫くための組織力をどうするのか、最低限整えたい所でしょう。というかインターバル期間に何をやっていたのかという疑問が残るが
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